1997.9月号
 
東伊豆はムラソイの魚影がすこぶる濃く・・・


 今年は暑い夏になりそうだね。先月号でもシイラを紹介したけど、いまだにビシバシと沖ではメーターオーバーが毎日のようにルアーで釣れている。しかも、ようやくカツオやメジマグロの情報も飛び込んでくるようになってきた。まさにオフショアはルアーマンも一緒にアツクなっているんだ。
 さて、船に強い人にとってはこのシイラ情報が嬉しくて、夏が待ち遠しかった人も多いことだろう。でも、船が苦手な人にとってはどーでもいい季節なんだろうな。そんなルアーマンのために今回紹介するのは手軽なショアからのルアーフィッシングだ。

 ズバリ、今年のお薦めはムラソイだ。ほとんどの人がゴロタ磯で釣ったムラソイをカサゴと勘違いしているやつだ。信じられないことに、有名なライターの人たちでさえ、釣れたムラソイをカサゴなんて間違った紹介をしている人がいるくらいだ。
 それほどカサゴとムラソイを見間違える人は多い。まぁ、別にムラソイをカサゴって呼んだって誰も困らないだろうけどネ。それでもそれはそれでボクはこだわりたい。ムラソイたちに失礼だもん。

 ところで例年なら春先が、ゴロタ磯でカサゴやムラソイを昼間楽しむベストシーズンであることを知っているかな。ボクもこの時期になってからはそれほど執着して攻めなかったのだが、どうやら少しは深い場所に落ちていくようだ。でも十分ショアからのターゲットになるだけは残っているんだ。
 特に伊豆半島の東伊豆はムラソイの魚影がすこぶる濃く、春先に釣り損なったルアーマンもまだまだ楽しめること間違いなしだ。
 真鶴半島なども有名だが、最近はかなり攻められすぎて大して釣れなくなってきているのが実状だ。おそらく地形上の問題で補充が極端に効きにくいのだろう。

 御存じの通り、真鶴の周辺を囲んでいる岩場は大きな岩盤が多い。大きな岩盤のカケ上がりの上に半島が位置していて、その岩盤の上のゴロタ磯を魚が上下しているだけなのであろう。
 逆に東伊豆方面には岩盤よりもどちらかというと複雑な岩で形成された場所が多く、そのまま深場へと続いている。これはボクの個人的な意見だが、周りを岩盤で広く囲われた磯よりも、岩で形成された場所の方がカサゴの魚影が多いような感じがしている。これらの条件が、岸近くの根魚の補充がしやすい状況を作り出しているのではないだろうか。

 さて、今回はそんな事も考えながら、2つのパターンでゴロタ磯のムラソイを追ってみることにした。最初は極端な遠浅のゴロタであるが、沖まで岩がゴロゴロしていて、攻めきれないような場所だ。選んだのは伊東の潮吹のゴロタだ。シチュエーションとしてはいかにも補充がバッチリという雰囲気だ。
 そして次に選んだのは稲取のゴロタだ。ここは比較的沖に岩盤と砂地があり、盛期は有名なフィールドなのだが、夏場にどうなのかが気になるところだ。特に足元から水深もあるので、それぞれ攻略方法も違ってくる。
 遠浅の潮吹では日中であるにもかかわらずミノーイングで攻める。急深の稲取では足元のゴロタの切れ目を中心にジグヘッドリグで攻めてみた。時間はそれぞれ1時間を目安に区切って試してみることにした。

 結果から先に言うと、潮吹の超浅場はムラソイの魚影がこの時期になっても非常に濃くて、偏光グラスをかけてのサイトフィッシングが出来るという楽しみを十分に味合わせてもらうことが出来た。しかもグッドコンディションの大型が多く、とてもシーズンが終盤とは思えない。
 稲取のゴロタはたいした釣果があげられずに終わったが、小型はそこそこの数を引きずり出すことが出来た。しかし、釣り尽くされてしまったのか、20cm以上はたったの1尾だけだった。
 これだけが全てとは言い切れないが、シーズン後半になると魚影の濃さというのは顕著に見えてくる。特にこのような根魚は補充が効くか効かないかに現れてくるのではないだろうか。寂しい実状なのだろう。

 しかし、こういった事実を突き止めてみんなが知っておくことで、フィールドの魚たちをどのように扱った方がいいのかが分かってくることだろう。
 今回はちょっと硬い話しになってしまったが、釣りをするからにはある程度の知識は持っていて欲しいという願いから思い立った、ボクの意見だと思って参考にしていただきたいと思う。
 魚がいてこそ釣りが成り立つ、釣りは釣れてナンボの遊びなんだと言うことを再認識していただければ幸いだ。昔の知識だけで動いていると、きっと近い将来自然界からのしっぺ返しがくる。そうならないためにも無駄に過剰なキープはやめましょうね。