●1998/05 戸田港のカマス●

 さあ今月も釣るゾーってな訳で、今回はボクの庭でもある伊豆半島でのチャレンジだ。寒い冬の時期は、みんなが昼間のライトタックルゲームに困っているらしい。もう少し暖かくなれば、サーフのソゲも安定するだろうし、もちろんムラソイやカサゴも楽しみやすくなる。
 そんな海の状況で、ほとんどのルアーマンはシーバスや小さなメバルで遊んでいるんじゃないかな。たくさんの人から(K哲編集長からも)冬はターゲットが少なくなるから、ライトターゲットはどうもなぁ…、なんて話しもチラホラ。

 でもソルスト読者なら知ってるよね、海にはターゲットがた〜くさんいるって事を。もちろん陸っぱりから釣れるターゲットだって、シーバス以外に寒い冬でも狙える元気者がいるんだよね。
 今回はセレクティブな性格を丸出しにしてルアーへ挑んで来る、カマスくんたちをターゲットにしてみる事にした。

 えっ、こんな時期にカマス?って思う人もいるだろうけど、通常日本の海でルアーのターゲットになっているカマスは3種類いる。えっ、2種類じゃあないのって思った人はもうちょっと勉強しようね。もちろんもっと種類はいるみたいだけど、あくまでも一般的な話しだよ。
 南の海で狙われている大型化するカマスにオニカマスという種類がいる。これはバラクーダと呼ばれているよね。南の海でジギングなんかをやっていると、何の前ぶれも無くノーテンションになって、気がついた時には鋭い歯でラインはスッパリなんてことがある。

 関東ではたまに小型が見られるけど、今回はそれじゃあない。一般的なカマスって思ってもらえばいいんだよ。普通はそのバラクーダとただのカマスっていう具合に2種類が知られているけど、実は関東で良く釣れるカマスには2種類いる事を知っているかな?
 ちょっと手元に魚の図鑑があったら、カマスが載っているページを広げてごらん。その中にはアカカマスとヤマトカマスっていうのが載ってるでしょ。漁師さんなんかはあまりこの呼び方をしてないんだ。良く漁師さん達との会話で使われるのは、油カマスと水カマスだね。

 ちょっとどっちがどっちだったか忘れちゃったけど(厳密に言うとその地域によって漁師さんと話していると、逆の呼び方をする事がある)、だいたいの共通意見は油カマスが美味しくて水カマスはちょっと味が落ちるって事くらいかな。
 ボクは個人的にアカカマスの方が美味しいと感じるので、きっとアカカマス=油カマスが正解なのではないかと勝手に思っている。
 さて、それじゃあ簡単にどこがどう違うのかを説明しておこうね。ちょっとだけお勉強だよ。図鑑をよ〜く見てみると、アカカマスはいかにも美味しそうにふっくら太っているでしょ。それに対してヤマトカマスはちょっと細身のボディで、スマートながらもギョロッとした大きめの目が印象的なんじゃないかな。

 ところでみんながカマスを良く釣るのは何月頃かな。えっ、こんな時期にカマス?って思った人は、自分が良く釣っているカマスはどっちの種類だと思う?
 春先にエンピツカマスがたくさん釣れていたのは、まだみんなも覚えてるでしょ。船からでもたくさん釣れていたよね。あれが実はアカカマスの方みたいだね。それでこの寒い時期に伊豆半島なんかで釣れているスマートなのがヤマトカマスって事なんだよ。

 先日某メーカーのMさんと話した時に、「いやぁ、先週末に西伊豆の戸田港で、夕マヅメのカマスを狙ったらバッチリでしたよぉ。たまには行ってきたらどうです?」な〜んて話しをしたら、「えっ、こんな時期にカマス釣れてるの?」って予想外の返事が返ってきちゃった。
 しばらく考えて「そうかぁ、そう言えばそんな時期だねぇ。たまには行って見ようかなぁ」だって。やっぱり知ってる人は知ってる。読者の皆さんは、ちゃんと知ってた?

 と言うわけで、今回の釣行は西伊豆の戸田港でカマスを狙った。秋頃には朝マヅメにかなり釣れていて、暮れにはちょっと落ち着いていたみたいだね。それが今年に入ってからは、朝マヅメよりも夕マヅメ勝負に分がある状況へと変化してきた。
 取りあえず久しぶりの伊豆だったから、東伊豆側から子供を連れてグルッとドライブだ。南伊豆を通って西伊豆へ抜けた。途中海の様子を見に立ち寄りながら、最終目的地の戸田港へ夕マヅメに到着だ。

 漁協製氷場の岸壁にはいつもある大きな船が係留されてない。その代わり岸壁沿いには60過ぎのおじいちゃん達がいっぱいだ。ナントみんなルアーをキャストしているのには驚いた。しかもカマス狙いで。
 3号くらいの黄色いラインとか、ルアーは9cmくらいのミノーを使っている。それをおもいっきりキャストして、かなりのスピードでリトリーブしていたんだ。もちろん腰にはスーパーの白いビニール袋をぶら下げていたのが印象的!

 この日は釣れ始めるのが早かったらしく、ボクが到着した時間にはひと騒ぎが終わった後らしい。もういなくなったから今日は帰ってこれで一杯やるんだとか。まだ本当の夕マヅメじゃないのに、おじいちゃんの集団はゾロゾロ帰っちゃった。
 まあこれからが本職ルアーマンの本領発揮だなと思いつつ(実は本当にもう群れが去っちゃったかなと脅えつつ)、DUELのニューラインであるアイルSWの先にアイルSR50のホログラムブルーをフリーノットで結んだ。

 おじいちゃん達がファーストリトリーブで釣れなくなったって言ってたけど、この時期のヤマトカマスの攻略法はスロー&小さめで動かしすぎないトゥイッチなんだよね。着水後、まずは2〜3回ハンドルを一気に回して水に馴染ませる。水面から50cmくらい下をスイムするようにリトリーブスピードをコントロールし、時々アイルが首を振る程度の小さなトゥイッチを入れてやる。
 結果はすぐに出た。やっぱりいたんだよね、カマス達は。騒々しく釣ってたから、ちょっと沈んでただけみたい。誘い上げられるように大きな群れが水面付近へ上がってきてくれた。その中の1尾が予定通りにアイルを喰わえてくれた。

 カマスは鋭く小さく合せるとフッキングがいい。セオリー通りにバッチリのフッキングだ。下から浮き上がってきたカマスは、しっかりとアイルのお腹側のフックににフッキングしてる。後は毎度の事ながら、暗くなるまでこの調子で楽しめた。
 冬だからって家に閉じこもってると、釣れる魚も釣れないゾ。ドライブに行ったついでだっていいじゃない。陸っぱりライトタックルはいつだって楽しめるんだよ!


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