● 2001/11 ベイトフィッシュの少ない時期は港外をチェックしよう ●

メッキが始まるシーズン初期は、港の中にベイトフィッシュが入ってないケースがある。長々と海が荒れないと、ベイトフィッシュを追っているメッキも外へ散歩に出て行ってしまうのだ。

 皆さんは、最近ライトタックルのターゲットと遊んでますか。今月から、久し振りにライトターゲットの連載を始めます。色々と読者の皆さんから質問を受けるんだけど、「こんな時にはどんな事を気にすればいいの?」という類いの話を、メールや釣り場で耳にする。

 質問されると分かる限りは説明するようにしているんだけど、せっかくだから季節に応じたターゲットのタイミングに合わせて、誌面で紹介しちゃおうってのが、今回の企画なんだ。

 そこで早速連載1回目のターゲットをメッキに決めて、その中で過去に質問の多かったテーマで話してみようと思う。まあ気になるのは、皆さんが思っている状況と、ボクが認識している状況とで、どれくらいのズレが生じているかなんだけど、ひとつの考え方の目安として、皆さんのフィールド状況と照らし合わせて考えてもらえればいいと思う。

 今回のテーマは、「シーズン初期に多く見られるベイトフィッシュの少ない時、どこをどう攻めたらいいか?」という話だ。夏の終わりから秋口にかけては、海が静かな日が多い。これが台風でも来始めると、海の様子もどんどん変化していく。

 海が静かに落ち着いている状況が長く続くと、港内にいつもいるはずのベイトフィッシュ達が姿を消してしまうことがある。シーズン初期には、ボクも港内のスロープに居着いているメッキを狙うケースが多いのだけど、ベイトフィッシュがスロープから消えていると、メッキもほとんどそこにはいない。

 初期のスロープとは、群れが定着していれば数釣りをやりやすいシチュエーションなんだけど、存在そのものの条件がマッチしていないと、何のためにルアーをキャストしているのか、分からなくなるほどの事があるのも事実だ。

 皆さんからの話を聞いていると、今日はどこのスロープを見て回ってもメッキがいなかった。今年は釣れないのかなぁ・・・、ハズレ年なのかなぁ・・・と聞いたりする。ところが次の週に行くと爆釣だったり、更に次の週は何もいなかったり・・・。

 簡単に釣れる時しか経験のないアングラーは、この状況だけ見て諦めることも多いみたいだ。ところが、その場所だけが初期のポイントなのだろうか。そして真っ昼間だけが、メッキを狙うタイミングなのだろうか。そこをちょっとボクなりに説明してみる。

 そこで気にしなければいけないのが、ベイトフィッシュの存在だ。スロープ付近は外洋の影響も受けにくく、普段は比較的ボラっ子などの、メッキが捕食しやすいベイトフィッシュがたくさんいる。

 ところが前にも書いたように、海の静かな日が続くと、こういったベイトフィッシュ達も広く回遊する事がある。これらのベイトフィッシュがどこへ移動しているのかを、ここでちょっと考えてみればいい。

 オフショアなどの経験の多いアングラーなら気づくだろうが、沖にいる魚たちは、例えば夕マヅメになると岸寄りに集まってくる。「陸に魚が詰めてくる」と表現しているけど、仮にベイトフィッシュ達が港外を回遊していたとしよう。するとベイトフィッシュ達は、夕方近くなると港入口付近に集まってきやすい。

 夕マヅメに、港入口付近や堤防回りの浅いサーフなどで、小さな魚が群れているのを見かけないかな。時にはその小魚たちが、群れでピョンピョンと逃げ回っている光景も出くわす事がある。

 港内のスロープや回遊ルートを気にしすぎていると、こういった普段狙わなかったり、狙いにくい場所の状況を把握できてないアングラーが多い。同じ港で釣れたという情報を持っていても、具体的な状況を知っていなければ、「あいつは釣れるって言ってたのに、メッキなんかいないじゃないか!」ってな話になっちゃうかも知れない。

 毎回釣れているのにその日だけは姿を確認できなかったら、そういった時こそ普段試してない場所をチェックしてみたい。基本となるのは、やはりベイトフィッシュの動向だということを思い出して、その時々の条件からベスト、ベターのポイントを探し出してみたい。

 このポイント探しも、ルアーの楽しみのひとつだよね。人から聞いたポイントを攻めるだけじゃなくて、釣れなかったら釣れない理由を考え直してみたい。「メッキは水物」なんて表現される時代もあったけど、急にいなくなる訳じゃない。ここにはいないけど、じゃあ今はどこにいるんだろうって考えるんだ。

 待ちの釣りと違って、メッキはアングラーがラン&ガンで探し回る釣りができるターゲットだと思う。確かに回遊待ちに勝負をかけて、短時間で数釣りを楽しむ方法もある。でもせっかくメッキならではの楽しみ方ができるんだから、ボクはそういった釣り方をお薦めしたい。

 大体のイメージは分かってもらえたと思うけど、ボクが感じているのは、シーズン初期はそういった理由から夕マヅメの釣りが多くなる。昔は1日中かけて伊豆半島を移動していたけど、最近では海の様子を先にチェックして、夕マヅメにどこを釣るか考えている。そしてマヅメの接岸に備えている。

 つまり昼間は可能性を探るために素早く転々として、その日のフィールドの状況を確認するんだ。そしてスロープで反応があってベイトフィッシュもいれば、夕マヅメは港内を中心に狙う。逆に港内にメッキもベイトフィッシュも姿を確認できなかったら、夕マヅメのゴールデンタイムにもメッキは入ってこないと考える。

 特に夕マヅメが満潮と重なるような日であれば、港口やサーフのブレイクラインにベイトフィッシュが集まるケースが多く、これをデータの基本としてボクは結果を出す。ベイトフィッシュの動向を考えて、メッキに出会うチャンスを増やそう。

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