● 2007/07 奥の奥まで探って・・・ ●

 いくら三寒四温の季節だっていってもね〜、ここまで毎回の悪天候続きじゃ困っちゃうよ。週末は何とかなると思っていたのに、低気圧が降りてきて天気は大荒れ。雷、雨、強風、いきなりの冷え込みでウンザリだよ〜。

 でも取材だから行かねばならぬってんで、早朝から伊豆半島を目指した。自宅を出発して、東伊豆からの海岸線方向へ車を走らせた。海岸線に出ると、予想通り南からのウネリが入り始めていた。これだとウネリを避けられる釣り場が限られているから、一発勝負の釣り場選定になっちゃう。

 目指す釣り場は○×△のあそこしかない。現地に到着したのは9時頃だけど、釣り場には人の姿はない。こんな早い時期からムラソイを専門に狙うのは、よほどの理由があるアングラーだけなんだろうな〜。

 いつものようにLT-590H/Sのソフトティップを準備して、ジグヘッドリグの穴釣りタックルをセットした。そうそう、今回はDUELさんから新しく発売になった、スムーズのロックフィッシュをリールに巻いてきた。前からずっと頼んでいたラインだから、この細さでも安心して使える抜群のシロモノだ。

 さて、準備ができて海を覗きこんでみると、潮がぶつけているゴロタ磯は釣りにならない。その横にある石積みの護岸が今回の釣り場になるようだ。潮は徐々に下げ始めているから、岩の間に隠れているムラソイを探しやすそうだ。

 まずは波がチャプチャプと掛かっているラインを探ってみたんだけれど、まったくムラソイの反応はない。「やっぱりまだ早かったのかな〜」と考えながら、外海のウネリをボ〜ッと眺めていた。

 そこで思いついたのは、「ひょっとしたら最近の悪天候が影響して、もっと穴の奥に入り込んでいるかもしれない」と考えた。この石積みは斜めになって組まれているから、海から離れた場所にも水があっていい感じになっている。

 それまで探ってきた場所をスタート地点まで戻り、満潮時に潮が被っていた形跡のあるラインを探り歩いてみることにした。ウネリを嫌ったムラソイが、さらに奥のほうまで入り込んでいると考えたからだ。もちろん数日前までの暖かさで、ムラソイが浅場に一度移動してきているという前提での考えだ。

 手前から探り始めていくと、徐々に水深のある穴になっていく。隣接する堤防と同じように、石積みも高く積み上げられているからだろう。探り続けていくうちに、1m近い穴まである。深くなっている穴でも、探りやすい穴からは何の反応もなかった。

 そこでさらに小さな岩の隙間を探して、より狙いにくいところを積極的に狙ってみた。すると遠くから見れば海とは関係なさそうな位置で、ムラソイがヒットし始めてきた。写真を見れば分かるように、石積みの中央あたりまでは水がある。そのあたりが、もっともアタリが多かったラインなんだ。

 穴を覗き込みながら釣るのには、ロッドを水平に構えていては無理な状況だ。ロッドの途中を持って岩の間を覗き込み、障害物に引っ掛からないよう静かに沈める。そこから少し横に移動させて、陽射しの届かない石の下で底まで沈めていく。

 こんな感じでできるだけ奥の奥まで探るようにすると、面白いようにプチ入れ喰いが始まった。まるで冬の間もここに隠れていたんじゃないかってほどに。いつもならボクもあまり攻めないような位置なんだけど、試しに探ってみて良かったな〜って思ったよ。

 ていねいに集中して探り歩いていると、同じように探り始めたharukaも、大型のムラソイをぶら下げてきた。やっぱり竿抜けになりそうな場所であれば、水温が低い時期でも釣れてくれるんだ。狭い穴を探るのはやりにくいけれど、結局それが釣果に結びつく秘訣なんだってことだよね。

 そのうちわずかに陽射しが当たり始めると、ムラソイの活性が一気に高まってきた。「ここはっ!」って思った穴からは、確実に引っ手繰るようなアタリが続けてくるようになってきた。沈めていく途中の水面にもかかわらず、ムラソイが底の方から浮き上がってくるのが見え始めるようになってきた。

 海から離れた場所の穴では、ゆっくり浮き上がってきて、パクッと咥える。そしてしばらくジッとしていてから、底の方へ戻ろうとする。それらの一部始終がスローモーションのように見えて、スレてないムラソイ本来の姿を楽しむことができた。今シーズンは、徹底した奥の奥狙いで、ムラソイの穴釣りを楽しんでみようかな〜。


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