● 2005/06 リーリングでアップテンポに攻める! ●

 週末になると強風が吹き荒れて、なかなか取材へ出かけられなかったのが残念だった。しかし願いは通じるもので、前日までの風がおさまり、久し振りに伊豆半島へカサゴ狙いで出かけられることになった。

 このところの状況を聞く限り、伊豆半島はもちろんのこと、関東では週末のたびに強い風が吹き荒れ、まともな釣果情報など入ってくるはずもなかった。それだけに今回の釣行は、出たとこ勝負みたいな感があったことは否めない。

 久々に週末が落ち着いた天気なので、金曜の夜は多くのアングラーに攻められただろう。そして今日は土曜日だ。きっと風の弱まり始めた昨晩のうちに、久々の出撃をした多くのアングラーが攻めたはずだ。

 取材日程にもあとがなく、今回が最後のチャンスだ。追いつめられた状態で、釣れるかどうか分からない場所に行くのも難しい。だからといって実績のある人気ポイントは、連日連夜に攻められていたら、サイズアップすることは難しいだろう。

 そこで考えたのは、メジャーポイントで釣り残されたカサゴを、広範囲に探って探し当てること。つまりメジャーポイントの盲点を逆手にとって、竿抜けの穴場を拾い釣りするという考えだ。

 有名なポイントほど、多くのアングラーが攻める場所は決まっているもの。ところがいかにも釣れそうな場所はみんなが攻めているが、一見して何の変哲もない場所は狙われてないものだ。だからこそ竿抜けになっている可能性が高く、サイズアップも実現できそうと考えた。

 狙いは南伊豆のメジャーポイントとなる漁港だ。ここは外海側の実績は抜群で、ロックフィッシュだけでなくエギングも有名だ。ところが港内に根があることはあまり知られておらず、たまに立ち寄ったときに素晴らしい釣果を出していた。

 この日も車を走らせながら横目で見る各漁港は、どこもアングラーでいっぱいだった。いつもはまだ寒い夜なので、他のアングラーに出会うことは少ない。しかしこれだけ人がいるということは、前夜の混雑も想像できる。

 釣り場に到着して、近くの岸壁でさっそく試してみることにした。タックルはいつものLT-590H/Sで、3ポンドラインの先には1gのジグヘッド、そしてパワーシラスの3インチをセットした。干潮で水深が浅くなっており、深い場所でも2mほどしかない。

 まずは目の前の根に向けてキャストして、ジグヘッドリグの着底を待つ。ラインの出が止まったところでベールを戻し、ゆっくりとリーリングを開始した。そして足元まできたところで、「グイッ」とティップを押さえ込むようなアタリがきた。

 そのままリーリングを続けると、いきなりロッドをバットまで絞込んで、そのまま手前に向かって泳ぎ始めた。そのままヘチの下にでも潜り込もうかという動きだ。ロッドを海に向かって突き出し、そのままヘチから引き離す。こういった部分でLT-590H/Sのバットパワーに助けられていることが分かる。

 何度かの引き込みをかわしながら水面に顔を出したカサゴは、どうやらジグヘッドをスッポリと飲み込んでいるようだ。3ポンド直結なので無理はできないと判断し、harukaにネットの準備をさせる。おとなしくなったところでネットを差し出して、そのまま無事にネットインさせることができた。

 キャッチしたカサゴはなかなかの大きさで、今回の目的は予想通りに結果を出すことができた。ちょうど車で入ってきた人が、このカサゴを見て「オコゼですか?」と聞いてきた。それぐらいに迫力のある面構えをしていたのだろう。

 アングラーの多さに心配しての釣行だったのだが、最初からこれほどのサイズが姿を見せてくれたので、まずはひと安心といったところだろうか。その後も順調にカサゴは釣れ続けて、小型混じりながらも十分すぎる釣果を出すことができた。

 いずれもヘチから少し離れた場所で、じっくりとヘチを探っていくアングラーの多さが、こんなことからも想像できる。最近では手軽なヘチの釣りが多くなりつつあり、むしろキャストして探ってくるスタイルが減っているのだろう。

 しかしボトムのズル引きだと、広範囲を探るときには時間がかかりすぎる。そこで今回のように、リーリングでボトムよりすぐ上のレンジを探る釣り方が効果を発揮してくれるのだ。

 起伏の激しい海底でこれをやるのは、根掛かりが多くてやりにくいものだ。しかし今回のように手前が浅くなっている場所では、とても効果的な釣り方であることを再認識することができた。


戻る