このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
145号 に掲載された記事です

ルアーの操作テクニック・フローティングミノー編

今回からしばらくは、色々なルアーの種類別の操作テクニックに関する話をしてみよう。どんなルアーだったかを思い出しながら、「こんな使い方もあるのかぁ〜」なんて楽しんでみたいね。
 最初に話したいのは、ソルトルアーでは最も多く使われているであろう、ミノープラグだ。その中でも、フローティングミノーは、シーバスを始めとする多くのルアーターゲットに、パイロットルアーとして親しまれている。

 このフローティングミノーは、そのジャンル分けの通り、「浮く」ということが最大の特徴だ。だからこのルアーを使うときには、このルアーが持っている浮力を上手に利用したい。つまりリーリングを止めることで潜っていたルアーは浮き上がるので、この特性を使った操作テクニックを有利に使うべきルアーだ。

 これらのルアーを使うために、そのルアーの特性を知ることが重要なのは、以前ルアーの種類を紹介したときのことを思い出して欲しい。ウォブリングやローリングの大別した基本アクションがあり、リップやボディ形状によって、そのアクションの大きさはもちろんのこと、潜行深度などに影響している。

 しかもひと口にフローティングミノーと言っても、リップ形状の違いによって、アクションの大きさや潜行深度、そしてリーリング時の姿勢などが決まってくる。これらを踏まえた上で、具体的な使い分けを考えてみよう。

 例えば一般的なノーマル形状のフローティングミノーがあったとしよう。これを標準的なリーリングで使うミノーと仮定する。もちろんリップ無しのルアーもあり、これもフローティングミノーのジャンルに分類されるだろう。デュエルの場合、アイルマグネットDBがそれに属するルアーだ。

 こういったリップレスミノーは、基本的な特性としてダート特性を意識して作られているものが多い。活性の高いボイルに遭遇したのに、リーリングで反応しないことがあるけれど、そういった状況ではジャークなどでヒラ打ちや左右のイレギュラーなアクションでルアーを見せてやる。そして直後のポーズで、そのルアーにバイトする間を与えてやるのがコツだ。

 通常のミノーでもこういったテクニックは重要だけど、リップの抵抗が邪魔になってしまうので、イレギュラーな動きを出せず、そのまま激しくウォブリングしてしまう。バランスの悪いボディ形状やリップの形状・角度のミノーは、こういった操作をやったら、水の噛み込み不良で水面から飛び出すこともある。

 こういった面を考慮すると、個人的にはリップレスがダート専用、通常のミノーはリーリング+軽いトゥイッチ程度と思っている。リップレスミノーに関しては潜行深度が浅いものが多いので、基本的にはシャローでの水面を意識した、引き波を立てながら水面もしくは水面直下をスローに引いてくる。

 フローティングミノーでの操作テクニックとして重要なのは、こういったルアーの特性を理解した上で、最も有効に働いてくれるタイプを探し出したい。例えばショートボディのミノーはロッドアクションが大きいとテーリングがおきやすいとか、スリムロングならそのような減少が起きにくいということも知っておきたいものだ。

 それからミノーイングで使えるテクニックとして覚えておいてもらいたいのは、ロッドを立てるか寝かせるか、左右どちらかにティップを向けているかなどだ。風向きや潮の流れている方向によって、ロッドを左右どちらに向けるかなどのテクニックもある。

 水深によっても、同じようなことが言える。水深の浅いスロープやシャローでは、ロッドを寝かしていると根掛かりしやすい。だからロッドを立てる角度によって、ミノーが泳いでくる深度をコントロールすることもある。

 ベーシックなルアーながら、こういったアングラーの操作できる領域はかなりあると考えよう。単調なルアーだと思われがちだけど、アングラーのちょっとしたロッド操作で、そのルアーのアクションが全く別物になる可能性もある。こういったロッドの角度や向きによる影響は、微妙に風や潮流の影響などを受けるので、十分に事前確認をやっておきたいものだ。

 これ以外にも、ロングビルタイプのフローティングミノーでは、ポンプリーリングも面白いテクニックといえる。最初に話したように、リーリングとストップを繰り返すと、浮力によって岩陰の直撃なんて芸当もできる。性能を生かすのが、我々アングラーの仕事なのだ。


戻る