このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
132号 に掲載された記事です

一年を通じてのターゲットの目安

海のルアーフィッシングをやっていて良かったと思える理由のひとつに、季節ごとの様々なターゲットを相手にできることが挙げられるだろう。中には船から釣りのようなターゲットも多く、食べる楽しみを与えてくれることもある。

ひとつの魚種だけを一年中追いかけるだけでも、もちろん一年を通じての釣りはできる。しかし季節によて盛り上がっているターゲットを楽しむことも、アングラーとしては重要な意味を持つのではないだろうかと思っている。

それでは、一年を通じたターゲットについて、順を追って紹介してみよう。海にはこれだけ様々なターゲットがいるのかと、本当に嬉しくなってしまうかもしれない。

最初に紹介するのは、寒い冬が終わった後の春だ。この時期は、寒い冬を越した魚たちが、いっせいに活動を始める。最も人気があり、ライトアングラーをのめり込ませるのがメバルだ。東京湾のようなベイエリアだけでなく、伊豆半島のような漁港や磯など、広範囲で狙うことができる。

このころから、川には稚鮎の遡上が始まり、シーバスも面白くなるのだ。しかもバチ抜けのあるベイエリアなどでは、これらを捕食するシーバスも、本格的なシーズンを迎えるのだ。

水温が徐々に暖かくなると、今度は根魚たちも浅場へどんどん移動してくる。ゴロタ磯では、ムラソイやカサゴが足元まで接岸してきて、手軽にファミリーフィッシングでも楽しめるのが魅力だ。

梅雨の頃になると、そろそろマゴチが楽しくなってくる。照りゴチとも呼ばれるが、実際に陸っぱりの釣りでは、この頃が最も釣りやすい時期なのだ。水温が高くなると、今度は岸からだと釣りにくくなる。

このタイミングと平行して、ヒラメもサーフに大挙して押し寄せてくる。海水浴客が海で遊び始める直前の時期まで、早朝のマヅメには盛り上がりを見せる。極端な大物の時期ではないが、数釣りを楽しみやすいのである。

本格的な夏に突入したら、いよいよ回遊魚のシーズンだ。ワカシやソウダガツオ、時にはショゴ(カンパチの子供)といった青物たちが、夏のサーフを埋め尽くしてくれる。朝夕のマヅメ時が有利なので、身軽なスタイルで釣り歩きたい。

また、年によって差はあるのだけれど、サバやカマスといった魚たちが接岸を始めるのも、この季節だと思っておこう。漁港の入口付近や、サーフの波裏など、小魚の集まっている場所ならどこでも可能性はあるはずだ。

魚以外のターゲットもいる。アオリイカは春から初夏にかけて産卵する。そのために大型が港内などへ産卵にやってくる。大型のアオリイカやスミイカ、カミナリイカなどを釣りたかったら、初夏を中心に狙ってみるといいだろう。

また、常磐や外房方面でのターゲットとして、シリヤケイカも知られている。これは年によって接岸量が極端に異なるので、情報を収集してから出かけるようにしたい。

夏が終わる頃になると、海水浴客も減ってくる。海水浴場の多くは8月末で終了となるので、ルアーアングラーが楽しめるのは、それ以降のタイミングとなる。最も人気のあるのは、やはりメッキではないだろうか。春の産卵以降に産まれたアオリイカもこの頃がベストシーズンになるので、メッキとエギングの2本立てで楽しむのもいいだろう。

メッキをやっていると、ダツやアナハゼといった特殊なターゲットも出てくる。アカカマスも大きく育って、朝夕のマヅメ時には、場所によってかなりの大型がヒットしてくれるはずだ。

この頃になると回遊魚も大きくなり始め、夏の頃にワカシだったサイズも、秋が深まる頃にはイナダサイズに育っていることだろう。カンパチもサイズアップして、予想外のお土産に嬉しくなることもある。

秋が近づいてくると、今度は本格的なリバーシーバスの季節に突入する。落ちアユを含め、河川内に大型のシーバスが群れで入り始めるからなのだ。それを追って河川に入ったシーバスは、それこそ80cm級の入れ食いに出会うことだってある。

冬に向かって気温が下がり始めると、徐々に魚の種類も変わってくるはずだ。アジやムツといった魚たちも、陸っぱりルアーの射程距離に飛び込んできてくれる。群れさえ見つけてしまえば、それこそ入れ食いを楽しめるのが、この釣りの面白いところだろう。

一年を通じて、海には様々なターゲットがいる。ひとつのターゲットを狙い続けるのもいいが、できることならより多く楽しみたい。


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