このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
151号 に掲載された記事です

ルアーの操作テクニック・スピナー編

今回お話しするスピナーも、前回同様にソルトルアーでは目立たない存在だ。本来はトラウト用に存在していると言っても過言ではないルアーだけど、実はソルトでも十分に通用してくれる。

 最近では管理釣り場でも、スピナーを使うアングラーは減っているようだ。ミノーイングやスプーニングが流行しているためか、単調な動きのスピナーには注目されないのだろうか。とても残念なことだ。

 さて、スピナーの基本的な動きをおさらいしておこう。スピナーは、本体にブレードと呼ばれるプレートがセットされている。ルアーを引くことによって、水の抵抗でこのブレードが回転する。

 この抵抗がクセモノで、実はスピナーの動きに大きな影響を与えている。ブレードにはいくつかの形状パターンがあり、細身なら抵抗が小さい分回転は控えめ。しかし大きなブレードであるほど、抵抗は大きくなるので回転は良くなる。裏を返せば、細身は浮き上がりにくいが、大きなブレードのスピナーは浮き上がりやすいのだ。

 ソルトルアーでは、このブレードの抵抗を考慮して、水面からボトムまでを有効に活用するテクニックを身につけておきたい。リーリングスピードによって、自分が狙いたいレンジを決められるからだ。

 さて、スピナーを使う時の注意点を話しておこう。それはブレードの回転が、ストップさせることで不具合を生じるケースがあることだ。例えば一定速度でリーリングしている最中に、フッと停止させてヒラヒラとフォールさせたとしよう。スピナーのブレードは回転をやめて、不自然な姿勢でキラキラとアピールしながら沈んでいく。

 細身のブレードのスピナーは、抵抗面が小さいために、再びリーリングを始めた時に、ブレードの回転が必ずしも良いとは限らない。つまり細身のブレードはストップ&ゴー、すなわちトゥイッチングなどのテクニックには向いていない。

 逆にブレードの大きなタイプは、わずかに引いてやるだけでブレードの回転が始まる。そのためストップ&ゴーのテクニックも有効に使うことができる。こういったスピナーの形状による特徴を知ることで、そのスピナーに適した操作テクニックを選べるようになっておこう。

 但し、これはあくまでもブレードを回転させて使うケースに限っての話だ。ブレードのキラメキとフォールの速さを期待したい場合には、細身のブレードが功を奏す。ブレードが大きいと、抵抗ばかりでなかなか沈んでいってくれないからだ。

 例えばちょっとばかり潮の動きが読めないような場所では、フォールでキラメキをさせながらも、速く目的のレンジまで沈めてあげたい。例えば岩場でムラソイやカサゴを狙う時には、ブレードのキラメキを利用しながら、正確に岩陰へスピナーを沈めてやりたい。

 スピナーは回転させて使うものという固定観念を無視して、スプーンのフォールのようにブレードのキラメキを利用するのだ。もちろん本来あるべきスピナーの使い方ではないけれど、こういった動かせば何でもありといった状況では、ズル引きで使うことさえもある。

 ちなみに参考までに紹介しておくと、他のタイプのルアーにもブレードのキラメキを利用したものがあるよ。コンビネーションルアーと呼ばれるタイプで、例えばスピナーにソフトベイトをセットしたものは昔から有名だ。それ以外にも、最近では小型のバイブレーションルアーのテールに、ブレードだけをつなげてセットしたものがある。ベイアリアのシーバスに、かなり効果があることで人気がある。

 さて、ここまではブレードを回転させないといった特殊な方法を話してみたけど、ここからはブレードをちゃんと回転させる特殊な使い方を話しておこう。ブレードは回転させるためのモノなので、これも知っておいて損はないだろう。

 それはメッキなどの活性を高める時に、水面で使うテクニックだ。スピナーといえば水中でブレードを回転させて、キラメキを持たせながら使うものだ。しかし必ずしも水中に全てがなければいけない訳ではないのだ。

 ボクが好んで使うのは、水面を高速リーリングするテクニックだ。これは水面でブレードを回転させながら、スプラッシュとバブリングでアピールする。つまり小魚が逃げ惑うような水面のざわつきを、水面で演出してやるのだ。ロッドを立てて高速リーリングすれば、スピナーは水面でアピールできる。

 邪道と思われるテクニックだらけかも知れないけれど、様々な使い方の可能性を試してみたいものだ。


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