● 2007/02 常夜灯下のカサゴ攻略 ●

 今年は晩秋になっても、なかなか冷え込んでこない。原稿を書いている今は立冬だというのに、とても過ごしやすい陽気だ。こんな状況で、冬の夜の楽しみはどうなんだろうと気になってくる。まあ気にしても仕方がないので、とりあえずは釣りに出かけてみることにした。

 昼間はまったく釣る気にならないので、やっぱりナイトゲームのカサゴに狙いを絞ることにした。ボクの好きなカサゴ釣りは、マイクロワームと軽量ジグヘッドを使って、リーリングやリフト&フォールで拾っていくやり方だ。

 準備したタックルは、もちろんLittle Twitch LT-590H/Sのソフトティップ、これにOMライトゲームの3ポンド。ジグヘッドはシラスヘッドではなく、ダートなどのアクションをさせやすいシラスヘッドファインの0.9gを選んでみた。

 ワームには、この時期のパイロットとして使っているパワーシラスの2インチだ。カラーは安定したバイトのある、グローを選んだ。ボトムをズル引きするならパラマックスを使うんだけれど、今回はスイミングとダートフォールを意識したくて、スリム系のパワーシラスを選んだってわけなんだ。

 今回のテーマとしては、常夜灯下のカサゴ攻略を考えてみることにした。夜の釣りでやりたいんだから、常夜灯の周辺でノンビリと楽しみたいもの。真っ暗な場所でも釣れるけれど、明るい方が釣りそのものをやりやすいからね。それに写真を撮影するのもやりやすいし、ボクにとっては便利な場所だ。

 シチュエーションとしては、多くのアングラーに狙われやすいのが常夜灯下だ。だからアングラーからのプレッシャーも多くなっているはずだろう。しかしみんながそう考えているとすれば、ひょっとしたら常夜灯下が竿抜けになっているポイントがあるかもしれない。そんな考えが、ちょっとばかり脳裏をよぎった。

 そこで向かった釣り場は、メジャーな釣り場の道路脇だ。車は普通に通行していて、道路脇には常夜灯で照らされた護岸がある。あまりにも目立つ場所なだけに、まさかこんな場所で釣りはしないだろうな〜ってポジションを狙ってみた。

 最初に狙ったのは、水深が3mほどのポジションだ。ヘチの周辺には捨石が入っていて、いかにも釣れそうな雰囲気だ。潮位は干潮からの上げ始め。このエリアでは、上げ潮のときにカサゴの活性が高まる。

 そこで覚えておきたいことがひとつある。それは潮位による誘い方の違いだ。従来は広範囲を探って手っ取り早く結果を出すなら、ボクはボトムから少し上層をリーリングで拾う釣り方をする。

 ところが潮位の下がっているときには、意外とリーリングでのバイトは多いとは言えない。その対策としてやっているのが、海底のピンポイントをじっくりとリフト&フォールで探っていくやり方だ。潮位が下がって活性の下がっているカサゴに対しては、横の移動よりも上下の誘いの方が効果はあるようだ。

 この日も最初はリーリングで試してみたものの、やっぱりアタリはこなかった。気づかなければこれでやめてしまい、別の釣り場へ移動してしまうだろう。しかしそれはもったいない。前記のように、捕食に対する活性が潮位によって下がっているのであれば、ピンポイントのリフト&フォールで対応できるはず。

 同じ場所をリフト&フォールで探ってみると、すぐにロッドがキレイな弧を描いた。ヘチから引き離すように腕を伸ばし、根ズレさせないようにゆっくりと浮かせた。予想以上にあっさりと、良型のカサゴをキャッチすることができた。

 次にまったく同じ場所を再び探ると、さすがにアタリはこない。しかし1mほど横に移動させると、すぐにロッドが引き込まれた。リーリングで反応しなかったカサゴも、ちょっとした動かし方の違いだけでバイトしてくるのだから面白い。

 いずれも常夜灯下の影がキモで、その境界の影側の中に位置する場所だ。ちょっと明るい位置に沈めて探ると、カサゴのサイズは小振りになってしまう。真っ暗な場所に沈めると、不思議とアタリがない。理想的な教科書どおりのピンポイントで、この夜のカサゴは結果を出させてくれたようだ。

 ひと通り釣った後で、一番明るい、まさか釣れないだろうと思っていた場所で、釣っている風景の撮影を始めた。するとシャッターチャンスと同時にカサゴがヒットして、なかなか出来すぎの結果となった。

 常夜灯下のカサゴは、ともすれば釣りきられてアタリがないこともある。しかし潮位との絡みを考えると、ひょっとしたら知らずに釣り残していたかもしれないよ。


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