このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
158号 に掲載された記事です

ロッドの角度とルアーの泳層との関係

いよいよ実戦テクニックの話しに入って、こうやればこんなメリットがあるっていうのを、少しずつ紹介していこうと思う。今回はキャストしたルアーを引いてくる時、ルアーが潜っている深さをロッドの角度でコントロールする方法だ。

 本来はルアー自身の持っている潜行能力によって、ルアーの泳層は自ずと決まってしまう。しかし微妙にルアーの潜行しているレンジを、自分の意思に近づけるべく調整したいって感じた経験はないだろうか。

 ここでいうルアーの泳層は、ミノーに限定して話していこう。もちろん他のジャンルのルアーでも考え方は同じなんだけれど、潜行が基本のフローティングミノーなどを基準に考えれば、ロッドの操作によってレンジ調整できるという意味が分かりやすいだろう。

 それじゃあ具体的に考えるとしたら、どんな時に潜行深度をアングラーの意思で変えたいと感じるだろうか。ボクはメッキが大好きで、船揚場のスロープなどに居着いているのを狙いたい。ところがスロープの特徴として、手前にくるほど急激に浅くなっている。

 これは当たり前のことなんだけれど、漁港の岸壁などではあり得ないシチュエーションだ。つまり足元までルアーを追ってきてアタックしてくるメッキ狙いで、スロープの足元まで同じレンジでルアーを引くことはできない。それはルアーがスロープに引っ掛かってしまうからだ。

 理想的なルアーの泳層を考えたとすれば、トゥイッチャーやミノーで水面直下を引いてきた場合、スロープの足元では勾配に合わせて、徐々にルアーの泳層を浅くしていきたいのではないだろうか。しかし当然そんな都合のいいルアーはあるはずもなく、アングラー自身のテクニックで回避するしかない。

 別の考え方として、絶対に引っ掛からないトップウォータータイプのルアーを使う選択肢もあるけれど、それではルアー任せの釣りにしかならない。せっかくゲーム性のある釣りなんだから、もうちょっと小手先のテクニックだとしても、駆使してみたいと考えたいのはアングラーの性だろう。

 そこで単純だけど効果的なのが、ロッドの角度を変えながら、ルアーの泳層を積極的に変えていくテクニックだ。既に当たり前のようにやっているアングラーもいるようだけれど、意外と気づかずにスロープでの根掛かりに苦慮しているアングラーも多いのが実情だ。

 具体的なやり方としては、とっても簡単だ。通常は沖に向かってルアーをキャストする。一般的には沖が深くて、スロープへ近づくにつれて徐々に水深は浅くなる。スロープエッジより手前に来ると、スロープの勾配で一気に浅くなっていく。

 遠くを探っている時のロッドは、おそらく真下に向けてトゥイッチなどのテクニックを駆使しているだろう。ロッドが長めであれば、少し斜めに構えてロッドが地面や海面に触れるのを防いでいるはずだ。

 そこでメッキがルアーを追ってきたとしよう。ところがスロープに入ってそのままのレンジで泳がせていると、スロープの突起に引っ掛かってしまう。その時にロッドを徐々に起こしていくんだ。真っ直ぐ海の方向に起こすのではなく、ラインとロッドにはあくまでも角度をつけてコントロールしたい。だから体を少し横に向けるなどして、海面とラインの角度が大きくなるようにする。

 言葉で表現すると理解しにくいかも知れないけど、イラストを参考に理解して欲しい。ロングビルミノーやディープダイブタイプのルアーでは抵抗が大きくて難しいけど、一般的なリップ形状のミノーであれば、たったこれだけの操作で泳層は浅くなってくれる。

 応用として、スロープの上だけを斜めに攻めるなら、ロッドを最初から立てたままでもいい。このようにロッドの角度によって、ルアーの泳層をコントロールしてみよう。


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