● 2002/01 夜メッキはスローな動きで誘い出して釣る ●

昼間のメッキが釣りにくくなるシーズン後半は、チャンスがあったらメッキのナイトゲームにチャレンジしてみたい。昼間ほどの高活性な反応ではないが、サイズアップが望めるのだ。

 これが皆さんのお目にかかる頃、おそらく秋の間に盛り上がっていたメッキも、姿を見つけにくくなっているのではないだろうか。冬が近づき水温が下がり始めて、南方系のメッキ達にとっては辛い季節がやってきた。

 水温低下で死滅してしまうメッキにとって、寂しい季節でもある。それと同時に、メッキ大好きライトアングラーにとっても、長い冬に突入してしまう悲しさを感じる。

 回遊中のメッキ達も、この頃になると生き残った群れが暖かい場所を探し始める。温排水を見つけて年を越す個体もいるのだけど、多くのメッキ達は短い一生を終えてしまうのだろう。

 そんな中、関東ではあまり馴染みの無い、夜のメッキ釣りを紹介してみよう。メッキというと、青空の下で気持ちよく、アップテンポに楽しむというイメージが強い。ところがシーズンの後半になると、群れの居場所を見つけてやれば、夜でも十分に楽しむ事ができるんだ。

 潮回りや潮位に関しては詳しく調べてないんだけど、ボクが試してみた限りでは、夕マヅメ以降の完全に真っ暗になってからの時間帯が面白いみたいだ。普通は暗くなると反応が途切れて帰っちゃうんだけど、完全に真っ暗になってしばらくすると、どこからともなくメッキの群れが回遊してきて、そこで入れ食いになった事が多い。

 そしてもう1つのパターンは、真夜中の月明かりの下で、南伊豆のように外海へ面した場所で、港内を回遊しているメッキに出会える事もできる。場所によっては、港内の照明に集まっているメッキが、長時間ポツポツと連れ続く場所もある。

 両方のパターンに共通して言えることは、必ずしもその場所で、昼間メッキが確実にルアーを追うとは限らない事だ。かってに想像しているのだけど、昼間は港の外や色々な場所を回遊していて、暗くなると外敵の少ない港内などで、長い夜を過ごすのではないかと思える。

 完全に生きていけないほど水温が下がってしまうと、夜の明かりの下にいるメッキは一瞬興味を示す程度にしか反応しない。ところが水温が低下しきる前の状態なら、夜のメッキだってルアーを活発に追ってくれるんだ。

 もちろん昼間のように攻撃的な誘いでは追いきれないような様子を見せるけど、比較的ジックリとスローに誘ってやる事で、ポーズの時間を長めにとってみる。そうする事で、極端にルアーの移動速度を速くしないのが、夜メッキの攻略に最も重要な事のようだ。

 ボクが最も結果を出しているアクションは、ロッドを下に向けて、一定のリズムでハタクように大きめのトゥイッチをするパターンだ。ピシッピシッと、水面下でトゥイッチャーやフローティングミノーで、キラッキラッとアクションさせる。

 あまり速くルアーを移動させてしまうと、夜のメッキはルアーに追いついてこないようだ。つまりスロー気味のトゥイッチをやることによって、食わせの間を与えてやる事になっているのだろう。そう考えると、夜のメッキはやる気が満々とは言えないのかもしれない。

 しかしそうは言っても、夜のトップゲームも楽しむ事ができる。これは比較的水深の浅い場所でいい結果を出せている感じがする。ペンシルタイプのトップルアーを使って、ここぞと思われる場所にルアーを着水させる。チョンチョンと動かして、しばらくポーズさせる。次にチョンと誘ったら、そのままバシュッと水面を割って飛び出してくる。

 もちろんそこにいればの話なのだけど、闇の中で水面を割って飛び出してくる音は、静かな夜の港でアングラーをドキドキさせてくれる。港内奥深くの小さな流れ込み周辺や、港入口の潮通しがいい堤防先端などで、楽しめる事が多い。

 さて、ここまで話してくると、徐々に夜のメッキにチャレンジしてみたくなってきたかな。夜メッキに最も重要なのは、メッキが夜の間に潜んでいるポイントを探し出すこと。いくら釣り方のパターンを覚えたとしても、メッキがそこにいなければ話にならない。

 今シーズンも必ず回遊していると言う保証は無いのだけど、参考までに伊豆半島の実績ポイントを紹介しておこう。ポイントのシチュエーションを頭にイメージして、皆さんの通っているフィールドで、雰囲気の似ている場所を探してみよう。

 まずは西伊豆だ。ここで過去に最もたくさんのヒットのあったのは、宇久須港だ。南側にある水門のある流れ込み周辺は、夕マヅメ以降の完全に暗くなった時間帯に、25cm級のメッキが入れ食いになったことがある。ボクの実績としては、過去No.1の結果を残している。

 次は南伊豆だ。比較的外海に面している南伊豆では、遅い時間帯、つまり真夜中で実績が多く出ているのが特徴だ。本瀬の港内は岸側が極端な浅瀬になっていて、小さな常夜灯が海面を照らしている。この周辺にメッキの回遊がみられる。

 いずれの港も、毎回必ずメッキに出会えている訳ではないけど、ボクとしては高確率だ。もちろん他の場所でも釣れているので、夜メッキを専門に狙うのではなくて、何かの釣りのついでに、ちょっと立ち寄ってみてはどうだろうか。

 最近では伊豆半島以外にも、相模湾や駿河湾の各漁港などで、夜メッキを楽しむアングラーの姿が増えてきている。アングラーが少なく、釣れればメッキとしては大きめのサイズが多い。これが夜メッキの密かに浸透してきている秘密ではないかと思う。

 メッキは昼間の釣りの方が面白いと感じるかも知れないけど、夜でもメッキは十分に釣れることが分かってもらえただろうか。夜までメッキを釣る気は無ければ、無理して狙う必要はない。でも色々な経験をする事も、釣りの楽しみだろうね。

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