●1998/01 西伊豆のメッキ五目●

 さて、前回の予告通り今回は早速西伊豆のメッキを狙いに行って来ちゃったよ。以前から何度も紹介しているように、今シーズンは大型台風の関東地方への接近以来、かなり大きな群れが入り込んできたようなんだ。だから今年はメッキをメインで狙うのが、ライトアングラーの正しい楽しみ方と言ってもいいんじゃないかな。
 この日は数年前から続けているボクのお決まりコースで、西伊豆を中心に所狭しと攻めまくってみる事にした。自宅のある小田原を出発したのは朝の6時で、最近には珍しくひとりでの釣行だ。いつもなら誰かしら同行者がいるけど、今回はのんびりと自分のペースで景色なども楽しみながら遊ぶ事にした。

 まず最初に訪れたのは西伊豆の戸田港だ。ここはボクがその日の状況を占う意味でも毎回訪れる。漁協横の製氷所前の岸壁に立ち寄ってみると、既に数人のライトタックルルアーマンが黙々とルアーをキャストしている。
 しばらく様子を見ていたけど、全く魚の気配は感じられなかった。すると突然沖の方で海面が騒がしくなってきた。ベイトフィッシュらしい小魚の姿は見えないが、明らかに水面をザワつかせながら移動しているその魚はソウダガツオだ。
 ところが不思議な事に、数人のルアーマンたちは自分のすぐ目の前で繰り広げられている凄い光景に全く気が付いていない。メッキ以外は眼中に無いのか、ルアーで釣れる魚だという認識が無いのだろうか。今となっては知るよしもないが、まだまだターゲットの多さを宣伝していく必要性を感じた。

 ロッドはDUELのトラウト&スピン7ftに、ルアーはブランカ12gを結んだ。そのナブラが近くに来るのをじっと待ってみた。しかしあとちょっとの距離まで来るのだが、結局はヒットさせる射程距離には入ってこなかった。
 場所を反対側の御浜崎へと移し、サーフに突き出す小さな堤防で遊んでみた。でも残念ながらここにもメッキはいなかった。ちなみに最近戸田湾にはマダイの稚魚を放流し、しばらくの間は禁漁になっている場所があるので注意しようね。ここでの釣果はエソが1尾。

 ここで大きく場所を移動した。次に立ち寄ったのは宇久須堤防だ。湾内にある小さな堤防の付け根がボクのお薦めフィールドだ。ここでは小さなヤツから25cm近いサイズまでが飽きない程度に遊んでくれた。メッキロードはこうでなくっちゃ!
 オマケにこの日は潮が濁り気味であったため、予想外のヒラセイゴまでヒットしてくれた。どうやら堤防の影へ隠れていたヤツが、ホログラムカラーのアイルにたまらず飛び出してきたようだ。魚影の濃さに納得して宇久須を後にした。

 こうなって来るとメッキロードは五目釣りと化す。最もこの何でもOKのお手軽さが、ショアからのライトタックルの魅力なんだよね。
 次に目指したのは田子湾だ。湾奥の造船所周辺のカケ上がりを回遊するメッキを探そうと考えた。ところが全く姿が見えない。係留してある船の影に60cm程のシーバスがじっとしているだけ。足場が高く、抜き上げられるタックルではなかったので素直にパス!

 う〜ん、どうやら今シーズンは今の所あまり奥まった場所には多くないようだ。8月頃から南伊豆などの河川内で釣れていた数センチのメッキたちも、外へ出ていってしまったようだし。この後の何ケ所かを回った時点でハッキリ分かったけど、現状のパターンとしてはかなり潮通しのいい湾の入り口付近を中心に、定期便のような感じで回遊しているようだ。
 同じ田子湾でも、大田子のように潮が湾口から真っ直ぐ向かっているような場所では、そのメッキたちの姿を少ないながらも確認する事が出来た。そこで狙いを変えて、更に南伊豆へと近づいて、小さな各漁港を探ってみる事にした。暫くしてこのヨミが正解である事が分かった。

 松崎港ではサーフの付け根の護岸付近での潮通しが良く、障害物の影などから飛び出して来るメッキが多かった。夏の間多かったジェットスキーもいなくなり、まさにルアー天国の様相だ。
 隣の仁科大浜の堤防周辺でも同じだ。サーフのブレイクラインの落ちたところを中心に回遊していた。そして岩地港でもソゲ混じりでそこそこに楽しめた。

 余談だけど、メッキこそヒットしなかったが、岩地港の帰りに漁港からの坂道を登っていく途中で、1台の車とすれ違った。何となく覚えていたんだけど、どうやら読者の方らしくて、後日「ひょっとしてアソコですれ違ったのは野地さんでは?」というE-mailを頂いたんです。ありがとうございます。
 しかも次に寄った石部港でも読者の方とお会いでき、「いつも本を読んでいますよ」と、嬉しくなっちゃうお言葉を掛けていただいた。こういう時は本当にやっていて良かったなぁと感じるんですよ。皆さんももしフィールドでボクを見かけたら、気兼ねなく声を掛けて下さいね。

 石部ではちっちゃなメッキが多くて、そのまま移動。素直に次の雲見港へ行ってみた。ここはサーフの中央に小さな流れ込みが有り、その両側に短い堤防が突き出している。
 更に右側の岩場よりには小さな堤防がもう1本。いずれもメッキのヒット率が高いフィールドだ。今回狙ってきた中で最も潮の動きが良く、非常に期待できる場所なんだ。

 案の定、右の岩場よりの堤防からルアーをキャストしたら、1投目から嬉しい答えが帰ってきた。ここのメッキは必ずと言っていいほど、この堤防の正面から突っ込むように湾内へ入って来る。それがここを最初に選んだ答えだ。
 キャストするたびにメッキの大群とヒット。これだからメッキは辞められないよね。そしてお約束通りに河口の堤防へ移動して、右側から回遊してきたメッキを再び狙い撃ちする事が出来た。ここでのオマケは何とダツ!

 数年前にメッキロードの特集をやった年と同じように、ヤガラの姿も確認できた。ヒットのアクションパターンも、余計な小細工のいらない基本的なファーストトゥイッチ。いかにリズムを崩さずに、ちょっと多めのストロークで動かすかがキモになりそうだ。
 この日はこの後も好調で、伊浜港でもたくさんのメッキたちと遭遇する事が出来た。みんなも今シーズンはどんどん西伊豆に通ってみたらどうかな?


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