このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
118号 に掲載された記事です

ラインを買うときの注意と選び方

前回までのリールに関してのお話を終えて、今回からはラインについて考えていこう。ロッドやリールも大切だけど、ラインも釣りにとって重要なアイテムなんだ。何てったって、アングラーと魚とを結ぶ糸なのだから。

このラインというモノは、強いものもあれば弱いモノもある。硬いモノもあれば、柔らかいモノもあるだろう。それぞれの用途に合わせて、より理想的な特徴を持ったラインを使うことが、釣りを楽しくするためのコツでもある。

それぞれの材質などによる違いは次回に話すとして、今回は別の視点からの注意と選び方についてお話しすることにしよう。様々な観点から見たいいライン、それを選ぶためには、いくつか知っておきたいことがあるのだ。

まず覚えていて欲しいのは、ラインは生き物ということだ。生産されてから何年も経過したら、ラインも古くなってしまうのだ。特にナイロンラインは、古いものには手を出さない方が無難だ。

ナイロンラインは、吸湿性が高いのが特徴だ。つまり湿気によって、ライン自体が水分を吸湿してしまうのだ。それだけラインは重くなってしまうし、痛んでしまうことになるのだ。常に水中にあるのと似たような現象となり、新品の状態から劣化が始まってしまう。

それから全てのラインに共通して言えることだが、紫外線によっても劣化するという事実だ。紫外線劣化に対して強くなっているラインも発売されてはいるが、現実には劣化が皆無になる訳ではない。

これの意味する部分は、容易に想像がつくだろう。紫外線、つまり陽射しに当たっているだけで、ラインはどんどん劣化を始めてしまう。ここまで話すと、お店の展示状態を想像している人もいるだろうね。そう、日の当たる場所に展示されているラインというのは、実は痛み始めている中古品と似たようなもの。

品物によっては、メーカーがスプールごとにケース詰めしているものもある。しかも透明のケースではなく、光を通しにくいようにガードしたカラーのモノさえある。最近ではラインは消耗品と考える人が多くなり、少なくなったような・・・。

ここまでの話をまとめてみると、吸湿しやすいから、それを避ける意味で入荷直後の商品の方が、より新品に近い。ワゴンセールが安いからといって、必ずしもそれが得とは言い切れないんだ。むしろ「安かろう、悪かろう」という商品が多い可能性は高い。

もうひとつは、日の当たる場所での展示品は避けたい。紫外線によって劣化が始まっている可能性が高いので、お店の入口付近の展示品は裂けるようにしたい。もし日の当たる場所で展示しているお店だったら、迷うことなく他のお店での購入をお薦めするよ。

それからもうひとつの選び方だけど、これは商品の性能を単純に判断する方法だ。ラインといっても、価格を見ても分かるように、性能はそれぞれ異なる。安心して記録を狙えるように安定したラインもあれば、信じられないような粗悪品も売られているのが実態だ。

勘違いしないでもらいたいんだけど、粗悪というよりも、価格に見合ったレベルの性能と表現した方が分かりやすいだろうか。高いラインはそれなりの性能だけど、安いラインは安かろう悪かろうが多いということだ。

これらは何が違うのか、簡単に言うと、性能の均一性とでも表現すればいいだろうか。例えば、100mのラインを買ったとしよう。その100m全ては、均一の太さで、そして真円であるほど上手に作られている。意図的に扁平にしているラインもあるのだけど、丸いと思われがちなラインを、キレイに丸く仕上げるのは難しい。

太かったり細かったりするラインでは、その細い部分に集中した力により、その部分から切れやすくなるんだ。弱い部分に応力集中するのだから、当然のことと言える。それだけに、太さの均一性は、そのラインの本当の強度を決めていると言っても過言ではない。

これらをひと目で判断したかったら、I.G.F.Aという規格が表示されているラインを探してみよう。この規格に沿って作られているラインならば、ある一定レベル以上の、安定したラインの性能は保証されていると思っていい。

それ以外に気にしておきたい部分は、ラインの表面性だろう。滑りやすいラインほど、ガイドの通りが良くて飛距離も出しやすい。但し、ラインシステムを作るときに、ラインどうしが滑りやすいことによって、やりにくくなる可能性もある。


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