このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
156号 に掲載された記事です

カラーセレクトには残像も意識してみよう

ルアーフィッシングで誰もが気にしているのが、どのカラーをセレクトしたら釣れるかだろう。ナチュラル系のカラー、アピール系のカラーなど、様々な色合いのルアーが市場には散乱している。当然ながら自然のライブベイトを意識したものだけでなく、自然界に存在しないアトラクター的なものまで様々だ。

 カラーセレクトには状況に応じた考え方の基準はあるが、必ずしも絶対ではないだろう。しかし潮が澄んでいたらブルー系、曇空ではグリーン系、濁っていたらピンク系といった目安となる色がある。もちろんこれはあくまでも参考であり、これを基準に考えてカラーセレクトをしてみればいいだろう。

 例えばこれからの季節に最も楽しまれるのが、夏とともにやってきた回遊魚、俗に青物と呼ばれる魚たちではないだろうか。真夏の早朝は、海岸線に見られるナブラを追って、多くのルアーアングラーがメタルジグを沖に向かってキャストする姿が見られるようになる。

 こういった青物に使われるジグのカラーは、基本がブルー系だ。ブルーのジグさえ持っていれば、潮の澄んでいる海では通用するケースが多いようだ。これにキラキラと陽射しを受けてキラメキを見せるものや、ホログラム、そしてアルミテープといった渋い輝きを見せる仕上げによって、そのターゲットの反応は異なってくる。

 ところがこれ以外にも注意しておきたいのが、今回のテーマであるカラーの残像だ。実際に魚の目にどう映っているかは分からないけど、激しくアクションするジグのカラーによっては、必ずしも見た目の色で魚が反応しているとは限らないように思える。

 例えばブルー系のジグが当たっているとしよう。そこに表がブルー、裏がレッドのカラーを持ったジグを使ったとする。ブルーのジグがいいからそれを使ったとすると、反対面にはレッドがある。考えようによってはどちらでも対応できるような気がしないでもない。

 ところがこれが盲点であるかもしれないのだ。つまり表がブルー、裏がレッドだとすれば、その混じりあったカラーはパープルだ。ヒラヒラとアクションを繰り返すと、おそらく魚の目には残像が見えてしまうと考えてはどうだろうか。両面がブルーなら間違いないのだが、こういった残像現象が重要であると、ボク自身はいつも気にとめている。

 過去にも何度か紹介したことがあるのだが、カツオ狙いでブルーが好調だった日に、ボクは片面がブルーで反対面にパールホワイトベース、そして赤が少々混じったジグを使っていた。ところが周囲の全面ブルーのジグには反応すれども、ボクのジグには全く見向きもされなかった苦い経験がある。

 このときに船長から言われた話で気付き、ひょっとしたら反対の色が嫌われているのかもしれないと考えるようになった。そして即座に全面がブルーのジグに変えたとたん、それまでの無反応がウソだったかのように、アタリが頻繁に出るようになった。カツオもたっぷりとヒットさせることができたのを今でも覚えている。

 このときの教訓から、2色が混じってパープルとして認識されてしまったのか、それともパールホワイトやレッドが嫌がられたのではないかと考えるようになった。この日はたまたまこういったカラーの組み合わせがマイナス効果であったのだが、逆の効果を出すことができるかもしれない。

 単純に2面を持ったカラーリングがダメなのではなく、こういった考え方をひとつの知識として持っていれば、それを積極的な戦略として活用することもできるはずだ。その時にアタリカラーがあったとして、自分が持ってなかったとしよう。そういった時でも、色合いを組み合わせることによって、ほしいカラーを作り出すことができるかも。

 まあ自然界が相手の遊びなのだから、アングラーが思ったように行くことは少ないだろう。だけどこういったことも意識してルアーセレクトしてみれば、よりゲーム性が高いうえ、自分の頭で考えて釣ったという意識が強くなるだろうね。せっかく遊びでルアーフィッシングを楽しんでいるんだから、こういったことを想像して戦略を立てなきゃ!


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