このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
123号 に掲載された記事です

ルアーの結び方

ラインについてのお話をしてきたけど、必要なことが分かってもらえたかな。色々な発想はあるけど、大切なのは、ラインが生き物だという認識を持って接することだ。だからロッドやリールと同じように、メンテナンスが必要になる。

ラインの特徴や、ショックリーダーについても学んできたので、今回はラインの最後として、ルアーへの結び方について話してみよう。基本的には、単純な結び方だけを紹介するけど、自分自身で研究しながら、新しいノットを試してみるのもアナタ次第だ。

さて、今回紹介するのは、ループノット(フリーノット)とクリンチノットだ。専門的には他の呼び方で呼んでいるアングラーもいるようだけど、一般的にはこの方が分かりやすいと思う。

ループノットはその名の通り、ルアーのアイの部分でループを作った状態にしておく。ルアーのアイに直接結ばないので、ラインのコシがルアーの動きに影響を与えにくいのが特徴だ。小さなルアーや、アクションの小さなルアーには有効な結び方なのだ。

多くのルアーにはスプリットリングが使われているけど、このスプリットリングが装着されているルアーには、このループノットは適していない。その理由は、スプリットリングのスキマにある。

スプリットリングは、ルアーへ装着するためにリングのスキマがあるが、フリーで動いてしまうループのラインが、そのスキマから少しずつ出て行ってしまうのだ。気がついたら、ラインの先からルアーがなくなっている可能性もある。

こういった理由から、スプリットリングを装着したルアーに、ループノットは向いてないのだ。それではどんな結び方をすればいいのか。そこで登場するのが、もうひとつのクリンチノットだ。

クリンチノットは、名前からも予想できるように、ラインをクリンチして結ぶ。アイやスプリットリングへはキッチリと締め込まれるので、フリーノットのようにスプリットリングから抜けてしまうなどということは無いのだ。

ルアーの交換を容易にするため、スイベルを使うアングラーも多いようだが、このスイベルへ結ぶときにも、クリンチノットを使えばいいだろう。但し、いくら交換が容易だからといって、ラインの傷つきチェックは怠らないようにね。ルアー交換でラインを結びかえることは、必然的にキズチェックを兼ねてもいるのだから。

さて、ここまで説明してくれば、それぞれの使い分けにする目安が見えてきたのではないだろうか。参考までに、ボクの使い分けパターンを紹介しておこう。まずはクリンチノットだ。

クリンチノットは、基本的にアイにスプリットリングを装着したルアーにしか、ボク自身は使わない。これは結束部の強度が、わずかだが低下しやすいからだ。締め込むときに摩擦熱の発生が起きやすく、それが不意のラインブレイクにもつながるからなのだ。

それ以外の場合には、ほとんどがループノットを使っている。クリンチノットよりも、結束部の強度が高く、ルアーの動きも制限されにくいからなのだ。そして常にアイへ接触している部分が、クリンチノットは同じ場所であるのに対し、ループノットでは少しずつでも移動してくれる。だからその部分の痛みも、ループノットの方が緩やかなのだ。

ところが、注意したい部分もある。例えばコシの強いフロロを使っていた場合、ループノットではループ先端が折れ曲がり傾向になってしまう。その折れ目へ常に負荷が加わった場合、そこからプッツリと切れてしまうこともある。

この対策として使われるようになったのが、細いラインの結束にも使われている、ダブルループノットだ。通常のループノットと異なるのは、アイに通すラインの回数なのだ。通常は1回しかアイを通さないが、2回通すことによって、ラインが倍の負荷に耐えられる。

例えば昼間のエギングでは、最近流行のビシバシとシャクリ続ける釣り方が主流になっている。細いリーダーでループノットを使ったら、シャクリの衝撃で、いとも簡単に切れてしまうこともあるのだ。

そこで採用するのが、ダブルループノットというわけ。小さなエギを使うときは、ラインだけでなくリーダーも細くしたい。そこで起きるラインブレイクを防ぐために、ダブルループノットを使ってみたい。

ノットの話はいかがだっただろうか。ノットに関しては、話せばいくらでも話題は出てくる。皆さんも、色々とノットを考えてみよう。


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