このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
120号 に掲載された記事です

ラインの巻き替えとメンテナンス

ルアーフィッシングをやっていると、ラインを巻き替える機会が多いのではないだろうか。特に細いラインで大物を狙う人は、ラインの状態を常に良いコンディションに保つことに気を使っているはず。

今回は、「たかがライン、されどライン」とも言われる、ラインのメンテナンス事情について、色々とお話しよう。まずはラインを巻き替えるのが、どんな時かを考えよう。

ルアーフィッシング、特に海のルアーフィッシングの場合は、塩分の付着と陽射しの影響によって、ラインの耐久テストをしているようなもの。冬はまだいいとしても、夏の暑い炎天下では、車の中に道具が置きっ放しになっているだけで、使えなくなってしまうパーツもあるほどなのだ。

その中でもラインは痛みやすく、硬さが変わったり吸湿したり、たくさんの過酷な体験をさせられている訳だ。リールやロッドといった高価なタックルたちに比べると、ラインは価格帯も安価なものが多く、消耗品として扱われる。

たしかにラインは生き物とも呼ばれており、その性能を100%保持しているのは、パッケージから出した最初に使う時だけとも言える。それだけに、ラインの状態をチェックすることは、アングラーとして重要な行動であり作業なのだ。

しかしいくらラインが安価だとは言っても、それはロッドやリールといった高価なタックルと比較した話だ。100m1,000円のナイロンラインを購入するにしても、毎月巻き替えていたら年間で12,000円だ。釣行回数の多いアングラーであれば、3回程度の釣行で巻き替えるケースもあるだろう。

それでは、予算を節約するためには、どんなことを気に掛けていればいいのだろう。それさえ知っていれば、少しでも長くラインを使うことができるはずだ。

まずは日頃からのメンテナンスが重要で、塩分が付着したままで放置しないこと。釣りから帰ったら、塩分付着した分を水の入った洗面器などを用意して、その中へ絡まないように輪にしながら入れていく、それをガーゼで拭き取りながら、リールへ巻き取っていく。

でも毎日釣りに行くような人はやりきれず、実際にはメンテナンスをすることはあまり無いようだ。そこで注目されるのが、劣化して弱くなっているラインの先端部分だ。ここを徐々にカットして使うことで、先端は常に新しい部分を使うことができるのだ。

但しあまり何度もカットしていると、リールの糸巻き量が減ってしまい、ルアーを投げたときの飛距離が不足してくる。巻かれている糸の状態を確認しながら、カットして使える回数を決めておこう。ちなみに一度にカットする量は、一般的には5m程度のようだ。

それからもうひとつの方法だが、最初から全部のラインを巻かないのも良いだろう。つまりルアーフィッシングで使うラインは、一般的な陸っぱりの釣りでは2030mくらいだろう。それなら100mのラインを全てリールに巻く必要はない。

だからと言って半分の50mしかリールに巻かなかったら、スプールエッジでのライン抵抗が増えて、遠くへルアーを飛ばすことができないだろう。そこで登場するのが、下巻きラインだ。

安売りのボビン巻きになっている糸だったら、量販店などでは600m500円程度で購入できる場合もあるのだ。あまり飛距離を必要としない釣りをやるのならば、こういった下巻きラインを買っておくと有効に使えるだろう。

絶対にそこまでラインを引き出して使うことがないって人なら、その下巻き糸さえ使う必要はない。すずらんテープみたいなモノを下巻きにすれば、下巻きラインを購入する必要もない。たまに上を細く切って巻きつける人もいるらしいが、これは水分が浸透してしまうからダメ。

このように様々な方法で、ラインを節約したり、交換頻度を減らしたりすることができる。他にも色々な方法で上手にやりくりしている人もいるようだ。しかし大切なのは、安く上げることよりも、アングラーなんだからラインの状態を維持することを優先したい。

安く済ませる方法は色々あるけれど、どんな方法を使ったとしても、できるだけ消耗品とならないようなメンテナンスを心がけたい。だからこそ、ラインが生き物であることを再認識しておきたい。

ラインの巻き替えやメンテナンスは、あなた自身の釣りに対する気持ちの表れと行動だ。そしてもしものときでも、ラインブレイクさせないという、魚たちに対しての礼儀でもあると思う。


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