このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
146号 に掲載された記事です

ルアーの操作テクニック・シンキング&サスペンドミノー編

前回は、一般的にミノーイングで最も多く使われている、フローティングミノーについて紹介してみましたね。今回は、沈んでいくミノー、つまりシンキングミノーやサスペンドミノーの操作テクニックだ。

 ここで簡単におさらいをしておこう。シンキングミノーとは、着水したらどんどん沈んでいくミノープラグだ。リップの形状によって、リーリングで浮いてきたり潜って行ったりする。引き抵抗の大きなミノーは浮き上がりやすく、ロングリップのスリムタイプは潜るものが多い。

 サスペンドミノーとは、水中静止を目的として作られたミノーだ。水中にサスペンド(静止)するためには、水との比重が同じである必要がある。一般的には淡水用のルアーに多く採用されており、水温12度での設定が最も多い。

 海にはこの水温条件のほかに、塩分濃度という違いも影響することになる。つまり河川の流入がある汽水域に近いエリアと、まったく真水の入り込みがないエリアとでは塩分濃度が異なるので、同じサスペンドミノーを使ったとしてもサスペンドはできない。

 このようにシンキングミノー、そしてサスペンドミノーの特徴を理解した上で使えば、フローティングミノーではできなかった基本的なテクニックを、思う存分に駆使することができるのだ。どんなルアーを使ったとしても、基本的な設計コンセプトを理解することから、その能力を引き出すことができるということを忘れずに。

 それでは、シンキングミノーから紹介していこう。まずはどんな状況で登場して欲しいかを考えてみることにしよう。例えば近所の港に行って、目の前にカマスの群れが泳いでいたとしよう。フローティングミノーを投げて誘ってはみるものの、まったくルアーには反応しない。

 こんなときにシンキングミノーの出番が来る。一般的には、群れの向こう側へルアーをキャストして、遊泳層まで沈めてやる。そこからリーリングを開始して、群れの目の前を泳がせてヒットを誘うのが一般的なやり方だ。

 ところが、それだけでは反応しないケースも多い。そこでシンキングミノーの特徴を思い出してみると、沈むということでフローティングミノーにはできないアクションテクニックの存在に気づくだろう。

 それはスローなカーブフォールでのトゥイッチングだ。ボクもよくやるテクニックだけど、シンキングミノーは自分でゆっくりと沈むことができる。その沈んでいくときにラインの出を止めておくことで、シンキングミノーは沈みながら手前に寄ってくる。

 このときに軽くトゥイッチなどのアクションを加えることで、立派なアクションが出来上がる。なかなかルアーに反応しないカマスなどに対しては、こういった沈む特性を利用したテクニックが効果的だ。

 それ以外にも、上下にルアーを操作する、ジャーキングもできる。沈むルアーなのだから、メタルジグのようにジャークで誘い上げることが可能だ。エギを操作するようなテクニックも、沈むルアーだからこそできるのである。

 次にサスペンドミノーだ。前記のように、完全なサスペンドはあり得ない。特に海の場合には、それがはっきりと思い知らされる。しかし考えようによっては、沈めるときにはスローシンキング、潜っているときにリーリングを止めればスローフローティングといった、独特の動きを演出することができる。

 例えばストラクチャーにぴったり寄り添っているシーバスやメバルを相手にすることもあるだろう。リーリングでは一瞬で通過してしまうルアーでも、そこにほぼ静止させられれば、わずかなロッドアクションでルアーに命を吹き込める。その場で動かせるのも、ほぼサスペンドできるルアーの特徴と言える。

 ついでにストラクチャーへ寄り添わせるテクニックを、簡単に紹介しておこう。まずはポイントよりも遠くへルアーをキャストする。ポイントへ直接着水させてしまうと、そこでいつまでも沈んでいくのを待たねばならない。これだと潮や風の影響を受けて、ルアーは別の場所へ流されてしまう。

 ポイントの向こう側へ着水させたら、一気にリーリングして、自分の狙いたいレンジまでルアーを潜らせてやる。ほぼサスペンドであれば、リーリングを止めたときにルアーがストラクチャーの近くにいることによって、ポイントのストラクチャーに寄り添うアプローチが可能になるのだ。そこから先は、ロッドアクションを活用して、ルアーの移動量が多くなりすぎないように、繊細な動きを与えればいいのだ。


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