● 2005/12 カーリーテールの魅惑 ●

 10年ひと昔と言うけれど、ボクのカサゴ釣りは静かなナイトゲームから始まった。今回はちょっと昔を懐かしんで、久し振りの繊細なナイトゲームを楽しんでみた。

今でこそ、PEラインを使った釣り方が主流のソフトルアーゲームだけど、昔はキャスティングに使えるようなPEラインは皆無に等しかったんだ。そこでカサゴをソフトルアーで狙うときも、繊細な釣り方を余儀なくされていた。

そこで今回のカサゴ釣りでは、昔を思い出しながらのタックルシステムで、最近の手近な場所でのソフトルアーフィッシングを楽しんでみることにした。はたして昔のやり方が、最近のカサゴたちに通用してくれるのだろうか。

この日のタックルは、いつものようにLT-590H/Sを準備した。しかしティップにはハードティップを使ってみた。昔はソフトティップのようにオートマティックなロッドはなかったので、あえて難しくなる方向で組み立ててみることにした。

リールに巻かれているラインは、当初の予定通り3ポンドのナイロンラインだ。もともと感度がいいからといっても、ボクはフロロラインを使わなかった。ラインの重みで底ズレするのが嫌いだからだ。

ラインの先にはエコギアのシラスヘッド。ソフトルアーにも同じく、エコギアのものを選んでみた。最近ではストレート系が主流かもしれないが、あえてカーリーテールグラブタイプの、パラマックスを使ってみることにした。昔はアングルのスイールテールグラブを好んで使っていたため、これも懐かしさを思い出させてくれる。

さて、前の週には大型台風が関東地方を通過して、海はかなりの大荒れだった。各地には大きな被害も出ており、崩れた崖が道路を汚している場所もあった。外海に近い場所では、次の台風の影響が出始めているため、ウネリや濁りも残っているようだ。

この日はそんなことも考慮して、できるだけ湾内の影響が少なかった場所を釣り場に選んでみた。昔はよく通っていたこのエリアも、今では常にアングラーがひしめきあっている。台風の影響なのか、周辺に散乱していたゴミが気になった。

最初の港内に降り立ち、ヘチと沈み根を探ってみた。しかしこの場所の海底は、いつの間にか泥底になってしまったようだ。1gのジグヘッドが、海底の柔らかな様子を伝えてくる。ナイロンラインでも分かるほどなので、早々にこの場を立ち去ることにした。

次に立ち寄った場所は、ちょっとした岸壁になっている。ここは潮の当たりがいいので、海底は砂と岩礁が入り混じった状態のまま。潮も澄んでいて、海底の様子も目で見て判断することができた。ちょっとだけ安心して、ここを本命のポイントとしてチャレンジしてみた。

まずは岸壁の足元を探ってみることにした。小細工なしの典型的なリフト&フォールで、ロッドを上下に動かして誘ってみる。小型のグラブとはいえ、カーリーテールは上下の動きでもアピール度は十分だ。横に移動しながら、上下の誘いを繰り返す。ちょうどノコギリの歯を海底に描くイメージだ。

するとすぐに小気味良いアタリがきて、軽く送り込んでから大きくアワセるとヒットした。しかし上がってきたカサゴ君は、なんとまあカワイラシイ。小さなお子様サイズのカサゴだった。

入れ替わり攻められているフィールドなので、おそらく足元は攻めつくされているのだろう。しかしかわらず相手をしてくれたカサゴに感謝して、そっと海にリリースしてあげた。海の恵みに感謝!

その後は端まで探ったものの、やっぱり小型のカサゴらしきアタリしかこない。水面を覗き込むと、そこはネンブツダイの群れがいる。軽量ジグヘッドを沈めようとしても、そのネンブツダイたちが咥えてしまうので、底までなかなか沈んでいかないほどだ。

ひと通り探り終えてから、次に狙ったのは沖にある沈み根だ。足元には大きな石が沈んでいるけれど、岸からちょっと離れると砂底になっている。しかし更に遠い場所には、点在する根が見えている。その周辺に潜んでいるカサゴのほうが、少しはサイズがアップするかも。

キャストして底をとり、ロッドでシェイクしながら、静かにズル引きを繰り返す。石の左、そして右を探り続ける。そして2つ目の石を探り始めると、すぐにアタリだ。

大きくアワセ、一気に根から引き離す。そのまま抜き上げてみると、ちょっとだけサイズアップしているカサゴだった。昔を懐かしく思いながら、満足の釣行だった。


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