● 2008/01 護岸の下からカサゴを引きずり出せ! ●

 ちょっと前に大きな台風が小田原を直撃して、海は大荒れでひどいことになっていた。破壊された道路もあったし、土砂崩れで走れなくなっていた場所もある。

 台風が去った翌週も、いまだに荒れた海の名残りが残っていた。岸寄りにゴミがたくさん打ち上げられており、それらが釣場を塞いでしまっていた。ようやく濁りがとれてくれたものの、まだ気持ちよく釣りができる状況ではなかった。

 それでもそろそろシーズンインすると思われる、夜のカサゴ釣場が気になってきた。こちらのエリアでは、まだ専門に狙っているアングラーはほとんどいない。釣れ始めて盛り上がる前に、最初の情報発信をしたくてharukaと出かけてみた。

 いつものように愛車のサーフで箱根を越えて、夜の海へとひた走った。前の週に聞いた情報では、港内はかなりの泥濁りだったらしい。ある程度の濁りは覚悟していたけれど、海を覗くと意外にも澄んでいた。

 潮が下げに向かっていて、ほぼド干潮に近い時間帯だ。場所によっては海底が露出していて、狙えるポイントは少なそうだ。数ヶ所をチェックしてから、本命の港へと予定通り到着した。

 ここまでに、カサゴらしい反応はまったくなかった。ごみのスキマを狙っての探り釣りや、堤防先端の深場などにもいなかった。スロープのエッジや、護岸沿いでのリフト&フォールにも反応してこない。

 この釣り場では、岸から離れた場所の沈み根でも反応があることが多々ある。ところがそこからも、カサゴの生体反応は返ってこなかった。「やっぱりちょっと時期が早かったかな〜?」と思い始めたとき、近くにあるゴロタ横の護岸が目に入ってきた。

 普段は周辺に砂地が広がっているので、めったに探ることはない場所だ。しかし隣にはゴロタ磯が続いているので、ひょっとしたら移動して入り込んでいるかもしれないと考えた。

 護岸の下はエグレていて、さらに手前は穴のようになっている。もし潮位が高いときに接岸していれば、初期の赤いカサゴが潜んでいてもおかしくないだろう。そう判断して、まずは護岸の横を探ってみた。

 パワーシラスをセットしたジグヘッドリグをキャストして、ボトムへ着底させた。そしてエグレのエッジに沿って、ゆっくりとリーリングを開始した。

 するといきなりLT-590H/Sが絞り込まれて、エグレの奥へ引っ張っていく。そのままリーリングを続けながら、護岸から引き離すようにロッド操作をした。

 一気に抜き上げると、20cmほどの真っ赤なカサゴだった。いつもは反応が少ない場所なだけに、可能性を考えていたとはいえ、ちょっと意外なヒットにビックリだ。

 いつものオープンな場所で反応がなかったのに、なんでこの場所にいたのかが不思議だ。台風の影響かなにかで、ひょっとしたらエグレの中に潜んでいたままだったのだろうか。その真実は、カサゴ自身しか知るよしもない。

 そのまま同じ場所をトレースしてみたけれど、今度は反応がない。そのまま護岸エリアを探ってみたけれど、やっぱりどこからもカサゴの反応はなかった。

 そこで護岸を戻りながら、今度はエグレをピンポイントで直撃してみることにした。するとそれまで反応のなかった護岸から、あっさりと強烈な引き込みがきた。夜だというのに警戒心を解かず、エグレの奥深くに潜んでいたのだった。

 すぐにharukaを呼んで探らせると、同じようにエグレから良型のカサゴが飛び出してきた。最初はそのまま潜られてバラシてしまったけれど、すぐに再びヒットさせて無事にキャッチできた。

 ふと海に目をやると、ちょうど上げ潮で潮位が上がり始めていた。この釣り場では、昔から上げていく最中にアタリが頻発することが多かった。エグレの奥がキーだったのか、それとも潮が上げ始めたことが良かったのか。これもカサゴに聞いてみないと分からない。

 ポツポツと抜き上げて、このエリアでの状況チェックは終了。そのあとは数ヶ所をチェックしたけれど、同じようなシチュエーションのポイントがない。それ以外の場所で反応はなかった。

 最後に寄った場所では、堤防の先端に似たようなエグレがあった。さっそくそこにジグヘッドリグを沈めてみると、リーリング開始と同時にロッドが引き込まれた。

 やはりエグレがキーワードだったようだ。もちろん上げ潮が効果を高めたことは言うまでもないだろうが、今シーズンの展開の参考になりそうだ。


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