1997.1月 合併号 いよいよ手漕ぎボートのルアーを本格的にやり始めた
いよいよ手漕ぎボートのルアーを本格的にやり始めた。何を狙ってももっと絶好調の季節から始めていれば良かったんだけど、世の中そんなに甘くはない。忙しい時ほど忙しい事が重なるモノで、とてもじゃないけどアッチもコッチもなんてやってたら体がいくつあったって足らないよ。 そ んな訳もあって決して爆釣とは縁が遠いような寒い冬の季節に、手漕ぎボートのルアーフィッシングを楽しむ?事になってしまったんだ。だから、ナンダたいして釣れないじゃないか…なんて冷たい事を言わずに(思うのは勝手だけど、口には出さないのが礼儀ってもんだよ)少々付き合ってみてね。きっとそのうちいい情報をどんどん流せるようになるはずだからね。 さてさて、今回釣行した場所は沼津にある木負(きしょう)という静かな湾内だ。ここは周囲が山に囲まれたシチュエーションになっているので、比較的強い風が吹いたとしても何とか釣りになる場所なんだ。 冬から春にかけての時期に吹く風だったら普段はそれほど気にしなくてもいい。だからこの季節のお薦めフィールドと言ってもいいだろう。ここで何か釣ってやろうというもくろみで出かけてみた。 ボクが所属する『クラブ・ザ・ジェントルクラフト』の会長である茂木くんが、朝の6時に小田原のボクの自宅にきた。荷物をボクの愛車シャリオ・リゾートランナーGTに積み替えていざ出発だ。 ボクの住む小田原からだと箱根の山を越えて約1時間で木負に到着する。途中、箱根の山を越える最中に駿河湾が眼下に広がる。雄大な景色に見とれながら…と、本来なら言いたい所だが、なんと海にはウサギさんがピョンピョン飛んでいる。そう、箱根を越えると強風が吹きまくっていたんだ 『これじゃあボート出せないよな』 『風、強いっすよね』 海に出る前からそんな不安が2人の脳裏をよぎった。案の定、湾の外側は風でかなり荒れている。 『まあ今回の取材は手漕ぎボートだから、外海が荒れてたって風を避けられる場所があれば何とかなるよね』 『とりあえず出てみましょうか』 ボート屋のオヤジさんとお約束の会話で状況調査を済ませて、木負堤防のそばへカサゴを狙って漕ぎ出した。でも、結局ジグでカサゴらしい魚をヒットさせたけど、バラシ。 予想通り風で流されるスピードの速さに参って敢えなく断念した。湾内をジッとにらんでみると、フローティングホテル・スカンジナビア号の影だけ風が少し弱そうだ。 『とりあえず移動して様子を見ようよ』 『あのゴロタの周りならカサゴくらい釣れますよね』 この湾で冬に吹く風は、岸に寄せられる方向なのでワリと安心して移動できる。それでも普段はこれくらい風が吹いたら釣りを止めるんだけど、午後からは風もおさまりそうだったのでちょっと頑張ってみた。読者の皆さんは決して無理しないでね。 ポイントはもしもの事があっても心配のない、いつも岸からカサゴを狙っているゴロタの沖だ。最も沖といっても岸から数mの、水深2mラインだ。風もうまい具合に岸に向かって吹いている。 まずはジグヘッドリグにホワイトのグラブでボトムをズル引きしてみた。するとやたらアタリがあるのになかなかフッキングしてくれない。正体はベラなのかフグなのか、はたまたワニゴチが突っついているのか。 苦戦の末、何とかキャッチしたのはアナハゼだった。しばらくやってアワセのタイミングをつかんでからは入れ喰いだ。2人でアッという間に40尾も釣っていた。もちろん全てリリースしたよ。 そんな事をやって時間を潰していると、風が少し弱まってきた。そこで少し沖目の水深3〜4mラインを攻めてみる事にした。スカンジナビア横のカケ上がりに居付いているカサゴを直撃する作戦だ。 まだ風はそれなりにあるので、風上からボートを流しながら風下側にジグヘッドをキャストする。そして、ラインスラッグを取りながら、やっと本命であるカサゴをキャッチする事が出来た。苦労したんだよ。 最終的に夕方まで粘って釣れたカサゴはたったの2尾。だけどでっぷり太ったグッドサイズのカサゴくんだった。こんな時にカートップボートだったらうまくポイントの上でボートを止めておけるのに…と、改めて船外機付きボートの有利さを実感した。 ちなみにこの釣行をした12月の初旬でも、岸から1kmの超近場でメジが釣れているという美味しい情報も付け加えておこう。チャンスがあったら、竹風2号を引っ張り出して再チャレンジしようとたくらんでいるんだ。