1997.7月号
 
1m くらいのサメってこんな簡単に釣れるんだよね


 濁りに濁りまくった相模湾の置きみやげって知ってるかな。今回紹介するターゲットはツノザメだ。知っている人は知っている深場のターゲットだよね。
 赤潮だか何だか良く分からないような相模湾の潮は、この原稿を書いている今現在かなり良くなってきた。本誌が皆さんのお目にかかる頃には、もうシイラの情報も多くなっていることだろう。
 このツノザメという魚は漁師さんたちの間ではツノメと呼ばれていて、非常に親しみやすい?ターゲットなんだ。
 だって、水深100mくらいで沖メバルを釣ったり、メダイを狙ったりしていると、釣れた小魚なんかを食べちゃうんだから。親しみやすいというよりも、憎い相手と言った方が正しいのかな。

 でもそんなツノメだってボクたちルアーマンにとっては格好のターゲットになってしまうんだ。今では主流になりつつあるPEラインは、深場の釣りには欠かせないラインになっている。このPEラインを使うことで「そんな深いところを釣るの〜」から、「それくらいで釣れるんだ」に変わってきている。
 伸びの少ないPEは、現実にボクたちの感覚もそのように変化させてきている。だからツノメは狙うのが当然なんだ。ちょっと強引なこじつけだけど。
 ところでみんなはツノメを見たことがあるかな。背中にツノがあるんだよ。今回お世話になった福浦港のまるせ丸の船長でさえ、触るの嫌だよな〜、って言っていたよ。でも船長も乗り気で随分とタックル準備を楽しんでいたけどね。

 さて、狙いは真鶴沖の100m前後だ。周りはちょうどメダイや沖メバルが釣れ盛っている。その船団の中に混じってサメを釣ろうって言うんだから、ちょっとばかり周りの視線も怖かったよ。
 この日使ったタックルは最初なので本格的なジギングタックルを使ってみた。事前の情報によると潮がかなり速いという事だったので、ラインだけは2号を準備した。本格的なジギングをやるためにDUELが開発したジギングロッドだ。
 このロッドはグアムでガルベスという名前で売っている。国内ではボーティングシャフトという名前で、ボートオーナーを意識したルアー用のジギングロッドなのだ。

 ショックリーダーはラインブレイクに注意しないといけない。だってサメ肌にこすれたラインなんて簡単にボロボロなんだから。今回もサイズの割にヘビーなフロロカーボンの14号にしておいたんだ。これでも1尾釣る毎にリーダーはダメになっちゃうけどね。
 そう思って以前挑戦したときにワイヤーリーダーを使ってみたけど、これが大はずれだった。それまで入れ喰いだったのが、ワイヤーリーダーに変えた途端に全く反応が無くなってしまったんだ。
 だからボクのやり方としては、ショックリーダーの長さを5m以上とる。こうする事によって、1尾釣る毎にリーダーの傷がついた部分を短くカットしていくんだ。

 ルアーに関してはヨーヅリが世界に誇るメタルジグ・メタリックサーディンだ。本来ならグローカラーのブランカを使いたかったのだが、イラストを見ても分かるようにフォールでバイトさせるターゲットには、フォールでの抵抗が大きいメタリックサーディンの形状が向いている。
 でも、たぶんこんなことにメタリックサーディンを使っていることがヨーヅリのお偉いさんに知られたら叱られるだろうなぁ。まあこの際だから、そんなことは気にしないことにしよう。どんなターゲットだって釣ってしまう凄いルアーなんだから。
 そして忘れてならないのは発光体だ。サメには絶対にあるとナシでは大違い。ちょうどループノットの部分を保護するような状態で取り付けてやる。これでサメに傷つけられるのを少しでも防ごうという考えなんだ。

 フックも外しやすいようにシングルフックに交換した。これならギャフを口にうってから、エイリアンペンチで落ちついて外すことができる。
 この日ボクたちは周りの船の視線を気にしつつも、爆釣、バクチョウ、大爆釣のひと時を過ごす事ができたのは言うまでもない。何たって高橋船長とボクのコンビは絶対にはずさないぞ。釣ってナンボだからね。
 写真を見てもらえば分かると思うけど、1mくらいのサメってこんな簡単に釣れるんだよね。ちょっと怖いけど。

 魚探の反応を見て、メタルジグをボトムまで沈める。そして3mほど誘い上げてから、そのレンジをキープしたままスローなシャクリを繰り返すんだ。これだけで強烈なファイトを手軽に味わえるんだから。数日後はバスロッドで楽しんじゃいました。