このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
141号 に掲載された記事です

ロッドの違いによるキャストへのコツ

前回は正確にポイントを狙うためのキャストについて話したけど、今回はロッドの違いによる影響を紹介してみよう。ルアーロッドはたくさんの種類に分類されているが、釣り場のシチュエーションや用途などによって、その長さは短い軽量のものから重くて使いこなせないほどの長さまで存在する。

まずは体力面で考えると、短いロッドより長いロッドは重い。つまり一瞬のコントロールは何とかなるかも知れないけれど、長時間の釣りを想定した場合には、長いロッドはかなり体力を消耗するはずだ。それだけ集中力を維持することが難しくなるし、当然のことながらキャストコントロールも乱れてくる。

ここで言いたいのは、自分の体力以上のロッドを使うと、疲れるばかりか正確にポイントを狙うことすらできなくなってしまう。つまり自分の体格や体力に見合ったロッドを使うことが、いつも安定した釣りを楽しむための最短距離なのだ。

次は、飛距離に対する影響を考えてみよう。仮に6ft10ftのロッドがあったとしよう。ラインは4ポンド直結とする。キャストするアングラーの体力面での問題はないとすれば、ラインブレイクの起きない限り飛距離はロングロッドに分があるはずだ。

6ftのロッドで20m飛んだとすれば、10ftのロッドは30mほど飛ぶだろう。この違いは、単純にロッドの長さによる遠心力の差だ。タラシを長くして遠心力を利用したキャストをするのと同じように、ロッドも長ければそれだけ飛距離を出しやすいのだ。

ここで重要なのは、ロッドが長いほど有利なのかということだ。前にも話したように、人間には体力の限界というものがある。ロッドが長ければ、それだけアングラー自身に加わる力の負担は大きくなる。それを越えてしまえば、まともなスイングなどできる訳もなく、むしろ飛距離は低下し、コントロールもムチャクチャになってしまう。なにごとにも適当な条件が存在するのだ。

飛距離の話はこれくらいにして、次はコントロールの話に移ろう。ちょうどロングロッドではコントロールがムチャクチャになると話したけど、これについてちょっと書いておくことにしよう。

これに関しては一概に言い切れないけれど、あくまでも一般論として読んでもらいたい。ショートロッドとロングロッドとでは、根本的にロッドの硬さが違う。つまり軽量なショートロッドは、比較的スローなスイングをやりやすい。ところがロングロッドは胴ブレを抑えたりするなどによって、ブランク自体の重量だけでなく反発力も強い。

すなわちそれが、アングラー自身の体力に対してどうなのかということだ。アングラーが軽量なショートロッドと同じ感覚でキャストできるレベルならさほど気にならないけれど、ちょっとロングロッドは重いなぁと感じるようであれば、まず正確なキャストはできないと考えていいだろう。その時点で、そのアングラーの体力の限界に近いロッドなのだと考えられる。

それから次に重要となるのが、ロッドの硬さや反発力による影響が挙げられる。キャストの方法には、大別して2種類がある。ひとつは俗にカッコイイと思われている、「ピュン」と音を立てるような鋭いキャストだ。低弾道キャストや風の強いときのキャストには重宝する。

そしてもうひとつが、長めのタラシを利用して、ジワッとロッドに重みを加えてのキャストだ。前者は軽いルアーを、固い反発力の塊のようなロッドでキャストするのに向いている。後者は、胴調子の比較的柔らかく、バットのトルクで反発させるようなロッドに向いている。

どちらが有利かとは一概に言い切れないが、硬いロッドでは反発のスピードが極端に速く、コントロール性能は著しく低下する。逆にジワッとキャストできる胴調子なら、比較的スローなスイングが可能だ。これならスイングの中に、方向性や飛距離の修正が可能となる。こういった面から考えると、胴調子のロッドの方が、キャストでの失敗が少ないと言える。特に初心者のアングラーには、とっつきやすいアクションのロッドと言えるだろう。

色々と書き並べてみたけど、実際のフィールドではターゲットや釣り場のシチュエーションによって、使いたくなるロッドのスペックが決まってくる。そういった条件の中で有利にゲームを進めるためには、一般的な長さのロッドならどれでも合格点でキャストできるだけのテクニックが必要となる。より質の高いゲームを楽しみたいのであれば、重要なのはそれらを積極的に経験することであり、体で覚えることだ。


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