このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
159号 に掲載された記事です

波を利用するルアーの操作テクニック

ルアーフィッシングでリールを巻かないテクニックとして、波を利用する方法がある。潮の動きなども波として考えるとかなりたくさんの要素があるけど、ここでは一般的な波を想像できる、サーフと磯について触れてみようと思う。

 さて、ここでいう波だけど、引き波と寄せ波って知ってるかな。砂浜なんかでザッバ〜ンってやってる波を思い出してみて。足元に向かってザ〜ッって寄せてくる波が寄せ波、そのまま離れていく波が引き波なんだよね。

 砂浜なんかでの波は、このように大きく見れば単調だ。まあ実際にはちゃんと見ると、複雑な潮の動きで違いはあるんだけどね。まあ砂浜の場合には、大雑把に単調な寄せ波と引き波があるって理解しておいてもらおうかな。

 サーフの場合には、波の裏側でミノーなどをアピールさせたい場合に試してみたい。例えばヒラメなどフラットフィッシュと呼ばれる魚は、波口でエサを待ち伏せていることが多い。それなのに波の中をリーリングしたら、ルアーはすぐに海から出てきてしまう。

 そんなときに引き波のタイミングを合わせ、リールを巻く手を止めてみたい。そうすると引き波の流れによって、ルアーは上手に泳いでくれるはずだ。通常ルアーはリールを巻くことで泳がせるけど、波口では流れが強いので、こういったテクニックを駆使することができるというわけだ。

 それからもうひとつ、磯というシチュエーションがある。磯には本格的な波の荒い場所から、ちょっとした歩きやすいゴロタまで、さまざまな形状のシチュエーションが存在している。特に大小さまざまな岩が点在している場所では、寄せ波や引き波の他にも、岩に跳ね返って横へ流れることもある。

 こういった複雑な流れの中では、アングラーが思ったとおりにルアーを泳がせることは難しい。色々な方向から分かれて流れる潮が、どの方向からどのタイミングでルアーをトレースするコースへ入り込んでくるのか予想が難しい。

 ところが磯でムラソイなどをミノーイングで楽しむ場合、引き波だけでなくて、寄せ波も利用することができる。引き波で岩の横で止めることで、岩の下にいるムラソイにアピールさせるのは当たり前。岩の隙間はリーリングするだけのスペースの少ない場所が多いから、引き波でルアーをステイさせるテクニックは、自由に駆使できた方が有利だ。

 ところが反応の渋い場所や状況では、岩の横でルアーを泳がせただけでは、確実なヒットは望めない。特に昨今のようなロックフィッシュを楽しむアングラーが多いと、アングラーの多さでムラソイは岩の奥まで潜ってしまう。安心して出てこれなければ、自分の目の前まで送り込まれてくるエサにしか反応しなくなるのは仕方ないだろう。

 そこで利用したいのが、先ほどから話している寄せ波だ。寄せ波はキャストしたルアーを、手前へと流してくれる。つまり手前に流し込んでくる勢いのある潮の動きを利用することで、ルアーを岩の下まで強引に流し込んでやるんだ。

 これはちょっとばかり難しくて、慣れないと岩に引っ掛けてしまうだろうし、ムラソイがルアーに飛びついたのを見逃すと、そのまま潜られて出てこなくなっちゃう。だからPEラインを使って、わずかなラインの変化も見逃さずに釣るんだ。

 具体的には、寄せ波に上手く乗せながら、目当ての岩のエグレを目指して流してくる。そこで寄せ波よりも素早くリールを巻きながら、トゥイッチを加えて一気に潜らせてやるんだ。潜らせたレンジをタイミングよく維持させて、岩に潜らせる。

 そのまま連続トゥイッチを加えてやり、岩の下でアクションさせるんだよ。これでアタリを感じたら、一気に引き抜くように釣り上げちゃえばいいんだよね。


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