このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
108号 に掲載された記事です

ロッドのグリップにはどんな種類があるのか?

 それでは、今回はロッドのグリップについてお話しましょうね。まず始めに、ロッドのグリップ部分名称について、ちょっとおさらいしておこうかな。各パーツの名称が分からないと、話をしていてもつまらないもんね。

 リールシートを境として、その上下についている部分を、グリップと呼んでいる。普通にロッドを構えたとき、リールシートより下側をリヤグリップ(エンドグリップとも呼ばれている)、上側をフロントグリップ(フォーグリップとも呼ばれる)と呼んでいるのが一般的だ。

このフロントグリップやリヤグリップの材質が、それぞれの用途や好みによって決められる。EVAを材質としたものや、コルクを材質としたものが、最近の主流となっているようだ。

参考までに他のパーツを紹介しておくと、リヤグリップの先端、つまり竿尻の部分に取り付けられているキャップの名称だけど、被せるように取り付けてあるタイプを、バットキャップと呼んでいる。これはリヤグリップをバットと呼ぶケースがあることから、このように名称が付けられたのだろう。これはEVAタイプのグリップに、多く使われているようだ。

更にコルクグリップに使われているタイプで、エンドキャップと呼ばれているものもある。ロッドのバットの空洞が竿尻から見えてしまうので、これを目隠しするために、キャップタイプの蓋をしてある。

ついでだからもうひとつ、フロント側に着目してみよう。フロントグリップ先端部とロッドとのスキマがどうしても見えてしまうけど、これを化粧しようという意味で、ショルダーキャップと呼ばれるパーツが使われているものも多い。EVAはキレイに処理されているものが多いのだけど、コルクだとスキマがどうしても目立ってしまう。

このスキマをキレイに見せるために、そして異物混入を防ぐために、このショルダーキャップが取り付けられているんだ。文字通り人間の体に例えると、フロントグリップ先端が肩で、ロッドが首なのだろう。その肩の部分に被せるので、ショルダーパットという名称になっていると思われる。

さてさて、前置きが長くなってしまったけど、こういった話も十分参考になると思うよ。どこかで話題になったときに、話の意味も分からずにあいづちうつより、やっぱり話題には加わりたいしね。

それじゃあ、そのフロントグリップとリヤグリップの材質に関する話にいってみよう。主なグリップの材質がEVAとコルクだってことは、さっきも書いたから分かるよね。この材質の細かい性質はともかく、どういったジャンルのロッドに使われる傾向があるのか、今回はそこを話してみよう。

簡単に言ってしまうと、EVAが樹脂材料、コルクは木材の一種だと思って欲しい。それぞれの利点や欠点を知っておくことで、自分が使うシチュエーションに適しているかどうか、自分で判断できると思う。

EVAの欠点は、コルクと比較すると重い、加工が簡単にできないために、自分で手軽に形状変更の改造をすることが難しいなどが挙げられるだろう。ただ最近では、様々な形状とカラーのグリップのみをパーツ販売しているメーカーもあるので、自分の好みで変更することは可能になってきている。

利点としては、コルクのようにもろくないので、ボロボロと削れるようなことが少ない。しかしEVAといっても所詮は柔らかい樹脂なので、硬いもので引っ掛けたら削れることは承知しておこう。

そして実戦向きに適している理由として、EVAは雨に濡れても滑りにくい。当然魚のヌメリが手についたときでも、コルクほどのスリップは起きないだろう。まあヌメリはともかくとして、雨の中でも釣りをする人にとって、個人的にはコルクよりもEVAをお薦めしたい。

さて、コルクの欠点と利点は、今の話を逆に受け取ってもらえばいいだろう。コルクは軽いけど削れやすい。しかし自分で加工がやりやすいから、好みで形状を削ってしまうこともできる。市販のコルクチューブを買ってきて、それを自分の好きな形状に削り直して交換することも容易だ。

更に別の見方をすると、主流としてはフレッシュウォーター、特にトラウト系のロッドには、コルクを使っているケースが多い。たしかにEVAに比べると温かみを感じるし、軽さを求めるとコルク有利だ。

ところがソルトウォーターになると、この考え方はまったく反対になる。ソルトの場合は、どちらかというと耐久性を求められている。それだけにコルクだと、グリップエンドの部分に削れが生じたりしやすいのだ。サーフで釣るときなどは、コルクグリップのエンドを砂には置けない。あっさりと削れちゃう。

どうだろう。それぞれの使い分けは、アナタの頭の中で整理できたかな。もちろんこれが絶対って訳じゃないよ。シーバスロッドにコルクグリップを採用してこだわっているメーカーもあるしね。あくまでも一般的な考え方として、それに自分の好みと考えを加味して決めればいいと思うよ。

最後に、もうひとつだけ。ロッド選びで重要な要素として、タックルバランスってのがあるよね。前のほうでも何度か触れているけど、コルクは軽い。EVAはコルクと比較したら、ちょっと重くなっちゃう。この重さの違いが、タックルバランスに影響していることも、ちゃんと頭に入れておいてね。

ロッドを使ってみて、先重り感のあるロッドってあるよね。つまりセッティングしたときの重心が、グリップよりも先端側に寄っている場合だ。ロッドを選ぶとき、そしてチューニングする時には、こういったバランスを無視しないでね。


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