● 2002/04 ライズしているメバルは水面を速く引いて攻略する ●

水面にたくさんのライズを見せているメバルは、時としてルアーに全く反応しないこともある。そんな時に試したいのが、水面を滑らせるようにワームで速く引くテクニックだ。

 夜のベイエリアなどで、手軽に狙えるターゲットといえば、メバルは忘れられない存在だ。多くの場合、メバルは数あるライトターゲットの中でも、比較的釣果を出しやすい魚といえる。ミノーを使ったり、ワームを使ったりして、様々なルアーとテクニックを駆使して楽しめる。

 ところが、これだけ馴染みがあり釣りやすいと思われているメバルといえども、信じられないほど釣りにくい時がある。それが今回のテーマに挙げてみた、ベイトフィッシュに狂って水面で捕食するメバルだ。

 こんな場面に遭遇したアングラーがどれほどいるか分からないけど、水面直下で捕食しているメバルがいると、意外と気づかないものだ。完全に水面の捕食しかしていない状況下では、ルアーに対して何の反応もしてくれないケースが存在する。今回は、そんな特殊なケースを紹介してみる。

 テトラ際や岸壁沿いなどで、小さなベイトフィッシュや小エビなどが群れていると、それを追い求めてメバルがたくさん浮上することがあるのだ。ある程度の数はヒットを望めるのだが、ライズの割にはそれほど釣れないこともある。

 こんな時には、いくらルアーを沈めてもダメだ。そうかと言って、ポッパーなどで釣っていたら、釣果はあるものの、群れを散らしてしまうこともある。ノーシンカーワームでジックリと誘って釣る方法でもいいのだけど、気の短い人には我慢ができないらしい。

 そんな時に試して欲しいのが、ワームを使った軽めのジグヘッドリグで、水面をはや引きしてくるテクニックだ。メバルを速い動きで誘うのは、イメージがちょっとばかり違うと感じる人が多いんじゃないだろうか。ところが、この水面を滑らせるように速く引く方法が、水面にしか目を向けてないメバルに対して、ことのほか効果的なのだ。

 ライズリングをよ〜く目をこらして見ていると、ある程度の数であれば一定のリズムでライズしている個体がいるはずだ。この釣り方では、その一定間隔でライズしているメバルを狙うのが、最も効果的だ。

 渓流のプールや大きな淵などで、一定間隔でライズしているヤマメやイワナを釣るときに、同じような攻略をする。それと同じようなシチュエーションと考えて良い。つまり捕食するタイミングで浮上してくるメバルの目の前に、針のついたルアーを、プレゼンテーションする。

 フライフィッシングのそれと違うのは、フワッと落とす点の釣りではなく、タイミングを見計らって通過させる線の釣りと表現すればいいだろうか。ルアーの場合、そっと落としても反応することが少なく、横の動きを加えた方が効果的なのだ。

 着水と同時に加えようとするメバルもいるのだけど、こちらで思ったほどはフッキングしてくれない。だから横の動きで誘うのだ。この時のメバルの反応は、一種のリアクションバイトに似ている。

 それだけに、ライズリングの位置を通過させる動きには、メバルが飛び出して加えやすいように、スムーズな動きで引いてくるのがベストのようだ。他の釣り方のように、一瞬のバイトの間を与えようとしたら、ずれた位置でライズが飛び出すか、気づかれてメバルが引き返してしまうようだ。

 色々と試してみた結果、ボクの結論としては、水面を滑らすようにスゥ〜ッと引いてやるのが最も反応のいい誘い方だった。具体的には、3ポンドのナイロンラインに1/16ozのジグヘッドを使い、水面を滑らせる程度のスピードだ。

 遅すぎると沈んでしまい反応しなくなるし、速過ぎたらメバルはルアーを口にすることができない。理想的なスピードは、そのライズに出会った時に試してみよう。

 この釣り方の場合、特別なアワセは必要ない。リールを巻いてくるだけでメバルはワームを口にしてくれるので、そのままリールを巻き続ければフッキングしてくれる。

 ロッドがしっかり曲がってフッキングを確認したら、ラインが切れない程度に群れから引き離す。群れの中にいつまでも止めておくと、他のメバルの反応がなくなってしまうからだ。

 下から浮きながら通過するワームを追って口にするから、魚もルアーと同じ進行方向に移動している。だから無理して引き寄せようとしなくても、リールを巻き続ければ、そこそこのサイズでもあっけなく群れから引き離せるはずだ。

 途中で巻く手を止めたり、ラインを弛めたりしたら、メバルが反転するので取り込みが面倒になる。もちろん群れの中でファイトすることになるかも知れないので、他のメバルを散らしてしまうことになる。

 さて、このようなシチュエーションの出やすいポイントとは、どんな場所があるのだろう。最も多いのが、テトラ際ではないだろうか。岸壁沿いでも起きるのだけど、その近くに手とたがあったら、そちらに近い場所の方が確率は高い。

 夜になると小さなベイトフィッシュたちは、こういったストラクチャーの近くに集まってきやすい。その近くに照明があったら、そこも十分にチャンスがある。テトラ際を照明が照らしていたら、ベイトフィッシュの存在により、スーパーライズに出会えるかも知れない。

 このライズに出会えることの多い季節は、春の潮に切り替わってからだ。十分に水温が暖かくなって、小さなベイトフィッシュの接岸が増える頃だ。シラスサイズのベイトフィッシュが多くなるのもこの時期で、メバルたちも活発になる。

 明らかにメバルと分かるライズがあっても、ルアーに全く反応してくれないケースに遭遇したら、諦めずに試してみよう。それはメバルじゃないかもしれないと弱気にならないで、水面を滑るようにワームで攻めるんだ。新たな世界が、きっと見えてくるだろう。

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