夏が終わりに近づいても、世間はまだまだ海水浴を勝手に楽しんでいる人はたくさんいる。それでも大きな岩が点在しているゴロタ磯では、磯遊びをする人はいるけれど、海に飛び込んでいることはマレだ。
今回の取材釣行では、アングラーの天国になっているようなゴロタ磯を探ってみることにした。波も静かで、外海からの新鮮な海水が循環されるような場所だ。
通常はちょっとでも荒れると釣りができないので、ここは魚影が濃い釣り場だといえる。しかしどの石からでも飛び出してくるわけではなく、特定の条件を満たした位置でのみ、ムラソイは反応してくれる。
そのキーワードとは、干潮時にカケ上がりを探るということ。ダラダラとした傾斜のゴロタ磯なので、手前は極端に浅くて釣りにくい。しかも下げに向かっているときに釣っていると、どんどん水がなくなってしまうのが難点だ。
だからこそ干潮時に釣りをすることで、傾斜の先にある急激なブレイクラインが理想的なムラソイの溜まり場になる。そのラインこそが、ムラソイが並んでいる海岸線ともいえるのだ。
つまり潮位が下がっていくにつれて、ムラソイもどんどん沖に向かって移動する。緩い傾斜を移動していくと、その先には一気にドロップオフするカケ上がりが出てくる。するとムラソイはそこでひと安心するので、裏側に身を寄せるようにして潜んでいるというわけだ。
しかもその多くが、石の沖側にあるエグレの下へ潜んでいる。実際に釣場へ出てみると気づくだろうが、ブレイクラインに向かってぶつかってくる波は、緩い傾斜の場所よりも強く当たる。だからこそムラソイはエサを捕食しやすい。
寄せ波によって、石に掴まっているカニなどは落とされる。ブレイクラインに沿って回遊している小魚たちも、寄せ波で岩の間へと押しやられる。だからこそ石の外側が、ムラソイにとって捕食しやすいポジションになるのだ。
この日は延々と続くゴロタ磯の、一番楽にアプローチできるエリアを探ってみることにした。駐車場から数分だけ歩けば、目の前はムラソイの宝庫とも思えるようなゴロタ磯が広がっている。
いつものようにLT-590H/Sのソフトティップを準備して、リールにはスムーズロックフィッシュの0.4号を巻いてある。リーダーには餌木SPリーダーの12ポンドをつないであり、根ズレ対策もバッチリだ。
それほど波があるわけではないので、波に漂わせられるサイズのジグヘッドをチョイスした。ソフトルアーは、お気に入りのパラマックスだ。2インチのグローさえあれば、たいていの場所で通用する。
さっそくharukaと追いかけっこしながら釣り始めたけれど、釣れども釣れども小型のムラソイばかりが掛かってくる。いくら入れ喰いとはいえ、サイズアップできないとちょっと悲しい。
そこで50mほど飛ばして移動し、大きめの石が点在するエリアを探ってみることにした。しかもダラダラしたゴロタの傾斜には水が少なく、波打ち際にはその先に深くなっているブレイクラインが見えていた。狙いはそのブレイクラインだ。
スパイクブーツを履いているので、そのまま石を渡ってギリギリまで行ってみた。手前側の水はほとんど動いておらず、試しにジグヘッドリグを沈めてみても反応なし。
ボクの経験で判断すると、こういったシチュエーションでは外側にムラソイは居着いている。つまり寄せ波によって、エサのカニや小魚が入り込んでくる。それを狙うのに理想的なポジションというわけ。
できるだけ腕を伸ばして、外側から寄せ波を利用してジグヘッドリグを流し込んでみた。すると送り込みきる前にロッドを引き込まれて、良型のムラソイを引きずり出すことができた。
すぐにharukaを呼んで、同じようなパターンで探らせてみた。すると予想通り、harukaにもあっさりと良型のムラソイがヒットした。パターンを把握してしまえば、歩きにくいゴロタでムダな動きは必要ない。このブレイクラインだけを探って、丁寧に探り歩くだけだ。
すると先ほどまでの小型はほとんど混じらず、とにかく良型主体によく釣れる。こんなにムラソイが隠れていたのかと思うほどに、ロッドをガンガン引っ手繰っていく。「いるはずなのに?」と思ったら、さらに奥まで探ればいい。
こんな調子で1時間ほど、思う存分にムラソイの入れ喰いを楽しむことができた。徹底した穴釣りスタイルの場所だけれど、やっぱり手軽に釣れるから面白かった〜。
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