● 2003/09 水面で泳ぐハリセンボンを狙う ●

今回のターゲットは、信じられな〜いって思う人がいるかも。でもさぁ、何気なく狙ったハリセンボンが釣れちゃうんだから、ついつい夢中になっちゃったんだよねぇ。しかも釣り上げてからは、お約束の「ぷくぅ〜っ」だからね。

 今回のターゲットは、さすがにちょっと考えた。だけど実際に自分で釣っていると、これが面白くてやめられないんだなぁ。以前はこんな魚がルアーで釣れるなんて、まったく考えもしなかった。それどころか、自分が遊んでいるフィールドにいるのかも知らなかった。

 一昨年の秋、ライトタックル片手に伊豆半島を釣り歩いた時、夕マヅメの漁港でムツ狙いのワームを追ってくる魚に気が付いた。小型のムツをからかっていたので、水面をチョコチョコと動かしながらリーリングしていた。

 足元へ近づいて係留してあるロープの近くへワームが来たら、その魚影がワームを吸い込んだ。軽く重みを感じてからアワセると、それほど引かないで魚が上がってきた。体長およそ10cmほどで、目の錯覚か上げてくる途中から丸くなったような気がした。「おかしい、たしかにさっきは丸くなかった!」

 釣り上げた魚を見て、驚きながらも納得。なんとルアーで初ゲットのハリセンボンだ。こんなところでお目にかかれるとは思ってなかっただけに、ちょっとばかり驚きだ。泳いでいる時はしぼんでいて、釣り上げられてからプクゥ〜ッと膨らむことを改めて知った。

 この日は暗くなるまで楽しめるほど、足元の海の中にはたくさんのハリセンボンが泳いでいた。当然のことながら、こんな楽しみが今後も続くとは思えなかったので、娘と2人で存分に楽しんだ。

 ところが数週間後に地元の港へ遊びに行ったら、そこでもハリセンボンの群れと遭遇した。まさかこんな近所でお目にかかれるとは思ってなかっただけに驚きだ。しかもサイズが先日の伊豆で釣ったものより大きく、最大で15cmほど。存分に楽しんだことは言うまでもない。

 更に次の週末、今度は房総半島へ取材で出掛けた。すると外房や南房の海にも、このハリセンボンがたくさん泳いでいた。しかも今までは夜しかルアーには反応しないと思っていたのに、今回はお日様の下でサイトフィッシングを楽しむことができたんだ。

 これこそメインターゲットにはならないだろうけど、いざ出会ったときに無視せずに楽しんでもらいたくて、今回ここで紹介してみた。


港内のブイ周り

 数少ない経験だけど、ボクがハリセンボンに出会った場所は、港内のブイ周りが多い。それも潮がそれほど動いてない、悪く表現すると潮弛みの場所が多かったと記憶している。しかも浅い場所よりは、適度に水深があって海底が見えにくいくらいがいい。理由はよく分からないけど、活性の高いハリセンボンは、そういった場所に多かった。

 港内のブイに寄り添うような群れが多く、そのブイやそこに伸びているロープの周辺に集まっている。移動も特にそこから大きく反れることはなく、そのエリアだけをウロウロしているようだ。水面から30cmほど潜っている個体も多いが、実際ルアーへ反応してきたのは、水面で背中を出していたり水面直下を泳いでいるハリセンボンが多かった。


流れ藻の近くも要チェック

 ブイやロープだけでなく、流れ藻の近くに寄り添っている個体も多いようだ。ただし潮でどんどん流されているような流れ藻ではなく、潮弛みの中にある藻に多くついているようだ。沖で潮目の流れ藻を探っていると、マツダイに出会うことがあるけど、ちょうどそんなイメージで藻の近くへ潜んでいる。そして近くにルアーを通過させると、ピロピロとヒレを動かしながら追ってくる。港の奥に近いエリアで流れ藻などを見つけたら、ブイやロープと同様のストラクチャーとして意識してみよう。


吸い込み重視のタックル

 まあハリセンボンを相手にするためのタックルを、あえて準備する人はいないだろうね。だけどより釣りやすくするためのタックル知識として、ちょっとだけ紹介しておこう。ここでボクがオススメしたいのは、マイクロワームを使ったショートスプリットリグ。マイクロミノーにも反応してくるけど、追うというよりもついてきているだけという表現が近い。

 結局はマイクロワームを使うんだけど、メバル狙いと同様に吸い込みを重視したタックルバランスでチャレンジしてみたい。突っついて弾くような捕食をするので、できるだけ違和感なく小さな口に吸い込ませてやりたい。そのためにはティップが柔らかく、弾かれにくいロッドが釣りやすくなるんだ。


プライヤを使おう

 はっきり言って、ハリセンボンはごく普通?のフグだ。だけどその体表には、トゲのようなハリがたくさん突起している。ボク自身は直接握り締めたことはないけど、見るからに痛そうな体つきをしている。という訳で、ヒットした後にハリを外す時、触っちゃったら痛そうだからね。やっぱりこういう時にはプライヤを使って、安全にフックを外したい。プライヤを返す時、自分の手にトゲを刺さないように注意しよう。


目の前を通過させる

 ハリセンボンの攻略に重要なのは、やる気を持っている個体を探すことから始まる。とにかく表層に浮いていて、ストラクチャーについているハリセンボンを探そう。潜っているハリセンボンはほとんど反応しないので、水面だけを注視してその存在を探せばいいだろう。

 ショートスプリットリグにセットするワームは、とにかく細身がいい。これはハリセンボンの小さな口へ、確実に吸い込ませてフッキングさせるためだ。追わせて食わせるというよりも、目の前を通過させながら、タイミングを見計らって口の中へ吸い込ませるようなイメージだ。

 実際には後方から吸い込むのではなく、目の前を横切らせた時に、横咥えで掛けアワセるつもりだ。もちろん完全に吸い込んでくれることもあるけど、それはマレだろう。存分にサイトフィッシングを楽しみながら、タイミング重視で釣ってみよう。

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