●1996/09 久慈漁港のメバル●

 前回に引き続き、最近はどうも茨城の海に凝っている自分にふと気が付く事が多くなってきた。関東の中でも比較的ルアー人口が少なく、特に海のルアーに関してはまだまだ専門に狙っているルアーマンは少ないようだ。
 茨城と言ったら皆さんはどんな釣りをイメージするのだろう。多くのルアーマンの方が霞ヶ浦であったり北浦であったりと、内水面でのブラックバスを真っ先に挙げるのではないだろうか。
 しかし、最近は徐々にではあるが様子が変わってきているようだ。一部の人達は那珂川河口などでのシーバスを密かに楽しんで居たようなのだが、だんだんと他県からのルアーマンも茨城に目を付け始めているのだ。しかも、ブラックバスではなくソルトルアーに…。

 最近ボクも茨城の海への釣行回数が増えるにつれて魚種と魚影の多さにしびれてしまった一人なのだろうと思う。何故かって…、だって釣れるんだもん。おおよそボクの住んでいる神奈川の西湘や、ボクの大好きな伊豆半島なんかに比べたってヒケを取らないどころか比較にならないくらい良く釣れるんだ。
 最も通っているうちにターゲットの分布やシーズン、そして攻略法が見えてきたからなんだ。でも、全く知らないフィールドに出てそこそこの結果を出そうと思ったら並大抵の努力ではできないヨ。ボクの場合も運よく地元のエサ釣りアングラーからの情報提供や多くの援助を受けたからこそ釣れるようになったんだと思う。

 本誌読者の皆さんには、知られているフィールドだけど案外詳しい情報が無い茨城のショアフィールドをこれからもたくさん紹介していけれたらなぁと思っている。
 ボクの茨城ルアー開拓に協力してくれている地元のアングラーの方々に感謝の意を込めて今回の釣行記を紹介してみようと思う。もちろん地元のエサ釣りアングラーたちも、最近ではボクの影響でソルトルアーにドップリと浸かっているのは言うまでもないだろう。ここでもまた、海のルアーフィッシングの魅力にとりつかれた素晴らしいソルトウォータールアーマンが誕生したのだ。

 さて、今回釣行したのは日立港に隣接した…と言うか、日立港の一部と言った方が適しているかもしれない久慈漁港に狙いを定めてみた。
 なんで久慈港なのかと言うと、当然の事ながら新鮮な情報が飛び込んできたんだ。しかも40cm級のビックリサイズのクロソイが…。東北のソイしか聞いた事のない人には、『茨城の日立でソイが釣れるの〜? 聞いたことネエゾ〜!』てな返事が返ってきそうだけど、これが未開拓の地?である茨城の海の凄いところなんだと思う。
 早い話が、この辺りでは他にも美味しい魚はいっぱいいるからソイなんか釣らないよと言うのが多くの地元アングラーの話なんだ。ほとんど狙っている人もいないから、これだけ通っているボクもシーバス狙い以外のルアーマンにこの辺りの港で会ったことがない。

 おっと、話を元に戻そう。つまりいい情報が入手できたから久慈港に行ったんだ。しかし…、結果から言ってしまえば残念ながらソイは釣れなかった…。こんなにソイのことを思い浮かべながら出かけて行ったのに…。
 ところが、ところがですヨ、釣れたんですヨ。なんだと思います。釣れたのはメバルなんだヨ。ソイじゃなかったけど、キャストの度にアタリがあったんだ。でも、こいつがなかなか思ったようにフッキングしてくれないんだ。

 この夜はビッグなソイを想定していたんでちょっとヘビーなトラウトロッドしか持っていなかったのが敗因だと思う。何故って、せっかくアタリがあってもロッドが硬すぎてコンッてはじいちゃうんだ。
 残念ながら、やっとのことでヒットさせたのはたったの3尾だけだった。それでも苦労したんだヨ。しかし、悔しくてしょうがなくって次回に再チャレンジとなったんだ。
 そして、その日はやってきた。大袈裟だけど前回はそれくらい悔しくてしょうがなかった。

 60分1本勝負を決め込んで、万全を期しての釣行だ。スライダーのクラッピーに期待して、カラーは濁り潮に実績のあるラメ入りチャートリュース。ジグヘッドは1/16OZのファインワイヤーをセレクトした。もちろんクラッピーの動きを妨げないように渓流用のトラウトロッドに4ポンドラインという、喰い込みとフッキングを考えたベストと思われるタックルだ。
 果たしてその結果は…。前回は満潮のため、港の奥にあるテトラの脇にメバルは集まっていた。しかし、残念ながらこの日はド干潮の時間に当たってしまい、メバルの群れを探すことから始まった。潮はまだ沖に向かって払い出している。
『ヘチだっ。この状況ならヘチに沿って港口に向かって移動しているはずだ』

 ヘチから30cmと離れていないギリギリをチャートリュースのクラッピーをデッドスローリトリーブ。予想が当たってすぐにメバルから反応が返ってきた。ファインワイヤーのフックと喰い込みティップのロッドが効を奏して面白いようにヒットの連発だ。やっぱり狙い通りに決まると面白いよネ。
 いかがですか。茨城の海にはこんなことがよくあるんです。しかも、超有名ポイント以外は他に釣っている人がほとんどいないんですヨ!


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