このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
104号 に掲載された記事です

釣り場に応じたロッドの選び方

 前回のテーマは、皆さんにとって参考になったかな。ロッドを買うだけのことでも、理想を追求する以外に重要な事があるのを知ってもらえれば、ボクが言いたかったことは十分に通じたと思う。

今回のテーマは、ちょっと順番が逆になっちゃったけど、そのロッドをどうやって選ぶのかについて、釣り場に応じた考え方を中心にお話しようと思う。ベイエリア、サーフ、ゴロタ磯といった、様々なシチュエーションがフィールドには存在している。そのどれもが、ボク達ソルトアングラーの活躍の場になっているんだ。

ところが、タックル選びを間違えると、とてもじゃないけど釣りにならないケースもある。例えば、小さくて軽いルアーを使う場所で、10ft以上のロングでヘビーなロッドを使ったら、釣りはできたとしても使いにくい。

逆に、小型ミノーを使うようなタックルでは、サーフで大型ミノーをキャストすることはできない。フィールドの条件や使うルアーなどによって、そのときにチョイスするべきタックルは、自ずと決まっているんだよ。もちろんそれを使わなければ釣りができない訳じゃなく、少しでも楽で有利に、そして楽しく釣りをするためには、理想と思われるタックルが存在することを知っておいてもらいたい。

それじゃあ、いくつか参考を紹介しながら、ロッド選びの目安をお話してみよう。それから最初に言っておくけど、ここから先はあくまでもひとつの例であって、絶対にこれじゃなければいけないって内容じゃないよ。こういった考え方で、それぞれ自分自身のフィールド状況にマッチしたロッドを選ぶための、言ってみれば考え方の紹介だと思ってもらえばいい。

まずは分かりやすい所から紹介すると、サーフの釣りがいいね。ひと口にサーフと言っても、千葉の平砂浦みたいに波足が長い場所、西湘のサーフのように男性的な荒々しさを見せたりする場所、そして駿河湾特有の急深の場所などがある。それぞれ特徴的なサーフであると共に、全てが全く同じロッドでは、十分な攻略をすることができない。

ボクがこれらのサーフでロッドを選ぶとしたら、最低でも2種類を準備する。ひとつはとにかく遠投とパワーを持っていて、波の影響をあまり意識せずに済むロッドだ。波足の長いサーフでは飛距離も欲しいし、引き波での抵抗は魚とのファイトにもパワーを必要とする。

逆に足元から急深のサーフでは、よほどのことがない限り波裏にポイントの存在があり得る。そういったポイントだったら、遠投性能よりもロッドを長時間扱っても疲れない、バランス面での軽さや操作性を重視して選ぶ。

前者が10ft以上でヘビーな先調子のロッドを選ぶのに対して、後者では9ftクラスの胴調子気味のロッドを選ぶだろう。前者は硬さを重視するけど、後者はトルクを意識したロッド選びといえば、もう少し分かりやすいかな。

次にちょっと変わった条件を、実例を交えて説明してみよう。例えば夏の終わり頃からトップシーズンへ突入する、ライトターゲットのメッキだ。一般的には漁港の釣りのイメージがあると思うけど、漁港イコール足場が低いとは限らないよね。足場の低い場所だったら、マイクロミノーを扱うのに渓流用ミノーイングロッドなどが扱いやすい。ボク自身もパイロットロッドとして、その類のロッドを好んで使っている。

ところが水面までがかなり距離のある、いわゆる足場の高い場所だとどうなるか。一般的なミノーなどを使った場合、足元までキッチリと探ることができないのは想像できるよね。ロッドが短かったら、いくら竿を下に向けたって、本当の足元まで誘い続けることはできない。水面から飛び出してしまい、せっかく追ってきたメッキも戻ってしまう。

こんな時には、同じライトクラスのロッドを使ったとしても、長いロッドの方が有利になってくる。ルアーセレクトで対処する方法もあるんだけど、こういったケースのほとんどは回遊待ちである事が多い。そうなると、いつ回遊してくるか分かりにくい状況でルアーセレクトに頭を悩ませるよりも、最初からどちらにでも対応できる長さのロッドを持ち込んだ方が有利なんだ。

もうひとつ紹介してみよう。最近流行のリバーシーバスだ。ガンガン流れている瀬の中を狙うアングラーは比較的まだ少なく、最も流行っているのはシャロー攻略だろう。

このシャロー攻略のタックルが曲者で、大型ミノーでガンガンとルアーを追ってくれるような場所や状況ならいい。ところがどうしてもルアーのサイズダウンを余儀なくされることもある。しかもポイントとなるシャローエリアのすぐ横には、そのリバーの流芯が存在しているケースも多い。小さなミノーをしっかり泳がせるために、ロッドも少し弱めを選んでいる事もあるだろう。ラインを細くするための手段としてね。

それでうまく食わせることができたとしよう。柔らかいだけのロッドで、安心して取り込むことができるだろうか。おそらくかなり苦労するだろう。硬さだけを追求された最近のロッドでは、ロッドの肉厚を薄くすることでパワーを落としているものも多い。これでは柔らかいイコール単純なパワーダウンだ。

これを補っている作りなのかを、このときのロッド選びの参考にしてみたい。カーボンのトン数が低くても、肉厚によって硬さを追求せずにトルクを出しているものがある。同じ柔らかいでも、これが強い武器になるはずだ。

ロッドというのは、ラインを通して初めて気が付く部分もある。だけどスペックとして判断できる部分もあるのだから、単純に人気だけで選ぶ事のないようにしたい。釣り場にあったロッドを見つけ出そう!


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