このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
112号 に掲載された記事です

リールを買うときに確認すること

 前回でロッドに関するお話は終わって、今回からはリールをテーマにしてみよう。ロッドと並んで、リールは高額な買い物になる。後で後悔しないためにも、リールを買うときに確認しておきたい内容について、今回はお話しようと思う。

ひと口にリールと言っても、2千円くらいの安価なものから、78万円もする高価なものまで、様々な種類が販売されている。初心者の方にはどれも同じように見えるかもしれないけど、ハッキリ言って高額なリールほどそれなりにメカニズムを持っている。

ラインが絡みにくくなっているものや、ヨレにくい構造のもの。剛性を高めた金属ボディーや、スムーズな回転を維持するためのボールベアリング。そして細いラインでも大物とやりとりするための、高性能なドラグ機構など、様々なメカニズムが高いリールにはある。

面白い部分では、ボディー内部のギヤの噛み合いがかかわる、ハンドルを回したときの感触なども、それぞれメーカーによって特長を持っているようだ。軽く回転するものもあれば、重いけどしっかりした精密機械の手応えを感じさせるもの。それぞれを選ぶときに、この手に伝わってくる感触で決める人もいる。

まあ一般的には、ギヤの噛み合いを考えると、適度な重さを感じながら、剛性を持ったものの方が性能は優秀と考えていいだろう。それだけギヤの噛み合いもよく、精度重視で作られたと考えられるからだ。最初から軽すぎると、使い込んでいくうちにギヤの磨耗が進み、耐久性の面で不利な事は否めない。

さて、そういった基本機能をチェックすることはもちろんだけど、それらの機能がきちんと作られているかも、重要なチェックポイントとなる。スピニングリールを例にしてみると、ガイドローラーの回転やドラグワッシャーの滑り具合、ベールアームの動きなども大切だ。

具体的な事例を挙げて、分かりやすく紹介してみよう。例えばベールアームの動きだ。多くのリールは、ベールアームの付け根の部分に、スプリングを使っている。ベールを返してキャストしたら、リールのハンドルを回せば勝手にベールアームは戻るようになっている。

ところがこれを頻繁に繰り返していると、現実問題としてスプリング部分の破損などが発生する。もちろん海で使う事による、塩分が影響しての劣化もありえる。しかしそれらを完全に消し去る事は、現実に難しいようだ。

ボクはメッキなどのライトタックルルアーが大好きで、キャスト&リトリーブの頻度はかなり多い。年間釣行回数も多く、リールはかなりの酷使をしている。手入れをそれなりにやっているつもりでも、繰り返しの力が加わる事でいつかは起きてしまうのだ。ちなみにボクの場合、1年間でダメになる。

新品を購入するときに注意したいのは、このベールアームの動きが正常であるかだ。まともに機能していれば、手で少し起こしてやれば、スプリングの力で途中からは勝手に戻ってくれる。これが途中で止まったり、自分の手で戻さなければ動かないようであれば、どこか部品か組み立て状態に不具合があるだろう。

お店でリールを購入するとき、リールを手にとって見せてもらい、このベールアームの動きを確認させてもらうといいだろう。その確認をさせてもらえないお店なら、他のお店に行った方が安心だ。

次にガイドローラーの回転だ。ロッドのガイドを経由してきたラインは、リールのスプールへ巻かれる前に、ガイドローラーをほぼ直角に曲げられながら入っていく。このガイドローラーが正常に回転してくれないと、スピニングリールでは激しい糸ヨレに悩まされる事になる。

ローラーとアーム本体とのクリアランスが狭くてスラスト(軸方向)荷重が加わっているものや、ローラー内部のベアリング回転が悪い場合には、まともにローラーは回転してくれない。

軽くて引き抵抗の少ないルアーを使った場合、この回転抵抗が大きいと、スムーズにローラーは回転しない。重いルアーだけを使うなら問題ないかもしれないが、特にライトルアーを楽しむ人は注意が必要だ。

更にガイドローラー部分では、ローラー両サイドとのスキマも注意が必要だ。もしスキマが広すぎたら、細いラインがそのスキマに挟まる可能性がある。するとラインを張った瞬間に、簡単にブレイクしてしまうだろう。

ガイドローラーが軽く回転するからと言う理由だけで決めるのではなく、スキマが広くなっていないかどうかも確認したい。総合的に見て、より安全なものを選びたい。最もそんなに不良品状態のリールが出回っているわけではないので、一般的には念のための確認程度で大丈夫だろうと思う。

もうひとつは、ドラグの効き具合だ。特にスピニングリールのドラグ性能は優秀で、安価なモデルでもそれなりのドラグが備えられているものだ。優秀なドラグとは、耐久性はもちろんだが、いかに低いスピードや低いテンションでもスムーズに作動するかだ。

ラインを引き出したときに、「ジー」と一定の音で変動なく動くものが、ドラグ性能が安定している。「ジー、ジー」とスプールの回転にムラがあるようなドラグは、ドラグの性能が良くない。最もかなり高価なリールのドラグでないと、そこまでは安定していない。

お店で確認できることは、せいぜいドラグノブを締めたり緩めたりしながら、スプールを手で回転させてみるぐらいだ。ノブを少し動かしただけでドラグのスリップ力が変動するようだと、一般的にそのドラグ性能は低い。多めに回して変化するほうが、ドラグの精度は高級と考えていいだろう。まずは触って、自分の目と手で試してみることだ。


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