●1997/03 戸田港のアナハゼ●

 前回のメッキに引き続き、今回も西伊豆の御浜崎でアナハゼにチャレンジしてみた。もうみんなはアナハゼって知ってるよね。知らない人はクチをカサゴにしたようなアイナメと思って頂ければいいだろう。
 何だかいい加減な表現だけど、知らない人が見たらきっとアイナメが釣れたって思うかもしれないね。でも、そんなひょうきんな雰囲気を持ったアナハゼがルアーのターゲットとして面白いんだよ。

 アナハゼって言うと、岸壁沿いでミノーなんかをヨタヨタと泳がせてくると常に一定の間をおいてついて来るのを見たことがあるかもしれない。でもなかなかフッキングしなかったなんて記憶のある人も多いんじゃないかな。
 そう、アナハゼってヤツは専門に狙ってみるとなかなか難しいんだなぁ…これが。岸壁の道化師なんてニックネームを付けてやったら喜ぶかもしれないね。

 さて、今回は毎度の事ながらこのシーズンになったらお約束で、西伊豆へのメッキロードのはずだったんだけど…。ホントは早朝に御浜崎のサーフでメッキをたんまりと釣ってから他の漁港をドライブしながら狙っていく予定だったんだけど、朝起きるのがイヤでノンビリの釣行になった。それが良かったんだか悪かったんだか。
 本来ならここは夕方のために残しておいて、さっさと他の場所に行ってしまえば良かったんだけど…。何とな〜く寄り道したくなって御浜崎に降りていってしまったのが運のツキ。結局サーフで朝飯前の…じゃなかった、昼飯前にチョチョイとメッキを楽しんでしまった。ところが寄り道好きのムシはまだまだおさまらず、御浜崎のサーフに突き出している2本の小さな堤防でルアーをキャストしたくなった。タッタッタと堤防に入っていくと、目の前にはピュンと逃げる人影…じゃなくて魚影が見えた。

 この堤防は歩く部分こそ通常の堤防となんら変わりないけど、両側の水中に没している部分は石積みになっている。しかも手頃なスキマが至る所にあるから、ボクの大好きなアナハゼにとっては絶好の隠れ家になっているようだ。
 早速堤防の付け根付近の水深50mくらいの超浅場からルアーを泳がせてみた。狙いは先程の魚影が消えていったアナの上だ。アイル50mmを堤防と平行に軽く3mほどキャストしてみた。すると着水したとほぼ同時に別のアナから飛び出してきたヤツがフッキングしそこなって反転していった。

 よく見ると今のたった1回のキャストで付近のアナからアナハゼたちがひょっこりと顔を出している。
『驚いたなぁ、なんだかここの石積みはアナハゼの高級マンションみたいだなぁ。いくらでもアナハゼが釣れそうだよ』

 堤防の付け根周辺には他の釣人がいなかったので、堤防に沿っておもいっきりミノーをキャストした。そしてファーストトゥイッチでチョンチョンチョンと踊らせながらリトリーブ開始だ。すると思った通りの事が起きた。
 なんと石積みの至る所のアナからアナハゼたちがヒョイッ、ヒョイッと次から次へと顔を出してくるではないか。物凄く活性の高く好奇心旺盛なアナハゼたちだ。最初の1投目こそチェイスしてこなかったけど、予想通り2投目以降はそれこそ狂ったように反応してくる。
『ヒットォー』
『またヒットだヨ。面白いようにアタックしてくるよ』
『ここに出てきたアナハゼは全部ヒットさせられるんじゃないかな』
 しかも、釣れてくるアナハゼのサイズはこの辺りにしてはマアマアの15〜20cm級だ。これならメッキ用のライトタックルで十分楽しむ事ができる。

 しかし活性の高いアナハゼも困ったもので、ミノーのフロント側とテール側のフックを両方とも喰わえてしまうため、フックを口から外すのに手間取ってしまう。バーブレスだろうが何だろうがこうなってしまうと厄介だ。
 結局この日はアナハゼにかなりの時間を費やしてしまったため、多くのメッキポイントを回り切ることができなかった。これもボクの得意?な寄り道グセのおかげだ。とは言っても、これだけのアナハゼに出会えるなんて考えようによってはかなりいい経験ができたと思う。

 だって岸壁やロープ沿いに居着いているアナハゼを専門に狙って釣ろうと思ったら、サイズは小さいしスレててなかなかルアーにアタックさせられない。なんてったってアナハゼはメッキと並んで手軽に釣れるターゲットの代表なんだからね。
 どうせリリースするなら(別にリリースしなさいとは言ってませんので念の為…)メッキだろうがアナハゼだろうが同じように楽しいと感じているのはボクだけじゃないと思うんだけど…。

 ちなみにアナハゼを食べた事は無いけど、メッキは以前食べたことがある。その時のボクなりの見解は、ギンガメアジだったら25cm以下のヤツは非常に泥臭い。それ以上のサイズならなかなかグッドだ。川に入っているメッキもクサイですよ。
 でも、ロウニンアジなら小さくてもカイワリのように美味しいという事実も付け加えておこう。
 最後にちょっと脱線しちゃったけど、アナハゼはルアーのテクニックを磨くのに最適なターゲットだという事を知っておいてもらいたい。バカにしたらイカンヨ!


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