● 2006/05 スロープエッジのカサゴ ●

 今シーズンはとにかく寒い日が多く、気がつけば山間部では雪が降っている。この日も数日前に雪が降り、夜の気温は平地でも氷点下。箱根を越えて釣り場へ向かう途中の山頂付近では、なんとマイナス4℃にも下がっていた。

 それでもわずかな望みを託して、路側に残った積雪を避けながら愛車を走らせていた。平地まで走るとようやく0℃ほどの外気温になり、ちょっとは安心できたかな。でも寒いことには変わりなく、短時間での取材を余儀なくされそうだ。

 今回のテーマは、スロープエッジにいる捕食目的のカサゴ狙いだ。浅場に接岸しているカサゴは、エサを食べることが目的であることが多いのだ。だからより狙いやすい浅場を考えると、スロープエッジは理想的なポイントなのである。

 普段はあまり狙わない港に入り、車から降りてさっそくタックルをセット開始だ。LT-590H/Sのソフトティップは、冬のシーズンにはぴったりのロッドだ。3ポンドのラインに、シラスヘッドの0.9gを結び、久々にパワーシラスの2インチをセットした。

 最近はあまり使ってなかったけれど、スイミングで使いアピールさせたかったので、あえてボディボリュームのあるパワーシラスを使うことにしたというわけ。パラマックスはボトムを探るときに使い、今回のようにエッジをリーリングで探るのにはパワーシラスを選ぶ。

 まず最初は、スロープの真横にある岸壁にポジションをとった。ここからなら、スロープの裏側をなめるように攻略することができる。スロープエッジぎりぎりにキャストしてから、一度ボトムまで沈めた。そこから軽く跳ね上げるようにして、ゆっくりとリーリングを始めた。

 しかし何度かキャストしてみたものの、カサゴの反応はまったくなかった。いつもとちょっと違うと感じた理由は、シャローのベイトが見当たらないことだ。潮位が下がっているからか、それとも寒さの影響なのだろうか。

 ちょっと離れた場所に、水面をざわつかせているベイトの群れを発見した。スロープではないが、シャローの岩場なので念のためキャストして探ってみた。しかしキビナゴが幸せそうに泳いでいるだけだった。

 スロープに戻り、今度は足元に注意しながら水際に近づいた。スパイクブーツを履いていれば安心だが、今回は準備してない。枕木に足を寄りかからせ、湿っている場所へは近づかないようにした。リーリング後の回収が可能な位置まで行き、そこでキャストを開始だ。

 スロープの右端から中央まで来たあたりで、何となく小さなアタリが来た。ほとんど抵抗もなく上がってきたのは、ネンブツダイと見間違うほどの小さなカサゴだった。

 再びキャストを始めて、とうとう左端まで来てしまった。このスロープは左端がそのまま水深のある護岸に続いているため、良型のカサゴがいるとすればこの位置での可能性が高そうだ。

 水温低下が低活性の理由だとすれば、シャローに上がりきれなかった個体は、このような深場を控えた位置にいてもおかしくない。そう考えて、護岸側へ落ち込んでいくピンポイントにパワーシラスをフォールさせてみた。

 するとフォール中にラインが動き出し、ベールを返してラインの出を止めるとロッドが一気に絞り込まれた。どうやらエッジ部分で上から落ちてくるエサを、あまり移動せずに待っていたようだ。

 そのまま抜き上げてみると、20cmを超えるまずまずのカサゴだった。すぐ横で同じように狙っていたharukaにも、続けざまにカサゴがヒットしていた。やっぱり水温低下の影響で、スロープエッジほどの超浅場には出てきてなかったのであろう。まずは理屈を予想したとおりの結果に、満足することができた。

 その後も同じような場所を探り、ぽつぽつとカサゴを追加することができた。この時期のカサゴは、狙うアングラーもかなり多い。だから活性の高いシャローの魚は、どんどん引き抜かれていってしまう。それだけに小さなピンポイントを探し当てたときの喜びは大きい。

 いつもならドラマを作りたくてもう少し粘るんだけど、とにかく気温は更に低くなってきた。寒くて手が痛いくらいになってきたので、harukaと相談してこの日の取材は終了することにした。まあ目的を達したから、これでヨシとしよう。

 これからは、徐々に水温が上がり始めて、春先のベストシーズンを待ってみたい。そのときになったら、今度はミノーを使ってシャローのカサゴを引きずり出してやろうと、心に決めたのであった。


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