このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
116号 に掲載された記事です

リールへのラインの巻き方

リールにどれだけの糸を巻けるかが分かり、適正な巻取り量も理解できただろうか。さて、次はいよいよ、実際にリールへ糸を巻いてみることにしよう。

ボクが釣りを始めた子供の頃は、リールを買ったときにお店で糸を巻いてもらう人もいた。既に持っているリールをお店に持ち込んで、糸を買いながら巻いてもらう人も多かった。

量販店を含めて今でもあるのかもしれないけど、お店のレジの横にはリールをセットできる台が置いてあり、そこにリールをセットする。それを一生懸命に、お店の店員が巻いていた光景を思いだす。深場釣り用のリールなどは糸を巻く量が多いので、あんまり嬉しくないと愚痴っていたのが印象的だった。

最近はどんな状況だか分からないけど、お店に糸巻きをお願いしている姿を見かけない。アングラーも徐々にレベルアップして、リールへ糸を巻く作業くらいは、自分自身の手でやるようになったのだろう。特にヒットした魚とを繋ぐ生命線なのだから、できるだけ自分で確認して巻きたいのだろう。

さて、自分の手でリールへ糸を巻くとなれば、その作業の注意点が気になってくるはずだ。今回はそこをざっと説明してみよう。基本的にはナイロン、フロロ、PEのどれでも同じだ。手順さえ知っていれば、どこでも簡単にできる作業だ。もしお店でお願いしている読者の方がいたならば、次回からは自分でチャレンジしてもらいたい。

どの種類の糸を巻くときでも、糸にヨレが入らないように注意する必要がある。特にスピニングリールでは、糸巻きに巻かれているヨレの方向から、リールのスプールへとネジレ方向が変化する。このときに必要以上のヨレが入ってしまうと、実際に使っているときのライントラブルが多くなってしまうのだ。

最近では糸巻き専用の台を販売しているメーカーもあるけど、確かにあれば便利だろう。しかしちょっとした工夫で、簡単に対処する事ができるはずだ。ボクは家族に手伝ってもらうことが多いけど、その方法を簡単に紹介しておこう。

まずは、糸巻きの中心に穴を明けてやる。中心には穴が明いている物がほとんどだが、化粧ラベルが貼られているので、そこを突き破っている。そして穴にエンピツなどを差し込み、リールに向かって真っ直ぐ持っていてもらう。

リールはロッドのリールシートにセットして、穂先はつなげない。バット部分のリールに一番近いガイドにだけ糸を通し、リールに糸の先端をセットする。

さて、ここから先が重要だ。糸は指でつまんで張りを与えておかないと、きれいに巻き上げることができない。張りが弱いとブワブワになってしまい、キャストする時に引っ掛かってしまう。

そのため、指で糸をつまんで張りを与えてやる。但しそのままだと指が熱いので、ハンカチなどを使って挟む。更に糸は熱に弱いので、そのハンカチは水で湿らせてやる。この湿り気で、糸の発熱を防いでやるんだ。これをやっておかないと、本来の糸の性能が、釣りに使う前から低下してしまう。

しっかりと湿らせたハンカチで挟み込んで、少しきついかなと思うくらいで巻けばちょうどいい。特にスプールの芯側は、時々巻き硬さを確認してやろう。下が緩くて上側が硬くなると、徐々に芯側に食い込むので、痛みやすいし食い込みでルアーを投げにくくなるからだ。

もうひとつ注意したいのは、スプールに巻かれている糸の位置だ。リール本体に、スプールを上から被せてドラグノブで固定しているが、この締め込み具合によって、糸の巻かれる位置にズレが生じる。

強く締め込みすぎると、スプールの位置は下がる。そうすると巻き上がり位置は、スプールの上側に集中して、逆テーパーに巻かれる。弱すぎるとドラグが滑って巻きにくいうえに、スプールが上にずれる。そのため、糸は先細りで巻かれてしまうのだ。

それぞれスプール芯の形状と同じに巻かれるのが適正なので、それを知った上で糸を巻き込もう。時には調整の効かないほどズレが生じているリールもあるので、あまりにも極端なテーパーになってしまう時は、リールを買ったお店に見せるといいだろう。

通常はドラグワッシャーを増やすなどで、メーカーが無償で対応してくれるはずだ。状況を再確認して、なるべく早いタイミングで連絡してみよう。簡単そうだけど、糸を巻くだけでも、リールの良し悪しが分かるものなのだ。自分のリールは、自分でチェックしようね。


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