このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
137号 に掲載された記事です

キャスティングテクニック・サイドキャスト編

前回は、最も基本的なオーバーヘッドキャストの話をした。オーバーヘッドキャストは基本中の基本で、これがちゃんとできなかったら他のキャスト方法は覚えないで欲しいと思う。あくまでも安全にキャスト(釣り)を楽しむためには、自分が確実にできる部分を自覚しておこう。

今回は、そのオーバーヘッドキャストができた人だけ、これを読んで実際に試してみて欲しい。オーバーヘッドを体に覚えこますことのできた人だったら、サイドキャストだって苦もなくできるはずだよ。

それから前回は話してないけど、スリークォーターキャストってのを知ってるかな。これはオーバーヘッドとサイドとの中間に位置する角度でキャストする投げ方だ。実際には完全な中間ではなく、オーバーに近い位置でキャストする人が多い。まあオーバーヘッドに近いので、あえて紹介してないけどね。

さて、本題のサイドキャストだけど、これはどんな時に使うのか。オーバーヘッドの場合には、ロッドの軌跡は頭上を通過する。すなわち頭上に何の障害物もない場合のみ通用するキャストだ。まあ一般的なソルトフィールドでは、ほとんどがそれに当てはまる。

ではサイドキャストが効果的に使える場所はというと・・・、頭上に障害物のある場所で使えるキャストと考えてもらっていい。渓流などでは多くある状況で、キャストするときに自分が立っている場所の頭上に、木が覆い被さっていたら、一般的にはこのサイドキャストで対応する。

ソルトのフィールドでも、岸沿いに海辺が近く、後方から木が生い茂って飛び出している場所もある。ベイエリアでも、頭上に張り出した障害物があって、ちょっとしゃがめば両サイドだけはロッドが振れる場所も多いのだ。こういったエリアなどでは、ごく当たり前のようにサイドキャストを使う。

実際のフィールドでは、必ずしも利き腕の側だけにスペースがあるとは限らないので、できることならどちらの手でもキャストできるようになっていると有利だ。人によっては着水後のロッドを持ち替える手間を避けるため、バックサイドキャストなる変形を使う人もいるようだ。これはアンダーハンドキャストの変形とも言える。

それじゃあ投げ方のコツを、ちょっとだけ紹介しておこう。一番注意したいのは、ロッドの向きだ。リールは必ずロッドを振る方向にして、リールの重みで下を向かないようにしよう。リールが下を向いてしまうと、ガイドの中心とロッドの芯とがマッチせず、十分にロッドの弾力を使うことができないからだ。

特に握力の弱い人は、しっかりとリールシートを握って、絶対にリールが下を向いてしまわないようにする。進行方向に対してロッド芯とラインとがうまく合致していれば、十分にロッドを曲げることができるのだ。これが第一の条件。

次に重要なのは、ロッドを振るスピードが遅くなりすぎないこと。オーバーの場合と違って、スイング速度が遅いとロッドの軌跡よりもルアーの軌跡が下がってしまう。つまりロッドをうまく曲げることができたとしても、ねじれてロッドを曲げていることになる。当然ロッドの反発はうまく生かせないし、最悪はロッドが破損することもある。

地球上には重力が働いていることを考えれば、これがいかに重要かが理解できるだろう。更に言うとすれば、タラシが長すぎると、よけいにスイング速度を速くしたい。短いほど重力方向へのごまかしをやりやすいのだ。但し短くしすぎると、今度はラインをリリースするタイミングが難しくなる。

実際に練習してみて、多くの人が右や左に飛んでいってしまうかも知れない。これはある程度想像できる事で、オーバーがサイドになったことを意識しすぎているパターンなのだ。上も横も基本は同じ。変に意識しすぎないで、気楽にキャストしてみよう。

もしどうしてもうまく投げられなかったら、振り抜くのではなく押し出すようなイメージでロッドを振ってみてはどうだろうか。十分にロッドを曲げるのが難しくなるけど、それは飛距離が出なくなるだけのことだ。最初のうちはキャストの方向性を意識して、左右に飛んでいってしまうのを避けよう。

このコントロールがうまくできるようになったら、徐々に弾くようなキャスト方法に変えていく。これができるようになればしめたもので、低弾道キャストができるようになるのだ。風の強い時などには、低弾道にルアーを飛ばすことで、無駄なラインスラッグもなく、水面近くを一気に突き抜けるようなキャストができるのだ。


戻る