このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
142号 に掲載された記事です

飛距離を出すコツ

 ルアーフィッシングにおいて、ルアーをキャストするという行為は、必要不可欠の行動だ。ルアーを足元に落とし込む釣り方もあるけれど、一般的にはロッドの反発を使って投げては巻いてくる。これこそが、ルアーの楽しみでもある。

それじゃあルアーを投げることができなかったら・・・、人より遠くに投げることができるならば、どれだけ有利にルアーフィッシングを楽しむことができるだろう。そんなことを、アナタは考えたことがあるかな。自分があんまり遠くに投げられないのに、隣のアングラーが遠投して入れ食いを堪能していたら、ガッカリしてしまうはずだ。

その多くは、きっと夏の回遊魚狙いの時に感じるはず。遠くでイワシを追いかけてボイルしている青物を見つけ、そしてルアーを思いっきり遠投する。遠投しやすいタックルバランスもあるだろうけど、ほとんどが投げ方の間違いによって、そのタックルにマッチしてないことが原因による飛距離不足が多い。

タックル選定の話は既に済ませてあるので、ここでは純粋に投げ方が原因となる飛距離不足について話を進めてみよう。どうすれば遠投できるのか、どうすれば隣のアングラーより遠くへ飛ばせるようになれるのかを、ここで考えてみよう。

まずはキャストする時のタラシの長さで、これが適正でないと思ったような遠投ができないことを知っておこう。例えばボクの実際の投げ方を例にとって話してみる。ボクが10ftのシーバスロッドを使って、28gのメタルジグをキャストしたとする。そのときのラインは、仮にPE10ポンドで、20ポンドのショックリーダーを3mほどつけたとしよう。このリーダーの長さは、力糸の役目と考えてもらっていい。

この場合にボクがオーバーヘッドでキャストするなら、ロッドティップからメタルジグまでのタラシの長さはどれくらいだと思うかな。目安としては、80cm1mくらい。ロッドの硬さや弾性の度合いによっても違うけれど、およそこれくらいを目安に、遠投を意識している。

夏のサーフで見ていると、ナブラに慌てているのだろうか、15cm30cm程度のタラシでキャストしているアングラーを多く見かける。しかしロッドの曲がりは十分でなく、それほど遠くに着水しているようには見えない。

これは遠心力を上手に使えてないのが原因で、ロッドの特性を生かせるほどに曲げることができてないのだ。ロッドは曲げることによって反発させてルアーを飛ばすのだから、最大のパワーを発揮できる曲げ方をできなければ、その反発力も生まれない。つまり反発力が小さければ、遠投はできないという図式が成り立つのだ。

このタラシを適度に長くすることによって、遠心力を利用してそのロッドをピークまで曲げてやることができる。極端な高弾性のロッドでは瞬間的に曲げるパワーが必要になるけれど、適度な弾性であればジワッと曲げてやるテクニックを使えるはずだ。

ひと昔前の投げ竿は棒のようにガチガチのものが多かったが、最近ではロッドの反発を利用するタイプが増えてきている。そういったロッドは、アングラーをそれほど選ぶことなく、遠投を可能としてくれる。ただしタラシが長すぎると、すっぽ抜けたような感じになって、むしろ飛距離が出なくなり、最悪の場合はラインの出るスピードだけが速くなりすぎて、ラインブレイクを起こす可能性もある。

長めのタラシで遠心力を利用して投げることが、一般的な遠投を可能にするキャスト方法だ。しかしこれはいわゆる低弾道キャストにはなり得ないので、状況によってタラシの長さを調整するなどして、その状況にマッチした長さを見つけよう。

投げ方も同じで、ガチガチの硬い高弾性のロッドなら、一気に曲げて瞬間的な反発でキャストする方法が適しており、ジワッと投げるよりは飛距離を出すことができるはず。ところが瞬間的に振り抜くキャストでうまくタイミングを取れない人の場合は、前記のタラシを長めにした、遠心力を使う方法でロッドを曲げた方が飛距離を出せるケースもあるようだ。一概には言い切れないが、その人の体力に見合った投げ方も成立するということなのだろう。

最後に、PEでライントラブルの多い人へ。ショックリーダーが短すぎると、ロッドの反発によるブレが収まる前につなぎ部分がガイドを通過する。これを防ぐために、多少の飛距離を犠牲にしても、長めのリーダーをつなぐことをオススメする。トラブルを気にして中途半端にキャストするより、自信を持って思いっきりキャストしてみよう!


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