このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
121号 に掲載された記事です

ラインシステムの必要性と一般的な種類

リールに巻いたラインは、細い場合には大物が掛かったときに、耐えられずに切れるかもしれない。当然リールのドラグを有効に使って、魚の突然の疾走に対して、上手なやり取りをする必要が生じる。

ところが、実際のフィールドでの釣りには様々なケースがあり、細いラインでは簡単にやり取りできないことがある。予想外のトラブルで、あっさりとラインが切れてしまうケースがあるのだ。

例えば、海底の起伏が激しく、魚とやりとりしている最中に、その根などにラインが擦れてしまう。それが原因でラインの表面に傷が付き、突然のテンションが加わった時に、プツンと切れてしまう。

また、ベイエリアのように、ヘチや海中のストラクチャーに、牡蠣ガラが密集している場所でも同じようなことが起きる。ピンポイントを狙っていた時に、掛かった魚が横に走ることがあるだろう。その時に牡蠣ガラの付いた柱などがあれば、そこに擦れて切れてしまう。

サーフでも、やはり同じような場面で出くわす。サーフでは、ほとんどの場合はカケ上がりがある。ルアーが手前に寄ってきた時や、ファイト中の魚を近くまで寄せてきた時には、波裏のカケ上がりに擦れて切れてしまうことがある。

ここまでは海底形状やストラクチャーが相手だが、魚にもラインを切ってしまう要因がある。尖ったエラやヒレを、堂々と持っている魚もいるのだ。魚とやり取りしている最中は、ルアーに近い部分のラインは常に魚のヒレやエラブタに触れることになる。

このエラブタや背ビレなどが鋭かったら、細いラインなどひとたまりもないだろう。しかも万一ルアーをスッポリと呑み込まれたなら、フィッシュイーター独特の鋭い歯で、あっさりと切れてしまう。

これらの現象を少しでも減らすために、リールに巻いたラインの先には、ショックリーダーを付けることが一般的になっているのだ。もちろん全ての釣りに絶対必要というわけではないけれど、ターゲットや釣り場の状況などによっては、あった方が安心だし、ラインブレイクで魚を苦しめることも減るというもの。

さて、このショックリーダーとリールに巻かれているメインラインとを接続するために、今回のテーマである、ラインシステムが重要な意味を持つことになるのだ。細いメインラインと、太いショックリーダーを繋ぐのだから、そのまま直接結んでしまったら、太さの違いにより結束部の強度は極端に低下する。

その強度低下を少しでも小さくするための手法として、様々なラインシステムがあるのだ。ここでは、昔から使われている、最も一般的なモノを紹介する。

ここからは具体的な話を、少しずつ進めていこう。まずはラインの太さを仮定して、ショックリーダーの太さを決めてみよう。リールに巻かれているラインは、12ポンドとして仮定しよう。

この場合のショックリーダーの太さだが、ショックリーダーとの太さの差を小さくするために、ラインをヨリ糸にする。このヨリ糸の部分の名称を、一般的にはダブルラインと称している。

12ポンドのラインをダブルラインにすると、単純に2倍の24ポンド分の強度を持つ計算になる。つまりショックリーダーの太さは、24ポンドよりも細かったら意味がないのだ。市販の一般的なショックリーダーでは、これより太いモノは30ポンドになる。

このようにして、ショックリーダーの太さを決めていこう。ボクの経験だと、この事例の太さの場合、ショックリーダーの上限は、50ポンドくらいだ。あまり太いものを使ってしまうと、接続部のコシの強さに差が出すぎるため、キャスト時にガイド周りでのトラブルが起きやすくなってしまうからだ。

このダブルラインをビミニツイストというやり方で作り、ダブルラインとショックリーダーとを繋ぐ方法を、オルブライトノットと呼ぶ。これは多くのソルトアングラーが、入門時に基本として覚えてきた、最もオーソドックスな方法だ。

この他にも、最近では様々な方法が話題になっているので、自分の釣りのジャンルや使い方によって、最もマッチしていると思われる方法を使えばいいだろう。雑誌などでも紹介されているので、それを元にオリジナルを考えてもいい。

ちなみにこの方法は、結束ではなく、絡み付けるという表現が最も適している。つまり結束がないということは、ラインのつなぎ部分での強度低下が少なく、100%に近い能力を発揮できるのだ。ラインを傷つけずに、システムを組めばだが・・・。


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