1997.02.10号
 
アナハゼは友達のような存在のターゲットだよね


 以前アナハゼという魚を紹介したことがあるのを覚えているだろうか。堤防の道化師とも言われるほど、ボクたちを気持ちよく楽しませてくれるひょうきんなターゲットだ。
 本来アナハゼは初冬から春先にかけて活発に捕食する姿を見せてくれる。特にそのルアーを追ってくるおどけた姿は忘れることが出来ない。何度でも遊びに行きたくなるようなターゲットなんだ。

 そう、アナハゼってヤツは、釣りに行くって言うよりも遊びに行くって感じのターゲットなんだ。
 決してファイトが凄いわけでもない、豪快にアタックしてくるわけでもない。でも、フッキングし損なっても何回となくルアーを喰わえ直しにくるその姿に感動しつつも楽しさを感じさせてくれるんだ。
 今回はそんなアナハゼの楽しいフィールドをホットライン読者にだけ教えちゃう事にしよう。しかも、魚影は信じられないくらい濃いから、近くの似たような場所でも十分楽しめると思うよ。

 みんなは沼津の木負という場所にフローティングホテル・スカンジナビア号という船があるのを知っているかな。この船は中が完全な豪華客船で、この場所に固定されてフローティング・ホテルとして親しまれている。
 そのうえ食事で乗船?することもできるので、彼女を連れてドライブの途中で寄り道する事だって出来る。ひょうきんなアナハゼくんたちと戯れた後に、豪華な食事(と言ってもバイキングもやっている事があるから案外気楽に食事出来ると思うよ)を楽しんじゃうなんてのもいいかも知れないね。
 さて、冬のこの時期に楽しむことが出来るアナハゼくんだけど、嬉しいことに真っ昼間に楽しむことの出来るのが最大の魅力だと思う。秋から冬にかけてのメッキが落ちついてくると、なかなか手軽なターゲットも少なくなってくる。

 ナイトゲームのカサゴ狙いもいいけど、実際には夜は寒くて嫌だなんてルアーマンも多いんじゃないかな?
 おっと、だいぶ話がそれちゃったけど、ようするに冬の手軽なターゲットが少なくなるこの時期に、アナハゼは貴重な存在だという事を言いたかったんだ。簡単で手軽に釣れる上に、そのルアーに対する勇猛果敢さが最大の魅力なんだな。
 サイズは10cmから、大きくても20cmくらいだけど、目の前でスイッスイッとルアーについてくる姿をみるだけでも満足してしまいそうな、とってもほのぼのとした釣りが出来ると思う。
 さて、ボクが今回選んだのは前記の通り、沼津の木負にあるスカンジナビア号の横にあるゴロタだ。最もゴロタと言ってもとっても狭くて、ゴロタ磯と言うよりも石がゴロゴロと転がっているだけという足場のとってもいい場所なんだ。

 岸から10mくらいまでが水深1mもない遠浅で、水中に点在している大きめの岩影にアナハゼは隠れている。そしてルアーが近くを通るときにモソッと出てきて「ハイ御用」となってしまうんだよ。
 ちなみにここは道路のすぐ脇に駐車場があって、すぐその下に釣り場がある。こんな手軽に楽しめる場所ってないよね。だからタックルも必要最小限だけ持って車から降りればいい。もし他のタックルが欲しくなったとしても、すぐに持ってこれる。
 色々な釣り方を手軽に試す、いい修業の場所だと思う。もちろん目の前でアナハゼのルアーに対する反応が見れるので、テクニックの向上にとっても役に立つ。みんなもどんどんこういった釣りをやった方がいいよ。
 タックルはメッキにみんなが使っているものをそのまま使える。ミノーでもスプーンでもジグでもいい。何でもOKなのがこの釣りの魅力なんだよ。もちろんちっちゃいグラブやチューブを使えば面白いように釣れる。ボクが今まで試した中で、一番ヒット率の高かったのが2インチのチューブ+1/16ozのジグヘッドリグだ。チューブはクリアカラーで、グリッターの入ったキラキラ目立つものがとっても良かった。

 キャストしてデッドスローリトリーブでもいいし、ボトムをとってから小さくバンピングさせてもいい。いずれの場合もグゥイ〜ンともたれるようなアタリが来るので、そこでゆっくりフッキングさせればいい。
 かりにフッキングし損なったとしても、ボクの経験では少なくとも3回はアタックしてくるから安心だよ。バラシたとしてもまだ追ってきて釣られちゃうヤツも居るくらいなんだから。
 アナハゼは暖かい春が近づくと徐々に減っていく。冬の間だけボクたちの心を暖かくするためにやってくる友達のような存在のターゲットだよね。