このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
149号 に掲載された記事です

ルアーの操作テクニック・メタルジグ編

遠くにいる魚を狙いたい場合や、深い場所に潜んでいる魚を手っ取り早く攻略したければ、メタルジグを語らなければならない。文字通り金属でできているルアーなので、目的の場所へ素早くプレゼンテーションするには、この上なく有利にゲームを運ぶことのできるルアーだ。

 ここではショア、オフショアを問わず、メタルジグの使い方を紹介していこう。一般的な動かし方から、一歩進んだ珍しい使い方を話してみたい。金属の塊だけに、アングラーの操作テクニックが釣果に影響しやすいルアーと言える。

 そもそもメタルジグとは、ソルトルアーでは回遊魚を遠投して狙ったり、船からのジギングに多く使われている。これは金属の塊であるがゆえ、遠投性能と速く沈むことが重宝されるからだ。

 ジグの基本的に持っているアクションは、スイミング系(フォール系)とバーチカル系(ストレート系)に分けられるだろう。前者はスプーンのように適度なアクションを見せてくれるものであり、後者は真っ直ぐ一気に沈んでいくアクションの少ないものだ。

 水深の深い場所を狙う場合、一気に沈むストレート形状のジグを使うのだが、ゆっくり沈めながらフォールで魚の反応を得たい場合には、スイミング系のジグを使うアングラーが多い。最近ではユラユラ沈むだけのフォールアクションではなく、頭を中心にしてテールを振る、スイミング系の水平フォールを得意としたアクションが好まれている。

 メタルジグの操作テクニックで最も難しいのが、テーリングと呼ばれる現象をいかに起こさずに扱うかだろう。頭に重心がありテールに抵抗がありすぎると、沈めていく途中でテールフックがフロントアイに結んであるラインに引っ掛かってしまいやすい。

 せっかく遠くへ投げたり深く沈めてやっても、ちょっとロッド操作をしただけでテーリングしてしまったら意味がない。絡んでしまったら、当然そのルアーで魚をヒットさせることは難しくなる。よほど魚影の濃い場所でない限り、絡んでしまったジグにヒットすることは確率としてかなり低いはずだ。

 従ってメタルジグの重要な操作テクニックとしては、「テーリングさせないこと!」が重要なのだ。そのために必要なのは、どんな使い方をするのかを承知しておくこと。頭から逆さに沈んでいくジグでフリーフォールしたら、テールフックはアイ側のラインへ絡みやすくなる。後部重心のジグこそが、扱いやすいといえるだろう。

 スイミング系のジグでも、これと同じことが言える。ジャークなどでラインが弛みすぎると、ジグの頭は下へ沈む。このときにオーバーアクションのジグでは、テールフックがラインに絡みやすくなる。これらを防ぐためには、完全なフリーフォールをさせないようにする。常に軽くテンションを加えておくことで、テールフックがアイ側へ近づかないようにしてやるのだ。

 さて、テーリング防止のテクニックはこれくらいにしておいて、簡単なメタルジグの操作を紹介しておこう。一般的な操作としては、単純なリーリングが基本となる。リーリングではスピードによって、ジグのアクションは性格が変化してくる。スローだとノーアクションでも、速く引けば暴れまわるものもある。

 この特性はジグによって異なるので、最も激しく動くスピードと、わずかでもアクションを始めるスピードを事前にチェックしておこう。これらを知っておくことで、ここにロッドアクションを加えてやればいいだろう。

 加えるロッドアクションとして、ジャークやトゥイッチ、そして一瞬だけステイさせるイメージで食わせの間を持たせるのも、ジグでは重要なテクニックだ。常に動かし続けるジグだけに、一瞬の間を狙ってくる魚は多いからだ。

 更に面白いテクニックでは、海底でボトムバンピングさせたりもするのだ。ピョ〜ンピョ〜ンと海底を弾ませるようにロッド操作して、海底付近の魚にアピールさせる。時には跳ね上げる動作が向こうアワセになり、不意の衝撃をロッドに感じて慌てることもあるだろう。

 それから一般的ではないが効果的なアクションに、ジグのズル引きがある。メタルジグは常に動き続けてないと見破られるというアングラーもいるけれど、意外なほどに良く釣れるテクニックでもある。

 このようにまだまだ紹介しきれないが、「たかが金属の塊、されど金属の塊」と言える。アングラーの使い方しだいで、ジグは様々ないくつもの顔を持っている、自分の感性で、色々と試してみたいものだ。


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