●1997/01 宇久須港のメッキ●

 いよいよと言うか、ついにと言うか、でもやっぱりやっと来たと言った方がいいのかな。ボクたちソルトルアーマンの待ちに待った季節の到来だ。
 最もこの号が発売される頃には既に晩秋のはず。でもボクが楽しんでいる今は…今は〜もう秋〜、誰も〜いない海〜…なんて都合のいい事はないけど、メッキを楽しむ事が大好きな人のための季節真っただ中なんだヨ。
 この情報伝達の遅さ…何とかならないのかねぇ…K哲編集長。読者の皆さんが怒っちゃうよ。

 まあ、そんな事はどーでもいいんだけど、みんなは当然もうメッキを楽しみに行ってるよネ。もう状況は知ってると思うけど、今年は物凄いメッキのアタリ年なんだよネ。
 9月の末に関東へ接近してきた大型台風が、メッキたちを南の海からタ〜ンマリと連れてきてくれたみたいなんだ。
 実は例年ならば8月末には場所によっては随分といい思いが出来るんだけど、試しに行ってみたら全くダメだったんだ。いることはいたんだけど、ルアーを追ってくるのは数少ないここで生まれ育ったような超ベビーサイズだけだった。

 ところが、去年もあまり良くなかったから今年もダメなのかなぁと思っていた矢先の出来事だ。みんなも知ってるアノ台風がやってきた。
 メッキ大好きルアーマンにとっては当然の事なんだけど、早速台風の通り過ぎた快晴の週末、ボクのホームグランドである西伊豆へ出かけてみた。
 早朝の6時に小田原の自宅を出発し、最初に狙ったのは宇久須の堤防だ。ここはアタリ年には強烈な釣れ方をするので、地元のルアーマンには有名な場所だ。

 今回狙った堤防は湾内にある小さな堤防で、一般のエサ釣り師もほとんど来ることはない。ここで話しかけてくるのは地元の漁師さんと散歩のお年寄りだけだ。静かにメッキを楽しみたいルアーマンにはうってつけのポイントと言えよう。最もメッキが釣れ過ぎたら静かになんて釣ってられないけどネ。
 徐々に堤防の先端に向かって歩いていくと、堤防の先端では潮の動きが複雑な渦を作り出している。ウネリと潮の流れで何とも言えない雰囲気をかもしだしている。

 以前海が荒れた後に、南伊豆の伊浜で同じような状況に出くわしたことがある。アノ時も港の入口付近は川のように流れていて、その中から信じられないくらいメッキの大群が飛び出してきてくれた。何となくそんな楽しかった出来事がフッと脳裏をよぎった。
 先端付近では小さなベイトフィッシュがピッピッと何かに追われている。水面からわずかに背中を出してベイトフィッシュを追っているその姿は間違いなくメッキだ。しかも、目の前に繰り広げられている状況から判断するとかなり大きな群れのようだ。
『チャンスだ!』
 とっさの判断でキャストしたのはアイルSR50mmのブルー。
『アッ、追ってきた。ヒット!』
 しかし、綺麗な弧を描いていたトラウト&スピンはすぐに伸びきってしまった。バレてしまったんだ。

 この時、アイルを追ってきたメッキの数は30尾くらい。再びキャストしてファーストトゥイッチングしてみたら最初と同じようにいくらでも追ってくる。
 ところが、いくら攻めてもメッキたちはルアーを追ってくるだけでフッキングまで至らない。扇状になって様子を見ているだけのようだ。・ とてもこの時期からメッキがスレてしまうなんて考えられないが、何としてもヒットに持ち込まなくてはと久々に真剣になってきた。水温の影響や潮の流れ、ベイトフィッシュのサイズなど色々と考えられる事はあるけど、何しろメッキをヒットさせるためにシーズン後半のスレメッキ用のチョコマカトゥイッチングで反応を見ることにした。

 このテクニックでは表層で波紋を作り出しながら誘う。本来ならメッキの活性を更に高めるためにポッパーをセレクトするのだが、現実には浮力のあるスリムミノーでそのままバイトさせた方が効果のあるケースが多いようだ。当然スリミミノーはメッキのヒット率も高くなる。
 結果はさっきまでの苦戦がウソのようにチョコマカトゥイッチングで攻略することができた。しかも、1尾ヒットさせてからはメッキたちの活性が上がり、簡単お手軽メッキフィッシングを誰でも楽しめるくらいになってきたんだ。

 例年この時期に釣れるメッキは小型が多いが、サイズ的にも満足のいく手のひらクラスが主体だ。
 この後も松崎までの港を転々と探りながら移動していったが、どこのポイントもメッキの姿を捕らえる事ができた。今回の目的は今シーズンのメッキ状況調査といったところなので、チョロッと釣っては移動の繰り返しだ。
 ひと通りチェックした後にいつもなら朝のうちに攻める戸田湾に立ち寄ってみた。この日は何となく御浜崎のサーフを中心に狙ったんだ。

 直感でキャストしたサーフでも大アタリで、サーフラインに沿ってたくさんのメッキが回遊していた。ここは今シーズンの穴場的存在と言えるだろう。と言うのも、狭いサーフをグルグル回遊しているので回遊のインターバルが非常に短いんだ。
 そして、ここでもチョコマカトゥイッチングは炸裂した。今年のメッキはこれで決まりだネ!


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