このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
150号 に掲載された記事です

ルアーの操作テクニック・スプーン編

今回は、ソルトルアーアングラーとは決して縁があるとは言えない、スプーンについてお話してみようと思う。ミノーやジグといったルアーが主流となるソルトルアーの世界でも、使い方によってはスプーンが強力な武器になることを知ってもらえれば幸いだ。

 一般的にスプーンの場合、その用途としては淡水でのトラウトフィッシングを中心に活躍していると思われがちだ。だけどスプーンの効果っていうのは、それだけにはとどまらない。ヒラヒラとリーリングでボディを揺らすアクションはもちろんのこと、手を止めた時のフォールによるキラメキも、魚たちにとっては魅力的な動きになる。

 今でこそトラウトフィッシングでもスプーンのリフト&フォールといったテクニックが知られているけれど、これにロッドアクションによるキラメキを加えたような操作もソルトでは有効になる。つまりトラウト以上に、バーチカルな縦のアクションを好むターゲットが多いと考えてもいいだろう。

 ここでいくつかのボクが好む操作を、簡単に紹介してみよう。まずは先ほども話したリフト&フォールのテクニックだ。一般的にスプーンを操作するときは、リーリングに適度なトゥイッチを加えてヒラ打ちをさせて魚の興味をひきつける。

 これにロッドを大きく上下させることで、一瞬の魚との接点しかなかった横の動きだけでなく、そのエリアに長い時間魚に対してアピールを続けることができる。もちろんここでルアーの動きを止めると見破られるので、何らかのアクションを加え続ける必要がある。

 そこでオススメしたいのが、フォーリング中のロッドアクションというわけだ。通常のリフト&フォールだと、シャクリでテールを振りながら跳ね上がり、フォールでユラユラとアピールしながら沈んでいく。これにフリーフォールやカーブフォールで、ルアーの動きに変化をつける方法が一般的だ。

 このカーブフォールやフリーフォールの最中に、ロッドを小刻みに振るわせたり、小さくトゥイッチを加えることで、フォール中のスプーンに独特の動きを演出させるというテクニックだ。但し、フォール中のアタリはなれないと感じ取りにくいので、それなりのタックルバランスも重要になる。

 次に試してもらいたいのは、メッキや青物といった表層でも活発にルアーを追ってくれる魚を相手にするテクニックだ。ルアーはちゃんと泳いでなければ釣れないという概念を無視して、水面で超高速リーリングするというテクニックがある。

 これはスキッピングと呼ばれるテクニックで、水面を逃げ惑う小魚を演出するテクニックだ。メタルジグでこれをやると、必ずしもうまく動かない。ところがスプーンを使うことで、不規則なアクションを可能にしてくれるんだ。

 仲間達と数人でこれを繰り返してやると、時にはベイトフィッシュの群れが水面で追われて逃げ惑っているようにも見えるので、深いレンジにいる魚たちがつられて浮上してくることもある。
 深いレンジに魚が見えている場合に、ついそこまでルアーを沈めたくなりがちだけど、まずは水面で誘ってみることをオススメしたい。水面のルアーに反応しなかったら、そこで初めて沈めて探ることを試せばいいのだから。

 もうひとつ紹介しておこう。それはボトムのズル引きを中心とした、およそルアーらしくない操作テクニックだ。具体的には、ボクの場合には岩場のカサゴやムラソイ狙いに使っている。

 岩場狙いにスプーンだと根掛かりが多いと思われがちだけど、実際にはそれほどではない。元々が薄っぺらなスプーンだから、岩の間などもスルリと抜けて通過してくる。むしろジグヘッドよりも、根掛かりは少ないと感じている。
 もし引っ掛かったとしても、ちょっと弱いフックに交換しておけば、フックは伸びてくれる。もちろんシングルフックに交換しておいてもいい。バーブレスにしておいた方が、もっと気楽に攻められるかもしれないね。
 さて実際のアクションだけど、基本的には岩の上から滑り落ちるような動きをイメージする。着水させたスプーンを岩の上にそっと落としてやる。そこから岩ギリギリにズルッと滑り落ちるように操作する。岩の上で遊んでいたカニが、そのまま波に洗われて岩の横へ落ちていくような動きをイメージすればいい。

 このようにスプーンには、様々な使い道がある。今までの固定観念にとらわれず、自分なりのテクニックを開拓してみようよ。


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