このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
143号 に掲載された記事です

キャストでベールを戻りにくくする方法

ロッドを思いっきりスイングしたとき、バッチ〜ンという音とともにラインブレイクした経験は持ってないかな。手元を見てみると、リールのベールアームが戻っちゃって、「ベールを返し忘れてキャストしちゃったのかなぁ?」な〜んて勘違いしてないだろうか。

もちろんホントにベールアームを返し忘れちゃった人もいるかも知れないけれど、現実にはベールアームがキャストのときに起きる遠心力などによって、バチ〜ンと戻ってしまうことがほとんどなんだ。せっかくちゃんと投げようとしても、ベールアームが戻っちゃえば、返してないままキャストしたのと同じだね。

それじゃあ、今回は何でそんなことが起きるのかを考えてみよう。まずは自分がベールアームをどの位置で返しているのか思い出してみようか。ベールアームを返すときには、最初にタラシの長さを調節するんだけど、同時にベールアームの位置を確認するでしょ。これがどこにあるかが、とっても重要なんだ。

例えば普通に考えたら、人差し指の先にラインを引っ掛けるわけだから、ラインローラーが最もロッドに近づく位置、つまり手前にきた位置が指を掛けやすい。指を掛けやすいからってそのままやっちゃうと、ちょっとした加減で落とし穴が待っているんだよね。

それじゃあリールを上側(スプール上部)から見てみよう。スプールに対して、ベールアームはどっちに回転するかな。上から見ると時計回りに回転するでしょ。これを正転とすれば、通常ならキャスト時に逆転することはない。

ところがキャストすることによって、逆転はしなくても、正転方向への回転は起きる可能性がある。これはロッドの振り方(スイングの軌跡)によっても違うんだけど、ベールアームが正転方向へ動くような力を発生させたときに起きる。

ベールアームが回転するとどうなるか。勢いのついた状態で回転すれば、ベールアームの回転が止まる位置までいってぶつかったときに、その反動でベールアームが戻ってしまうってわけ。最近のリールはベールアームの回転が起きにくいように、そのバランスをうまくとってあるものが多い。だけど完璧ではないのだから、こういったことを防ぐキャストを心がけたい。

それじゃあキャストするときは、そんなことまで気にしていなければいけないのか?って気になるはずだよね。できればキャストする前に、それを防ぎたいものだ。それが基本的なことだけど、ひとつだけ紹介できるんだ。

最初にラインローラーの位置を手前にしたとき、ベールアームを回転方向で通り過ぎさせないこと。タラシを調節するときに、ベールアームを回転させながら、一番近くにラインローラーがくる位置よりも少し手前で止めて、そこで指先にラインを引っ掛けてベールアームを返す。

こうすることによって、ベールアームが戻ろうとする力はうまく吸収されて、ラインローラーが極端に回転することを防止できる。もちろんこれも100%回避できる訳ではないけれど、しょっちゅう起こしていた人は、ハッキリ変わるくらいに激減するはずだ。

つまりキャストするときにベールアームを回転させないようにすることが重要で、それができる方法であればどんなやり方でもいい。この方法だったら、クセをつけてしまえば何の苦もないはずだ。

これ以外にも、例えば投げ釣り用のリールを見てみよう。ルアーよりも更にスイングによる遠心力が起きやすいので、ちょっとしたスイングの失敗によって、ベールアームが戻ってしまうケースは多いようだ。

一時期はベールアームをカットしたスピニングリールもあったほどで、これなら仮に戻ってしまっても、ラインがブレイクすることはない。しかしラインが弛むと巻き取れなくなるため、ルアーには不向きだ。

しかし投げ釣り用のリールを中心に、ラインローラーが最も手前にきた位置でベールアームを返すと、そこでベールアームがどちらにも動かずに固定できるものが多い。かなり昔からあった機構だけど、ボクはこれが一番だと思っている。但し内蔵されたバネによっては、ベールアーム自身の重さで慣性が生じ、そのまま戻ってしまうこともある。

これを対策する方法として、メーカーは自分の手でベールアームを戻さなければいけないような構造にしたリールもある。耐久性を考えれば、この方法でも問題ないと思う。着水直後のリーリングでも、もう一方の手でサポートするクセをつけてやればいい。他にもその人にマッチした方法があるだろうから、各自の使い勝手で試してみよう。


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