このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
105号 に掲載された記事です

ロッドのアクションの考え方や分類

前回は、釣り場の状況に応じたロッドの選び方を中心に、長さやパワーなどのお話をしてみた。それ以外にも、ロッドの曲がり具合や強さなど、いくつか選ぶための要素を知っておきたい。

まずはロッドの曲がり方の違いを区別するための、いわゆる調子について話しておこう。先調子、胴調子という言葉を聞いたことがあるだろうか。ここでは何を先調子、胴調子と呼ぶのか、その辺りを具体的に説明しておく。

ちなみにルアー用語では、先調子のことをティップアクション、胴調子のことを、パラボリックアクションなどと呼ぶことが多い。何かの話題で出たときのために、ここではその単語だけでも覚えておこう。

それから、もうひとつ。ファーストテーパーとかスローテーパーという表現も、巷では使われている。ロッドのテーパーを見てもらえば分かると思うけど、先調子のロッドは根元が太くて、先に行くほど細くなっている。かなり急な太さの差(急なテーパー)がある。

胴調子の場合はその逆で、根元はそれほど太くなく、竿先部分との太さの差が少ない。仮に同じ強さのロッドが並んでいたとして(実際にはあり得ないが)、同じ重さを加えてロッドを曲げたとしよう。テーパーのきついロッドは竿先だけが曲がり、テーパーの緩いロッドは全体が曲がるはずだ。

こういった見方をすれば、先調子がファーストテーパー、胴調子がスローテーパーと表現されることも、なるほどなとうなづけるのではないだろうか。これらの表現は、ロッドメーカーによっても異なるので、納得できなければ、メーカーに具体的な基準を確認してみよう。

それから、これを比較する上で重要なことがある。それは基準が基準でなく、メーカーが異なると同じ基準で判断できないという事実だ。例えば片方がティップアクションと言っても、別のメーカーはスローアクションと表現することもある。もちろんティップとスローが同じことはあり得ないので、かなり極端な例として聞いて欲しい。

特に硬さに関しては、全く分からないと言ってもいい。ロッドの強さの表示を、ライトアクションやミディアムアクション、ヘビーアクションなどとも表現するけど、それこそそのメーカーによって、強さは全く異なるのが実態だ。こうなってくると、自分自身が手にとって、その違いを確認するしかない。

せっかくここまで話したから、アクションの目安の話もしておこうかな。一般的には、ウルトラライトが最も柔らかくて、ヘビーが硬い。これをメーカーのカタログなどに表現されている順に並べてみると、ウルトラライト→ライト→ミディアムライト→ミディアム→ヘビー→スーパーヘビーといった順番になる。

更に厳密な話をするとキリがないのだけど、カーボンロッドの場合には、カーボン純度やトン数と呼ばれている硬度もかかわり、同じ表示であったとしても、ロッドの張りが異なって感じられる。

前回も少し話したけど、張りが強い材質であれば、硬さと力だけを感じる。肉を厚くしたり、ボロンを含有させたりして、ロッド自体の持つトルクというか力強さを満たしたりもする。様々な手法はあれど、こまかく説明すると、キリがないほどに複雑な条件が絡み合っている。

話は戻るけど、曲がり具合に関しては、先調子や胴調子の判断目安がある。昔から使われている手法だけど、8:2調子とか6:4調子などという呼び方だ。つまりロッドのどの部分が曲がりの中心なのか、それを割合で表現している。

仮に8:2調子だったら、グリップから8割、つまり竿先の2割部分を境界の中心に、負荷を加えたときに曲がる。この竿の曲がりのことを、ルアー用語ではベンディングカーブと呼ぶので、頭の隅にでも入れておこう。

さて、ロッドの曲がりに関する基本を話してみたけど、分かってもらえたかな。用語とその意味さえ分かっていれば、あとは実際に現物を見て比較しようってことだね。重要なのは、比較できるようならば、できるだけ同じレベルで確認してみたいものだ。

本来なら、狙ったターゲットとシチュエーションで、どんなロッドを選べるのかって話をしたいけど、今まで話したような理由から分かるように、・・・アクションや・・・調子といった比較表現は適切でない。それが何を意味しているのかを知っておけば、実物を手にしたときに、慌てずに正確な判断ができるからだ。

まあここまで承知の上で、いくつかの目安を話しておこう。魚の大きさや釣り場だけで選びがちな面もあるけれど、魚の捕食のクセからも決めることができる。例えばエサを吸い込むメバルだと、ウルトラライトみたいに柔らかくて、胴に入るような曲がりが吸い込ませやすい。

それとは正反対に、カサゴやムラソイといった根魚では、アタリを感じ取る繊細な竿先が重要で、更に根に潜られる前に引きずり出す、ロッド自体のパワーも欲しい。先調子でパワーのあるロッドが、理想に近いといえる。

それからシーバスにも、似たようなことが考えられる。サーフでは引き波の力も強く、ルアーを遠くへ弾き飛ばす瞬発力と、引き波でも負けないパワーが必要だ。しかし硬いだけだと、時にはラインブレイクになるので、適度に粘りながら曲がるロッドが扱いやすい。

リバーシーバスでは、遠投性能は必要ないけど、ルアーをある程度は吸い込ませられるような、違和感の少ない竿先も重要だ。そうかといって、流れの中からシーバスを引き寄せる力も必要だ。

ロッド選びで悩むのも、釣りの楽しみなんだよね。まあそれがあるからこそ、そしてそれを考えられるから面白いんだね。


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