このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
109号 に掲載された記事です

絶対にやってはいけないロッドの扱い

 前回までの話の内容で、ロッドを選ぶ時の基本的な要領は分かってもらえたかな。お店で薦められたロッドを安易に受け入れて購入するのもひとつの方法だけど、それじゃあつまらないよね。自分の本当に必要としている条件を模索しながら、自分自身で選ぶのも釣りの楽しみ。

さぁ、ひと区切りついた所で、今度はロッドの扱いに関しての話をしてみよう。似たような内容が続くかもしれないけど、自分が愛用するロッドを長持ちさせる意味でも、色々と知識を覚えておきたいね。という訳で、今回は「絶対にやってはいけないロッドの扱い」について、ちょっとだけ紹介しておこう。

皆さんは、ロッドを折った経験がありますか。ぶつけたりドアに挟んだり、転んで折っちゃったりした経験を持っているアングラーは、意外なほどに多いものなんだよね。フィールドへ出かける回数が多いほど、その確率は高いんだろうね。

その中でも、使っているうちに突然折れたってのも含まれていると思う。人によっては、それを自分の使い方のせいにしないで、ロッドが最初から弱かったんだとか、様々な理由をこじつけたくなる事だってあるかもしれない。

ところが、その破損の多くの理由として想定できるのは、自分自身が気づかないうちに、ロッドの表面などにキズをつけている可能性だ。ロッドには様々な方向の力が加わってくる可能性があり、ちょっとでもキズがついていると、そこが致命傷になって一定以上の負荷が加わると折れてしまうことがある。

日頃からロッドを磨いたりしてメンテナンスしていると気づくのかもしれないけど、毎日使っているような人ほど、そのチェックを怠りがちになる。ボク自身も、そういった中の1人だと思う。

これらを防ぐために、いくつかの注意をしなければならない。ほんのちょっとした気づかいで、予期しなかったロッドの破損を、未然に防ぐことができるんだ。そのいくつかの例を、ここで紹介しよう。

まずは実際のフィールドで、できる限り注意すべきこと。とにかくロッドの表面に、ぶつけるなどしてキズをつけないこと。ロッドを投げ出したり、立てかけてあったロッドを倒してしまったり、踏んでしまうなんてもってのほかだ。

意図的にやるアングラーはまさかいないだろうけど、サンデーアングラー達を見ていると、無造作に扱っている人の多さが目に付く。おそらくそんな簡単に折れるものだとは思っていないのだろう。

昔の重いグラスロッドは比較的強く感じたけど、最近の高弾性カーボンロッドは、軽量化により肉厚も薄くなっているため、ちょっとした衝撃だけでも折れてしまう。無造作に扱うのはロッドもかわいそうだし、自分としてももったいないよね。

あとは仕方なく立てかけたりするとき、ロッドのどの部分を岸壁などに触れさせるか。当然リールはあたらないようにする人が多いだろうけど、本当ならクッションみたいに柔らかい物をあてればいいんだけど、実際にはそうもいかないだろう。

 ひとつの逃げ手として、ガイドのリングの外側を、そっと触れるように立てかける方法だ。少なくとも、ガイドリングが触れないように注意したい。リングのちょっとしたキズは、そのままラインブレイクにつながるからだ。

それから実際の釣りの最中ではなく、その移動中にも注意したいことだ。これは保管方法の説明でもだぶるので、簡単に説明しよう。

それは海で使っているために、ロッドやガイドには塩分が付着しているということ。しかも水滴は残っているし、ロッドとしては痛みやすい条件が揃っている。長時間の移動をするのなら、特に夏の炎天下では水分を拭き取ろう。できれば湿らせたタオルで、ロッドとガイドの表面をやさしく拭いてあげよう。

これには2つの理由がある。1つは塩分付着による、ガイドでのライン擦れによるブレイクの可能性を低くする。そしてガイドの脚が痛むのを防ぐためだ。

もうひとつは、水滴がレンズになって、ロッドの表面のコーティングを痛めないようにするためだ。ブリスターと呼ばれるこの現象は、塗装面にプツプツとした気泡みたいなものを浮き上がらせてしまう。これがひどくなると、表面のコーティング膜を剥離させる。

いくつかの例を挙げてみたけど、現実には釣りをしている最中の扱い方、それさえ丁寧に行っていれば、そう簡単にロッドが破損することはない。あとは時々ジョイントが緩んでないかを確認するとか、いずれも初歩的な事だよね。タックルを大切に扱うのが、釣りの基本だよね。


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