このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
136号 に掲載された記事です

キャスティングテクニック・オーバーヘッド編
 さ〜て、今回からはいよいよ、実釣に役立つテクニック編に突入するよ。キャスティングの種類やルアーの基本的な操作テクニック、実戦にマッチしたちょっとした考え方などを、ズラズラと紹介していこう。

まずはキャスティングのテクニックについて、話をしようと思う。最初に紹介するのは、ソルトルアーフィッシングでごく普通に使われている、オーバーヘッドキャストだ。これは多くのシチュエーションで、最も安全かつ、コントロール性にも優れている。

オーバーヘッドキャストとは、ロッドを真後ろから真上を通過し、真っ直ぐ正面に振り抜くキャストの方法だ。つまり真っ直ぐロッドを振ってさえいれば、左右に飛んでいくことはない。両隣の人に迷惑を掛けることはないんだ。

ルアーの場合は、投げ釣りなどとは違って、後ろに構えてからロッドを振り始めることは少ない。通常は目の前にロッドを構えて、そこから後方へバックスィングに移る。そしてルアーが後方に行きラインが伸びきった頃には、既にロッドを前方へ動かしている。

つまりこのロッドを前方へ動かし始めたタイミングと、ルアーが後方へ行きラインが伸びきるのがうまくマッチすればいい。それこそがロッドを最大限に曲げられるタイミングなんだ。

ロッドをしっかり曲げることさえできれば、あとはロッドの持っている反発力に依存する。ルアーの場合には、軽いウエイトでもロッドをしっかり曲げるために、このバックスィングがあるのだと思っておけば良いだろう。

もし飛んでいくルアーが、風もないのに左右どちらかへ曲がっていくのであれば、体がちゃんと正面を向いていないか、ロッドを真っ直ぐに振れていないかだ。自分は真っ直ぐに振っているのにと信じ込まないようにして、少しずつ矯正することをお薦めしたい。

さて、ここまでができるようになったら、次はラインを離すタイミングだ。真っ直ぐにロッドを振り抜けていれば、ルアーは真正面に飛んでいく。但しいつまでもラインを離さなければ、ルアーは目の前にズボッと落ちるだろう。逆に離すのが早すぎたら、上のほうに高くフライのように上がってしまうだろう。

このタイミングを合わせるのが、オーバーヘッドキャストでのコントロールだ。このタイミングはロッドの硬さによっても違うので、一概にここで離せとは言い切れない。しかし目安としては、頭上を通過する瞬間と表現しておこう。こればかりはとにかく練習するしかない。

柔らかいロッドなら、この時間的猶予が長くなり、硬いロッドだとロッドの反発以上に曲げ続ける必要が生じるため、それだけロッドを振る速度が速くなる。つまりラインを離すタイミングを取る時間が短くなるのだ。硬いロッドほど、このタイミングがとりにくいのはそのため。

これをごまかす方法として、タラシを長くしてももいい。タラシを長くするということは、それだけ大きな遠心力が生まれる。遠心力を利用することで、ロッドをそれほど速く振らなくても、十分にロッドを曲げることができるのだ。

速く振った時と同じだけロッドを曲げることができれば、あとはロッドの反発力に依存するのは同じだと思っていい。しかもロッドを振る速度が遅くて済むので、それだけラインを離すタイミングを合わせやすいのが利点だ。

厳密に言うと本来の強烈なスゥイングに比べると、飛距離は少し落ちるだろう。しかし遠投勝負を目的としている訳ではないので、これで十分に実用レベルの飛距離は出せるはずだ。飛距離を更に出そうとするのは、十分にタイミングを合わせられるようになってからでもいい。

ついでに話しておくと、短めのタラシでは、低弾道キャストができるのが特徴で、風の強いときでも突き抜けるように飛ばせる。そういった理由として、慣れてきたら短めのタラシでもキャストできるように練習しておきたい。

それとは逆にタラシを長くした場合は、フワッと着水させることもやりやすくなる。つまり静かにポイントを攻めたいときには、かなり有効なテクニックになる。サミングなどのテクニックもあるが、着水のタイミングにルアーを置いてくるような操作をしてやれれば、ほとんど飛沫を立てない着水もできるようになるはずだ。

このように投げ方ひとつで、ルアーの飛距離から着水位置、そして着水の仕方までをコントロールできるのだ。これらが自由自在にできるようになるため、どんどん自分なりの練習を続けてみよう。


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