このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
129号 に掲載された記事です

簡単なメタルジグを作ってみよう

メタルジグには、色々な種類のあることが分かったと思う。形状によって泳ぎが異なるし、カラーやホログラムシールなどで、ターゲットに対するアピール力も違う。時にはアピールしすぎて釣れない時もあるけれど、色々と試してみることで、新たな発見もあるだろう。

この新たな発見をするために、市販のメタルジグを買いあさっていたら、おそらく多くのアングラーのフトコロは厳しくなるだろう。そこでお薦めしたいのが、自分でメタルジグを作っちゃおうという提案。

古くなったルアーを模様替えで塗り直すのも良いけど、せっかくだからボディから作ってみたらどうだろうか。難しいことを考えなくてもいいから、1日の釣行だけでも使えれば良いという気持ちでチャレンジしてみよう。

さて、メタルジグを作るには、型を準備してナマリを溶かして流し込むしか方法が無いと思っていないだろうか。実はそんな本格的な方法を行なわずに、ナマリのカタマリを叩いて作ることもできる。

まずは材料を揃えてみよう。ナマリを使って作るので、手軽に入手できるナマリが必要だ。そこで思い浮かぶのが、一般的に釣りの仕掛けで使われているオモリだ。ここで選ぶのは、ナツメ型(中通し)オモリが扱いやすくていいだろう。既に中心に穴が開いているから、ワイヤーをそのまま貫通させることができるからだ。

まずはステンレスワイヤーの片方にアイを作る。きれいに丸く仕上げるのは難しいけど、千枚通しを使って巻きつけるように、プライヤで潰していくとキレイに仕上げることができる。

自分が作りたいジグの長さよりも少し長くワイヤーをカットする。そしてナツメオモリの穴にワイヤーを差し込む。この時に、アイを作った側の折り返した端も、その穴に差し込んでしまおう。

次に反対側から出ているワイヤー先端も、ジグの大きさに合わせるようにアイを丸めて作る。折り返した先端は、そのままナツメオモリの穴に差し込める長さにカットする。

そこまで仕上げたら、次は金属の台上(H鋼の上など)で、ハンマーを使いタタキ延ばす。少しずつ延ばしながら、ワイヤー端を穴の中へ差し込むようにしていく。アイの部分までナマリを延ばせば、それがメタルジグの最終的なボディサイズになるわけだ。

そこから先は、ボディを潰し過ぎないように、少しずつハンマーで叩いてボディの形を仕上げていく。一気に叩いてしまうと、ワイヤーが貫通している芯ズレが生じてしまうので、様子を見ながら叩いていくのがコツだ。

ほぼ形状が決まったら、念のためアイの部分に瞬間接着剤を流し込んで補強しておく。これが完全に乾燥したら、叩いてできたデコボコを仕上げる。ヤスリで丸みを付けてもいいが、それほど気にならなければ、多少の凹凸はかまわない。

形状が決まったら、今度は下地処理をやろう。そのままだと塗料がうまく乗ってくれないので、この下地処理が必要になるのだ。密着度を考えると、セルロースセメントが有利だけど、膜厚が薄いので時間がかかりすぎる。それが面倒と感じるのなら、ウレタンを使ってもいい。但し剥離に対しては弱いので、耐久性は期待できない。

下地ができたら、次はスプレーなどで色を塗ろう。ここから先は自分の好みでやればいい。アピールさせたければ、ホログラムシールを貼り付けてもいい。よりオリジナリティを出すために、アワビシールを貼るのも面白いだろう。ここでグラスアイなども貼り付けて、見た目も仕上げてしまう。

そこまでできたら、もう完成は近い。塗装やシールが剥がれないように、その上から再びコーティングする。下地でウレタンを使ったなら、最後の仕上げもウレタンを使うことが重要だ。下地に弱いウレタンなのに上にセルロースを使うと、下地がそのまま溶けてしまうからだ。

これで何度かコーティングをすれば、その分だけ表面は強くなる。コーティングの膜厚が薄いと、それだけ剥がれやすくなってしまう。納得できる表面性にまで仕上げたら、これを完全に乾燥硬化させよう。

完全に乾燥できたら、最後にスプリットリングをテール側のアイに付けて、その先にフックを取り付けよう。スプリットリングやフックのサイズは、市販のメタルジグを参考にしよう。

途中で嫌になるかもしれないが、こういったルアーメイキングは重要だ。いつも言っているんだけど、自分で作ると市販品の開発意図が理解しやすくなるはずだ。


戻る