このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
139号 に掲載された記事です

キャスティングテクニック・ピッチング編
 さて、今回で具体的なキャスティングのテクニックのお話は終わりです。もちろん他にも様々なキャスティングの種類があり、状況に応じて使い分けることができます。個人的には、フリップキャストなども活用することがあります。まあ基本ができれば練習あるのみなので、ご質問でもいただければと思います。

それじゃあいよいよ今回のキャストを紹介。キャストの最後を飾るのはピッチング。名前はちょっと変わっているけど、実際にやった経験のある人は多いんじゃないかな。これは見方によってはアンダーキャストの変形ともとれるね。

有明のムツ掛けって知っているかな。釣りキチ三平でもあったけど、干潟のムツゴロウを引っ掛ける釣り方に、ちょっとばかり振り込み方が似ているんだ。ここで振り込み方って書いたのは、投げるというよりも振り込むという表現の方が適していると感じるからだ。

この基本的なポーズとは、ノベ竿を使って仕掛けを振り込むのと、基本的には同じポーズなのだから。バスフィッシングをやっているアングラーだったら知っていると思うけれど、右利きの人だったら右手でロッドを持ち、左手にはルアーを持って構える。そのままウキ釣り仕掛けを振り込むようなイメージで、スッと送り出すようにロッドを振る。

こうやって近距離のピンスポットを、静かにそして正確に叩いていくことのできる方法だ。たったこれだけの、とても単純なキャストテクニックなんだ。ルアーを手に持つのだから、タラシは適度な長さが必要なことを忘れないでね。

ソルトルアーの場合、ピンスポットにルアーを着水させたいときや、近距離のポイントを正確に狙いたいときなんかに重宝する。船の間のメバル狙いなんかも、このテクニックはフルに威力を発揮してくれるはずだ。オフショアのシイラでも、足元にウヨウヨいる状況なら、安心して確実に攻められる。

もちろんソフトな着水も、サミングなどによってコントロールできるんだ。だからソルトしかやらないアングラーにも、絶対に覚えておいて欲しいテクニックだ。初めての人が試して難しいと思うのは、おそらく上手にロッドを曲げられないことだと思う。そこをちょっと話しておくことにしよう。

前にも書いたけど、他の通常のキャスティングとは異なり、タラシをたっぷりとるのが常識だ。スイングの軌跡はそれほど取れないので、タラシを利用した遠心力でポイントへ向けてキャストする。たらしの長さは人によって異なるようだが、僕の場合はグリップエンドと同じくらいの長さにしている。

だからルアーを持った手で、ロッドを曲げないように注意して振り込むことがキモになるだろう。ロッドを少しぐらい曲げても構わないけれど、そうするとロッドの反発と振込みスピードとのバランスが難しく、距離感通りにルアーを着水させるのが難しくなる。

だからルアーが極端に軽かったりすると、遠心力でロッドを曲げられないので難しい。それからラインが必要以上に太いときも、リールからでるラインの放出抵抗が高くなり、思ったような飛距離が出せないだろう。太いラインを使う必要のあるときには、ベイトリールを使った方がやりやすいと思う。

それじゃあ練習方法を紹介しておこうかな。とにかく感覚を練習するしかないんだけど、重要なのはラインを離すタイミングと距離感だ。基本的には真っ直ぐ振り込むので、左右へ飛ぶことはないはずだ。

だからちょっとしたスペースがあれば、危なくなく練習はできる。目安としては510mを基準にして、1m刻みくらいで目印を準備する。この目印は地面と同じ高さになるようにして、30cmくらいの円を描いておく。帽子などを置いてもいい。

そして重要なのは自分の立つ場所で、自分が落ちない程度の台を準備して、その上に立つ。これは実際の岸壁から水面までの高さの差を埋めるイメージが、距離感に重要となるからだ。

この高さの差はそれぞれのフィールドで異なるから、自分のイメージで決めればいい。くれぐれも落ちちゃうような不安定で狭い台を使うのはやめてね。怪我しても責任はとれませんから、ご自身の判断で台を使うかどうかは決めて下さいね。

慣れてきたらゲーム感覚で、仲間と一緒にポイント撃ちの練習をやってみて下さい。狙う目印をいくつか決めて、順番にルアーを撃ち込んでいくんだ。

このように楽しみながら練習することが、上達への早道だ。より正確なキャストを目指して、そして今までより魚が釣れますように!


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