● 2003/07 流れのあるエリアでミノーを吸い込ませる ●

シーバスを狙っていると、うるさいくらいに集まっているボラに出会うことがある。シーバスしか眼中にないアングラーには関係ないかもしれないけれど、実は専門に狙ってみると、強烈なファイトの虜になってしまうアングラーもいるのだ。

 ボクがボラの楽しさに出会ったのは、冬の狩野川でのできごと。もう随分と昔のことになるけど、カサゴ狙いに通っていた頃、帰りにシーバスをやりに行くことがあった。そんな時に、流れの中にいる無数のボラに遭遇した。

 最近は首都圏への大量な出没によって目立っているけど、その当時はボラを専門に狙っているアングラーなんて皆無だった。当然ボラがルアーで狙えるなんて、考えている人は少なかったんだろうね。

 それでもボクは目の前の群れを、そのまま無視することができなかった。だってボラの強烈なファイトって、エサ釣りをやっていたから知っていたんだもん。あれがシンプルなルアーロッドで体験できたら、ダイレクトなパワーを楽しむことができると思ったんだよね。

 そのポイントは本流の脇で、中には排水が流れ込んでいた。ワンドの入口はテトラが入っており、流れ込んでいる排水口と、テトラの下流側にボラの群れがいた。テトラ側は群れが散らばっていたけど、排水口側の群れは、規律正しく扇状に広がっていた。

 マイクロミノーの得意なボクは、70mmのハイフロートタイプのミノーを結んだ。その理由は、流れの中に浮遊しているモノを、水面に出した口で吸い込んでいる姿を確認できたからだ。エサと思ってボラが吸い込んでくれれば、ひょっとして・・・と思ったからだ。

 群れの中に入ったミノーは、たくさんのボラの背中にぶつかりながらも、群れの前を泳いでくる。何度かのボラの感触を味わっていると、グイッと吸い込まれて引き込まれる手応えがきた。ロッドを強く引くようにアワセを入れると、バットから大きくしなって強烈な疾走が始まったんだ。

 ヒットしたボラはワンドから一気に飛び出して、流れの中へ移動していった。8ポンドのナイロンラインを使っていたけど、この強烈なファイトには不安を感じさせられた。

 だけど何度かの強引な疾走をかわしながら、初のルアーでのボラをキャッチすることができた。サイズは60cm級が多かったから、強烈なファイトも当たり前のこと。この当時から、ボクのボラをルアーで狙うという楽しみが始まった。


排水口をチェックしよう

 ボラの集まりやすい場所といったら、やっぱり排水口みたいに流れ込みのある場所だ。港内や磯、サーフといった場所にもたくさん集まるけど、ルアーで手軽に楽しめる場所といえば、やっぱり排水口が一番だ。排水口の流れ込む場所には、たくさんのボラが上流を向いて泳いでいるはずだ。その場所を見つければ、もう釣ったも同然だ。

 こういった流れ込みの場合、ボラは必ず上流に向かって泳いでいる。しかも群れで水面付近にいるので、存在を見つけることは決して難しくない。普段は排水口が水中に沈んでいても、潮が下げて潮位が低くなると、そこに流れが目立ってできるケースもある。こういった場所を中心に探して、群れているボラを攻略してみよう。


ストラクチャーの下流も狙える

 本文でも話しているように、本流の脇にテトラ帯などがあれば、そこは下流側に異なる流れの筋が現れる。こういったストラクチャーの下流側も、ボラが集まりやすい場所になる。こんな事実を考えると、ボラは排水口だけに集まるのではなく、流れの異なる筋を中心に、上流へ向かって群れてくる習性を持っていると考えられる。これ以外には、護岸のヘチに沿って群れている個体もいるようなので、河川内では特に色々な場所をチェックしておきたい。とにかく群れが濃くて、水面にボラが浮いている場所を探そう。


パワーのあるタックル

 ボラをルアーで釣る時の魅力といえば、何と言ってもフッキングさせてからの強烈な疾走だ。群れで捕食しているボラの「のほほ〜ん」とした姿からは想像できないほど、一気にトルクのある引きで走り回る。これだけの引きに対応するのだから、それなりにしっかりしたタックルが必要になる。

 ライトタックルというと、渓流用のトラウトロッドをイメージするかも知れない。だけど管理釣り場で使うようなフニャフニャのロッドだと、とてもじゃないが引きをかわしきれない。トラウトロッドで例えるならば、湖でブラウンを狙ったり、河川で大型のサクラマスを狙うロッドくらいのパワーが欲しい。もちろんできることならば、短めのシーバスロッドで挑戦したい。


ドラグは調整しておこう

 基本となるタックルが決まったら、あとはリールに巻くラインが気になる。ミノーイングでは、適度な伸びのあるナイロンラインが向いている。特にボラみたいに吸い込んで捕食する魚には、伸びの少ないPEラインは向いてない。しかしそうは言っても、突然の疾走に耐えられるドラグ調整は必要だ。ナイロンラインの適度な伸びが吸収するものの、8ポンドクラスのラインでもちゃんとしてなければ引きちぎるほどだ。


目の前を横切って吸い込ませる

 今回のボラをターゲットにした時、最も難しいのがルアーを吸い込ませるテクニックだ。群れで水面に口を出してパクパクしているボラなれど、思い通りにルアーを吸い込ませることが難関なのである。吸い込むことも上手くできないし、吸い込みやすいフィーディングレーンにミノーを流すことも難しい。

 しかしボラが群れで泳いでいる場所を狙うのだし、必ず流れに向かっている。大切なのはその群れの最も濃い場所を見極めることと、水面に口を出している位置を判断することだ。そして扇状に集まっているボラの群れの最も上流を狙い、横に立って向こう側へキャストする。

 着水したらすぐにリーリングを始めて、群れの先頭にいるボラの目前を横切らせる。そして口の前でロッドを少し送り込んで、そのまま吸い込ませる。もしくはスッと逃がすようにティップで操作すると、追って吸い込んでくれるのだ。

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