このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
140号 に掲載された記事です

正確にポイントを狙うには?
 前回までのキャスティングテクニックの紹介で、ソルトルアーで使われるおよその投げ方は分かってもらえただろうか。状況に応じて様々なキャスティングの方法を駆使することによって、より効率的なルアーフィッシングを楽しめる。

今回は、より正確なキャストコントロールをするために、どんな点を注意すれば良いかを考えてみようと思う。キャストのテクニックを完成させるためには、そのやり方を知るだけではだめだ。そのテクニックを知ると言うことは、自由自在に狙ったポイントを狙うということ。つまり実戦で使えなければ、そのキャストをマスターしたとは言わない。

前回のキャスティング編でも紹介したが、重要なのはとにかく練習すること。そのひとつとして紹介したのが、ポイント撃ちの練習だ。適当な(いい加減ではなく、適しているという意味)場所に目印を置き、そこを正確に狙えるようにしたい。

このとき意識して欲しいのは、型にはまったキャストにならないことだ。順番に狙っていく癖を付けてしまうと、その順でしか狙えなくなってしまう人もいる。1番から5番までの的を準備したら、ランダムに、もしくは同じ的を集中して狙った直後、全く異なる的を狙ってみたりするといい。

ある程度慣れてきたら、この的の位置をどんどん変えてみよう。さらに的を小さくしてみるのもいい。とにかく地道な練習は嫌われがちだけど、上手なアングラーは人知れずこういった部分を怠らないようにしているものだ。人より少しでも釣果を伸ばしたいなら、こういった練習を地道にこなしておこう。

さて、このキャストのコツなんだけど、ただ漠然とこなしていても上手にはならない。最後にキモとなるのは、何といっても自分の指先の感覚だ。特にスピニングリールでライトルアーをキャストするためには、適正な付加を与えた状態で、より安定した方向性を持たせなければならない。つまりロッドは真っ直ぐ振ることによって方向性が定まり、飛距離はロッドを曲げた後の反発と遠心力、そしてそれを指先で受けて適正なタイミングでリリースすることに尽きると言える。

当然ロッドを持ったときのバランスも重要になり、手のどの部分で握るかによっても、そのコントロール性は異なってくる。ここでは具体的に、ボクがどんな方法で扱っているかを紹介しておこう。

まずはロッドの握り方。ボクは右利きなので、右手でスピニングロッドを握っている。左手はエンドグリップをサポートする程度で、軽く握る程度だ。あくまでも右手でロッドを振り、左手はサポートとしてスイングのときに手前へ引き付ける。このときのスピードと右手の押し出しによって、飛距離をコントロールするようなイメージだ。

リールの脚は、右手の中指と薬指との間。手の小さい人は、薬指と小指の間でもいいと思う。たまに人差し指と中指との間に挟む人も見かけるが、これはロッドを振るときに脚をはさまないので不安定になる。できるだけ自分の手の中心である、中指と薬指との間に、リールの脚が来るように握った方が安定する。それが結果として、ロッド操作を安定させて、正確なキャストをすることにもつながるのだ。

次に指のどこへラインを引っ掛けておくかだ。ボクの場合、ライトタックルでルアーをキャストする場合には、人差し指の腹にラインを掛けるようにしている。8ft以上のロッドを適度な重さのあるルアーを使うときには、更にもう少しラインの位置を下げて、関節の部分で引っ掛けておく。

ボクのキャストは、適度な付加が指にかかったとき、すなわちロッドに適正な付加がかかった時点で、自然とはじかれるようにラインは指から離れていく。意識しないで、こういった流れで動くようになっているんだ。重いルアーを、もしくはロングロッドを使うと、指先で保持しようとする力が大きくなり、しっかりとロッドを曲げられる。

言葉で説明すると凄く分かりにくいと思うんだけれど、ようするにここでラインを離そうと意識せず、ロッドがしっかり曲がっているなと思った次の瞬間には、自然とラインが指から離れているような練習をすればいいと思う。

ちなみにオーバーヘッドでのスイングの軌跡としては、ボクの場合には右手が右耳の横をバックスイングの最も後方の位置になる。これが8ft以上のロッドになると、右手をもう少し高く上げて、頭のてっぺんあたりになる。つまりより遠心力を生かして、ロッドの軌跡を大きく取ろうとしているのだろう。とにかく実戦で練習することだね。


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