このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
115号 に掲載された記事です

リールの糸巻き量
 リールには自分が使おうと思う太さの糸を巻くんだけど、それらがリールにマッチしているかを考えたことはあるかな。小さなリールに太い糸を巻いたり、大物用のリールに細い糸を巻いたら、適した状態であるとはいえない。

例えば管理釣り場でトラウトを釣るような小型リールに、通常だったら24ポンドの糸を巻く。そんな小さいリールに、12ポンドほどの太い糸を巻いたらどうなるだろう。これがPEラインだったら太さで1号くらいだから、実際に使ってもどうってことはない。

ところがナイロンラインだったなら、太すぎるために不具合がいくつも発生するだろう。本来は4ポンドを100mくらい巻くためのサイズなのに、12ポンドだと太さでその3倍だ。結果として、1/330mくらいしか巻くことができない。

しかもリールが小型なのでスプール径も小さいから、曲率半径が小さく太い糸は、スプール上でゴワゴワしてしまう。当然糸を巻き取るときに弛んでしまい、次にキャストするときには、ブワッと噴出してしまうだろう。とにかくライントラブルばかりで、とても釣りをする気にはならないはずだ。

リールには、適した糸の太さと量が示されている。まずはそれを知っておくことが、ストレスの少ない楽しい釣りをするための第一歩とも言えるだろう。アナタは自分が使っているリールの、適正な糸の太さと巻き量を知っていますか。

ここではスピニングリールを例にとって、その部分を簡単に説明してみよう。目安としては、だいたい150m巻ける太さの糸が、適した太さの中心値として設計されているケースが多い。例えば12ポンド(約3号)を150mと表示されていたら、それは12ポンドを意識して設計されたリールであると言える。

一般的なリールの場合、3種類くらいの太さと巻き量が表示されていて、前記のリールの場合だったら、8ポンド、12ポンド、16ポンドくらいが表記されているのではないだろうか。この場合は、中心値となる12ポンドが、やはり適していると判断できる。

この適した太さとは重要な意味を持っていて、いっぱい巻けるから細い糸だとか、切れたらイヤだから太い糸を使うというレベルの話じゃないんだよね。適した太さを使わないと、別の面でも問題がある。

ガイドローラー部分での糸の噛み込みや、適正な角度で巻けなくなるなど、いくつかの問題が生じることもある。特に大きなリールへ細い糸を巻いたときは、ドラグの効き具合も気にしなければならない。

スプールの大きさやドラグワッシャーの大きさ(径や面積)にも関係する話なんだけど、動き始めの動作や耐久性が違ってくる。例えば12ポンドを中心に考えられたリールの場合、その糸が切れない程度の力が加わった時にちょうどいい滑り出しを与えられている。

ところがこのリールに4ポンドを巻いたとしたら、すべり始めがスムーズでないことがあり得る。つまりあまり弱い力では、それほどスムーズに動くようになっていない。

これが4ポンドのリールなら、4ポンドが切れないように少ない力でスムーズに動くドラグを搭載しているので、問題なく扱えるんだ。もちろんこれらの話は、適正なドラグの設定を行ったうえでの話だ。それでも不具合はおきうる。

さて、適正なサイズのリールに、適した太さの糸を巻くとしよう。次に考えるのは、そのスプールにどれくらいの量を巻き込むかだ。スプールに巻き込む量が多すぎたら、ちょっと糸を弛ませただけで噴出してしまう。

その逆に糸が少なすぎると、スプールエッジ部分への接触抵抗が大きくなってしまうため、ルアーが思ったほど遠くへ飛んでくれない。つまり糸を巻く量にも、適正量があるということなんだ。

これはスピニングリール全般に言えることだけど、目安はおよそ90%と考えていい。これ以上巻くと噴出しやすいし、少ないと飛ばない。あくまでもナイロンラインは、これを参考にしよう。

逆テーパーのPE用スプールに関しては、100%近く巻いても大丈夫だけど、先端に結ぶショックリーダーの取り扱い(コシの強さ)も考えたい。個人的には、やはり90%くらいが最も扱いやすいと思う。

最後に注意点をひとつ。リールに表記されている糸巻き量だけど、普通に巻いたらそんなに巻けないリールがほとんどだ。理論上の密着巻き状態で表記されているから、100m巻けると書いてあっても、糸がちょっと余ってしまう。次回は、その巻き方をお話してみよう。


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