● 2005/04 ヘチ、へち、hechi・・・ ●

 ずっと忙しくって連載をさぼってたけど、以前から「やれっ!」って言われていた根魚一直線で、久々のソルスト本誌復活だ〜い。そこで連載にあたって、根魚って定義をK哲編集長と相談してみた。カサゴはもちろんだけど、メバルもいいんじゃないかなって。つまりは根の近くに棲息している魚を、このターゲットにしようってことになったんだ。

 まず最初の取材に選んだのは、一番手軽なカサゴ。暮れからずっと伊豆半島の状況をチェックしていたんだけど、ようやく赤いカサゴが釣れ始めるようになってきた。産卵が近くなって、浅場に寄ってきたカサゴって、最初のうちは赤っぽいんだよね。それを狙い撃ちするのが、今回の作戦だ。

 面白いことに沖から接岸してきた最初の群れは、意外なほどヘチに居着いていることが多いんだ。夜の間にどんどん寄ってくるから、この赤い色をした個体に出会えれば、そこはシーズン中にまだまだ狙える可能性が高いってわけ。

 今回は、西伊豆と南伊豆の2ケ所を探ってみた。いずれも岸近くにカサゴの多そうな深場があって、港の奥まで真っ直ぐ入ってこれそうな場所を選んでみた。


 もうひとつ重要なことがある。港内のヘチを狙うってことは、潮の動きがそれほど大きくないってことを思い出す。しかも他のアングラーが釣りやすい場所でもあるから、誰かの攻めた後でも釣れる方法で攻めなきゃならないんだ。

 今回のキーワードは、ヘチと接岸し始めた個体を挙げたけど、もうひとつはいかに軽いジグヘッドリグで探るかってこと。重いジグヘッドリグなどを使うと、どうしても上下の直線的な動きばかりが目立っちゃうよね。だから徹底して軽いリグにこだわってみた。

 パワーシラスの2インチに、1gのジグヘッドの組み合わせは、今回狙った3m前後の水深では、ちょうどユラユラと漂いながらフォールできる程度だった。まさに潮の流れに身を任せて、静かにヘチのカサゴを狙い撃てる。

 最初に攻めた西伊豆の港では、最も奥の岸壁を探ってみた。うまい具合に船の明かりがあって、その周辺だけが水面を照らしている。岸壁に影ができていて、その境を中心に狙ってみることにした。

 すると予定通り、フォール中のまだ海底に到達してないソフトルアーに、カサゴが飛びついてきた。フリーフォールしていたはずなのに、ラインがヒュンッと一気に走った。すぐにベールを戻して手をヘチから離す方向へと突き出した。

 LT-590H/Sのソフトティップは、大きな弧を描いて真下を向いている。一瞬の根掛かりのような重さを耐えると、すぐにカサゴはヘチから離れ、そのままリーリングすると水面にその姿を見せた。一気に抜き上げると、ヒレをキレイに広げたカサゴがそこにいた。

 このポイントでは船の照らす明かりがあったからか、周辺の暗い場所での反応はまったくなかった。狭い範囲だったけど、その明るい場所だけはどんどん釣れたんだよね。さすがに飽きてきたので、ここでの釣りは終了にした。

 次は一気に南伊豆へと移動して、同じようなシチュエーションの場所を探してみた。ここでも同じように常夜灯があって、海面の狭いエリアを照らしていた。その影になっているヘチを探ってみることにした。

 ここは先ほどの西伊豆より魚影が濃く、明るいエリアはもちろんのこと、暗い場所からも次々とカサゴが飛び出してくれた。これくらい軽いリグを使っていると、着底前のフォール中に喰ってくることが多い。沈めている最中が、これほど楽しい釣りっていいよね。

 ボクの釣り方を真似ていたharukaも、先ほどの西伊豆と同様にどんどん釣っている。小型のカサゴも混じるけど、同じ場所でサイズアップしたりもする。おそらく釣っている最中に、接岸してきたカサゴが次々と反応していたんだろう。

 特大カサゴこそ出なかったけど、シチュエーションを絞り込んで狙った今回のゲームは、なかなか楽しめた夜だった。一般的には「ソフトルアーでアジを釣ろう!」って感じのタックルで挑んだけど、こういった繊細タックルだったからこそ、いい結果が出たんだと思う。

 昨今の根魚人気から考えると、常に満足のいく釣果を出すことは難しいかも知れない。だからこそ繊細ながらも、時には大胆にこれからも攻め続けたいと考えているんだ。

 まずは初チャレンジで、手軽なようで難しい根魚攻略大成功かな。これからどんどん根魚を尋ねて、色々なシチュエーションで一直線にチャレンジしていくぞ〜。


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